そううまくはいかない
次の日の朝朝食後食堂前に集合して打ち合わせをする。
やることは昨日と同じ、目標はひと月はこの町で活動できる資金を貯める事だ。
昼食時に間に合う様に朝からカレーを売る、評判が良ければ夕食時も買ってくれるだろう。
「そういう事で昨日同じよう二組に分かれて営業開始だ、ニー行くぞ」
しかし、酒を出すような店は固まっているが昼時にやっている食堂は密集していない。
土地勘の無い俺たちはかなりの範囲をうろうろと歩き回る。
そして新しい未知の料理うんこの説明にこれまた時間がかかる。
「そろそろ集合場所に戻らない昼時に間に合わなくなるな」
気が付くと何やら崩れそうな家が立ち並び細い路地にはゴミが溜まっている所謂スラムな場所に入っていた。
「ざっ」と地面蹴る音がしたと思ったら路地から子供が飛び出てきた。
そしてニーが持っていた鍋を掴み思いっきり引っ張る。
「うわぁっ!」蓋は飛ばなかったが中身が揺れた拍子にどっぷりとこぼれる。
こぼれたうんこが子供の顔にかかった「びちゃっ」と顔にかかったうんこは子供の目に入った。
「うわぁっ!、痛い 痛い」子供は鍋を離し目をこすろうとするが、走ってきた勢いで躓き地面に転がる。
俺は子供の首根っこを押さえ「うちの商品を盗もうとはいい度胸だな」全く大事な商品が台無しだ。
まだうんこまみれの涙目だが子供が顔をから手を離した。
おや?弟?、いや違うだろ だが似ているな弟に、むーん。
鍋を持っているニーが「おいおまえ!うちの商品を盗もうなんてふてい野郎だ、店長(仮)どうしますか殺っちゃいますか」
「おいおい物騒な従業員(仮)だな、やめなさいうちの店の品位が下がるじゃないか」
「へえ分かりやした」
元盗賊初心者だからなニーは。
「は、離せ」
子供は逃れよう暴れるが元農夫で現役冒険者のダンジョンマスターから逃れる事はできない。
まあ冒険者としては穴に落ちただけなんだけどな。
「はっ!」なんかとても大事な事に気が付いてしまった。
俺はどう見てもビギナーな冒険者の身なりだしニーは小汚い農夫崩れの盗賊だ。
どう見ても商人には程遠い、誰がこんな胡散臭い奴らから食い物を買うというのだ。
商人なら商人らしい身なりと行動を取るべきだ。
「弟に似ている少年よ、お前のおかげで大事なことに気が付けたかもしれん」
「兄ちゃんお腹減った、食べ物おくれよーー」
こいつなかなか頭の回転が速いな、そうだいいことを思いついた。
俺は首根っこを押さえていた手を緩め弟に似た子供を解放した。
「少年ようちで少し働いてみる気はないか、働けば賃金を出すぞ」
「働くって何をやればいいんだい、おいら盗みは得意だぜ」
「俺は店長(仮)だ盗賊団の頭になるつもりは無いぞ」
「なに簡単な仕事だ俺たちは土地勘が無いしどこで何が売ってるかもよく知らないから案内してほしいんだ」
「なに、そんな事か それなら大得意だぜ町の隅々まで案内してやるぜ」
「じゃあ少年はうちのアルバイトだな」
「アウバイト? なんだそりゃ?」
「一時雇用・・えーっと俺らがこの町にいる間はうちで働いてもらうって感じの事だ」
「そーかーアウバイトかーなんかかっこいいな!」
とりあえずうちの従業員(仮)と顔合わせしたいから集合場所へ戻るか。
「少年名前は何というんだ」
「おいらはパクリーさ、へへっ」
「それじゃあ時間も時間だからニーとパクリー集合場所へ戻るぞ」
パクリーに集合場所の様子を伝え案内を頼む、そして最短コースで集合場所へと向かう。
集合場所ではすでにムラビーとイーが浮かない顔で待っていた。
見るからに結果がよろしくなさそうだ。
「よう、調子はどうだ」
「それが昨日みたいにうまくいかないなかなか売れない」とムラビー。
「そうかこっちもだ、ちょっとみんな聞いてくれこの町にいる間一緒に働いてくれるパクリーだ」
唐突にパクリーを皆に紹介する。
「俺達には圧倒的に足りないものがある、俺やお前たちの身なりを見てどう思う?」
「鍋を持った小汚い冒険者と農夫にしか見えないか?こんな奴らから食い物を買いたいと思うか?」
「うん腹を壊しそうだな」
「まずそうだな」
「近寄りたくないな」
「くさい」
「まあそういう事だ、俺たちに足りないのは商人力だな、見るからに旨そうな物を売ってると思わせる身なりと設備が足りない」
「そこでだまず身ぎれいにして商人に見える服装を整える、そして荷車の調達だ」
「荷車に寸胴鍋を乗せてお前たちで売り歩くんだ、パクリーは道案内をやってくれ」
「パクリーここいらに公衆浴場みたいなのはあるか?それから服屋だな」
「ここ公衆浴場の前だぜ、服屋も分かるし荷車貸してくれる店も知ってる」
なかなか幸先良いな「まずは服屋に行くぞ、パクリー古着屋に案内してくれ」
「いいぜ」
つづく




