いざかやかな
「痛い目に合いたくなければ身ぐるみ置いていきな」と小汚いおっさん。
おいおい本当に出たよ盗賊だよ盗賊。
しっかし小汚くて貧乏くさいなこいつら、まるでそこいらの村人が不潔になったみたいな奴らだ・・・
はっ!!
「おまえらヒンコーン村の奴らじゃねえか」
「違う!他人の空似だっ」
後ろの方でごにょごにょ相談してる。
「おい、なんかばれてないかヤバイんだけど」
「な、何とかするべ」
むーこいつら貧乏に耐えかねて盗賊に転業した輩だな。
俺も近くにダンジョンが無ければこうなっていた可能性もあるわけだしなあ。
なんか同情する部分もある。
「よし、イーは後ろニーは右、俺は左のトラアングルフォーメーションで行くぞ」
「うぉっなんだか連携取れてるなおまえら」
それに仲間の名前を呼ばないのもなかなかに考えている。
盗賊の名前が割れて良いことなど一つも無いからだ。
それから三方から囲むのも良い方法だ、こういう場合最大戦力は前に置くべき・・・・
「前ががら空きやないかーい」
と前方にダッシュ、トライアングルフォーメーションから難なく脱出する。
「ふっ、この鉄壁の陣形から難なく抜けるとはやるなっ」
「背筋に冷たいものが走ったわ、盗賊にしてはなかなかやるな」
心無い返しでもしておく。
「ラムビーは賢いからなー」
「馬鹿ッ、イー 偽名を使うな、俺の名はサーだっ」
おおなかなか機転が利くなムラビーよ。
「さて、お前たち盗賊を始めて何年たつんだい」
「何年もじゃないねーこれで初めてさー」
「馬鹿ッニー変な事言うな」とムラビー。
むーこいつら食い詰めただけでまだ初犯で盗賊ビギナーなんだな。
暫し考え中でフリーズ中。
そしてじりじりと包囲を再構築中の初犯盗賊S'。
そして右手を上に向け左手を握って右手に軽く打ち付ける。
「そうだ、お前ら盗賊よりいい稼ぎ話があるんだがどうだ」
「おいおい命乞いならお前を身ぐるみはぐより良い話をするんだな」とムラビー
だからしてんじゃん聞く耳もたないなあ。
「あのさあ俺近いうちに街道沿いに飲食店をやろうと思ってるんだ」
「俺たちにそれが何の関係があるんだよ」
「だからその飲食店で働かないかと思ってな」
「それにな俺、お前らが思っているよりかなり強いぞ」と何かの役に立つかと思い取っておいた岩トカゲの骨をダンジョンからガラガラと出して山積みにする。
「なっ、おおまえそれアイテムボックスか、それ岩トカゲの骨とかどんだけー」とムラビー。
山積みとなる岩トカゲの骨。
「ちなみにこの骨はやらんぞ、出汁にしようかと思ってるんでな」
「アイテムボックスとか売っても持ってても人生楽勝アイテムじゃねえか」とイー。
「ここれってお前ひとりで狩ったんか」とニー。
「なんなら今ここでその技を披露しようかお前たちでな」
「「「・・・ッ!」」」
「うそうそ、将来の従業員にそんな事しないから」
「別にいいんだぜお前らの腕じゃあこのまま盗賊を続けても、近い将来あっさりと討伐されて死んじまうか奴隷落ちしてみじめな一生を終えるかを選んでもな」
「「「なあ信じてもいいんかな」」」
お前ら仲いいのな、なんかごにょごにょ相談してるけどちょっと待ってやるか。
「ああそうだお前らに俺がどんな商売をしたいのか言ってなかったな、それじゃあ不安だろうから」
と、俺はあらかじめダンジョンに用意しておいた寸胴いっぱいのうんこカレーを取り出す。
「おい、石を組んで簡単な竈を作れるかお前たち」
「それから竈にくべる薪も用意してくれ」
「もちろん造作もないやね」と盗賊トリオ。
そして薪から煙が出なくなってから寸胴を竈の上に乗せる。
「お前ら焦げ付かないように混ぜてくれるか」と任せる。
暫くすると「ぐつぐつ」と良い感じに火が通る。
辺りにスパイシーな香りが漂い始める。
すると匂いに釣られて魔物も寄ってくる。
しかし面倒なので近くに寄ってきた魔物を手当たり次第にダンジョンご招待だ。
もちろん盗賊トリオは全く気が付いていない。
寸胴から漂うスパイシーな香りに魅了されて辺りへの警戒が疎かになっているのだ。
「むーん」
「鼻孔に流れ込むなんとも食欲をそそるこの香りは」
「すごいすごい」
むー なかなかに好評みたいだな。
どうにもこの世界でカレーが受け入れられるかは未知数だから生の声は貴重だ。
「どうだ、これが俺が提供するカレーという食べ物だ」
「とりあえず食べてみてくれ」
イーとニーとラムビーにスプーンを渡し勧める。
「「「ぱくっ」」」
「「「ん、んまあぃぃっつ!!」」」
人間本当に旨い物を食うと口角が上がるという伝説は本当だったんだな。
「で、従業員の話はどうだい、受けてくれるかな」
「「「よろこんで!!!」」」
つづく




