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じょうほうだいじ

夜が明けて歩きやすくなった道を俺は隣村まで歩いていく。


辺りは草木に乏しく乾燥している。

茶色い風景が遠くまで続いている。

風に巻き上げられた砂ぼこりが顔に当たり口の中までじゃりじゃりになる。

いつもの風景だ嫌になるほど見飽きた風景に俺は心が沈んでいく。

ひとつ丘を越えると隣村の集落が見えてくる。

まだ歩いて2時間はかかるほどの距離があるが遮るものが無いので見えてくる。


こんな遠くから見ても貧しい村だと分かる。

うちの村はクリスタルダンジョンがあるので小さいながら冒険者ギルドがあってこっちの村よか多少ましだ。

冒険者が金を落としてくれるからな。

だが飢饉の今、食い物の無い村になんかに冒険者も来ない、今は俺の村もこっちの村も状況は似たり寄ったりだ。


村に入ったら少し休もう。


太陽が真上になった頃に俺は村に到着した。

すると一人の村人がよろよろと俺に近づいてくる。

「あ、あんた 何処から来たんだ 冒険者だな」

「なんか食いもんねえか、なんか持ってたら恵んでくれ」


まあ今の俺色艶良くててりてりしてるからな。

「よし、ちょっと教えてくれたら少し食いもん分けてやんよ」


「ほ、ホントか!何でも聞いてくれ!!」


俺は町までどのぐらいの距離かどんな危険があるかなどを欠食おっさんから聞き出す。

「ありがとよ、おっさんおっさんの家は鍋あるかい?」


「おう、家にあるぞ 今取ってくるから待っててくれ!」


「いや、俺が家に行くわ」


「そうかじゃあついてきてくれ」


おっさんの家はなかなかに大きい。

大きいと言っても豪邸だから大きいのじゃない農家なんて大体大きいのだ。

農具だったり収穫物をしまう蔵だったりと場所を取るのと子だくさんで家族が多かったりする。

だから家も大きい。


ガラガラと引き戸を開けて「おいかかあお客を連れて来たぞ」とおっさん。

すると暗い家の中からしぼしぼにしぼんだばばあじゃなくて奥さんが出てくる、「いらっしゃい」

そしてその後ろに何人も死んだ魚の目をしたガキがくっついてこちらをのぞき込んでいる。


「うわ」家と一緒だ・・・・・

「早速だが俺に鍋を寄越してくれ」


おっさんと俺は土間からかまどのある隣の部屋へと移動する。

かまどのある部屋は薪を使うので煤けて柱や壁が黒い、だから部屋の中が余計に暗い。


「ほれ、これでいいか、鍋だ」


「ああこれでいいがひとつお願いがある」


「なんだ」


「冒険者には見られちゃいけない秘密がある」

「見られなけりゃどうという事は無いが、見られたらおっさんには消えてもらう」

「アイテムボックスとかアイテムボックスみたいなもんはそんなもんだ」

「しかし俺はアイテムボックスなんか持ってないからな」とくぎを刺しておく。


「お、おう 分かった隣の部屋に行って扉閉めて絶対に見ねえから」


「家族にもよく言い聞かせとけよ」バタンと扉が締められる。


「さてと」俺はおもむろにズボンを下し始める。

そして鍋にまたがるようにしゃがむ。


そして「*聖堂の肛門*」発動!!とコッソリ叫ぶのだった。


「ぷりぷりぷりーーー」と荒ぶることなく鍋の中に*食べれるうんこ* (カレー味だよ)を満たしていく。


うん俺も成長したなあ、こんな繊細な脱糞制御ができるようになってとっても嬉しい。

「嬉しくねーよ」ひとりでつっこむ。


「おーいおっさんもういいぞー」

俺はニコニコしておっさんに鍋を差し出す。


ぎょっとした顔で俺の顔と鍋を交互に見比べるおっさん。

「え、これってう・うんこ・・?」


俺はニコニコしながら「ちげーよ、これはカレーっていう食い物だよ」ニコニコ。

「スパイスが利いていてとっても旨いんだぜ」ニコニコニコ。

とてもいい顔で俺はなみなみと鍋いっぱいのうんこをおっさんに渡す。


「ほらおっさん、ちょっと指ですくって味見して見なよ」


おっさんカレーの香りに負け人差し指の先っちょにほんの少しうんこを付けて味見する。

難しい顔をして口を動かしていたおっさんの顔が次第に喜びの顔へと変わっていく。


「う、旨ーいーーーー」

「複雑でスパイシーな香りに食欲をそそりまくるうま味が口の中に広がるーーー」

「ちょっと薄めてスープにしたりパンと一緒に食べてもいいなこれ」


おっさんの叫び声に何事かと家族がわらわらと寄ってくる。

そして奥さんも味見する、そして「美味しーぃ!!」とハイトーンな叫び声。


ニコニコニコ「そうでしょうそうでしょう」ニコニコ。

「栄養たっぷり(たぶん)ですから味わって食べてくださいね」ニコニコニコ。


「「ありがとうございます、ありがとうございます」」と何度もお礼を言う夫婦に手を上げ家を出る。

前を向いた俺は真顔で呟く、「俺はうんこ食わんけどな」そして村を出る俺だった。



つづく



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