よのなかかねや
「あ、さてだ飲食店を甘く見ちゃあいけない」と従業員(仮)にご高説。
「では繁盛するにはどうすればいいと思うかね、はい、イー君!」
「旨い物を出すっ」
「むー じゃあニー君!」
「呼び込みを雇って店に誘導するんだな」
「最後ムラビー君」
「カレー何て誰も食べた事ねーから店頭でスプーン一杯の試食で店に誘導するなんてどうでしょうか」
「むーーイー君、10点!、ニー君は-68点かな。ムラビー君は52.82点だね」
「まずイー君、旨い物を出すだけでは飲食店は繁盛しません。旨いと知っている人は再度来てくれるし周りの人にも口コミ宣伝してくれるでしょう、しかしそれだけでは足りないのです」
「ニー君、なぜキャッ・じゃない、呼び込みはいけないのか分かるかな」
「えー呼び込みすればお客を引っ張ってこれるからいいんじゃないかな、何が悪いのー」
「無理やり引っ張って来たりしつこく勧誘されたらニー君ならどう思う?嬉しいかい?」
「あー」
「はい、気づきましたね、どんなにカレーがおいしくてもお店に対する感情は最悪になってしまうんですよ呼び込みという奴は」
「それに呼び込みひとり雇うのにもお金がいります、場所によっては人が少なく呼び込みも効果が無い事もあるります」
「なー」
「ではムラビー君の案ですが、これはなかなか良いと思います」
「カレーを知ってもらうにはとても適切な方法だと思います」
「ただ今一つカレーで試食は難しい、カレーは液体ですからね それにスプーンも使いまわしになってしまいます」
「試食の後洗うとはいえどこぞのおっさんが嘗め回したスプーンを目の前で見てしまうと嫌じゃないですか?」
「それじゃあパンを細かく切ってパンにディップしてもらうのはどうでしょう」
「いいですねそれ採用、ただしお店が回るようになればやめましょう 忙しいとそんな暇なくなると思います」
そんな話を従業員(仮)と小一時間続けたのだった。
だがここは道である、こんなところで経営会議しててもなにも始まらないのである。
「おい、お前ら今日はとりあえずチュートまで行くぞ」
「ところであんたのことなんて呼べばいいんだ」
「そうだなあ店長、社長・・・店長でいやまだ店無いしなあ」
「店長(仮)は長いというかなんか嫌だし」
「面倒くさいな店長(仮)でも店長でもどっちでもいいじゃねーか」
「あーもうどっちでもでいいや」
「それでだ店長(仮)、俺たちもう何日もロクなもん食ってねえから一歩も動けねえ」
「「「カレー食わせてくれ」」」
「おう、いいぞいくらでも食えカレーしかねえけれどな」
器を取り出しカレーを掬って入れてやる。
無言で何度もお代わりする三人の従業員(仮)達。
さて食い終わったら町に向かって出発だ。
さっさと町に行って落ち着きたい、金は無いけどな。
こいつら以外の盗賊に合うことなく日が暮れる前にはチュートに到着したのだった。
チュートの町は外壁に囲まれ魔物が入ってこれないようになっている。
当然入り口の門には門番がおり異常があれば櫓の鐘を鳴らすみたいだ。
外壁は町よりしょぼいがシステム的には村もそんな感じだった。
俺は門番に「俺たちはヒンコーンから来たんだ門を開けてくれ」と告げる。
「ふん、貧乏人か入町料ひとり銅貨三枚だ」
俺は後ろを振り向き「おい、お前ら金持ってるか、俺は銅貨五枚しかねえ」
ムラビーが「俺たち三人で八枚持ってる」
うんまごうことなき貧乏人だ。
俺たち四人は銅貨十二枚を支払い町に入るのだった。
しかし当面の資金が底をついたぞこれじゃあ宿にも泊まれない。
俺だけならダンジョンでもいいがこいつらもいるからそうもいかない。
さて、どうしたものか。
つづく




