勇者の復讐 8話
もう少しぐだぐだ続きますが佳境に入りつつあります。
マルスとエルバーンは、迷宮を出て報告のために王宮の玉座の間にいた。
「ミカエル様、迷宮にて秘薬【エルフナイン】の確保に成功しました。」
「これで依頼を果たせましたでしょうか?」
王は少しだけ顔を顰めながら
「マルスよ、良くやってくれた。まずは貴殿を労おう。」
「有難うございます。お貸しいただいた精霊銀の剣をお返しします。」
「あい、分かった。そして約束通り報酬としてウルの称号と
我が娘レーナエルをくれてやろう。」
王は剣をマルスの肩に置き言葉を発する。
「これより貴殿はマルス・ウル・グランタリオンと名乗るがよい。」
「お前はこれから王国の一員になるのだ。」
「有りがたき幸せ」
ここに到着する前にエルバーンから一応の礼儀作法を教わった。
基本的に否とは言ってはいけない。
ただし帯剣は許されている。
王はマルスの腰に挿している剣の方をじっと眺めている。
「マルスよ、その剣はどうしたのだ?」
マルスは迷宮でのことを事細かく王に伝えた。
「あの迷宮は数万年前にあった魔王と呼ばれたエルフの居城があったと聞く。」
「なにものかに倒されたと聞き及んでおったがそういう場所があったのか?」
確かに天魔級の武器ならば地獄級のレーンの存在を消し去れるな。
なるほど、しかしなぜ破壊なのだ?封印ではだめなのか?
そんなことを王が考えていると、周りに光が集まり剣に集まっていく。
剣が人型の形を持ちフェアリーに変化した。
「久しいな、ミカエルよ、私だ。剣となり名前を変えたが覚えておらぬか?」
王がはっとする!
「まさかその声は!お前はもしかしてガブリエルか?」
ウラヌスが懐かしそうに語りかける。
「そうだ、懐かしいな。数万年ぶりか?」
「その名で呼ばれるのは久しいがウラヌスと名を変えておる。
今は天魔極炎剣 ウラヌスと呼んでくれ。」
「ウリエルも息災で何よりだ。」
「まぁそれよりもだ、なぜ破壊かというとだな。レーンの正体だ。」
「あやつはレーンと名を変えておるが、あやつはラミエルだ。」
王は唖然としながらも質問をする。
「まさかあやつだったとは、しかしあやつは600年前に当時の同胞により
殺されているはずだが?」
ウラヌスがその疑問に答える。
「あやつも魔王の因子をもっていたのであろう。魔王の因子を持つものが
殺されるなど普通の死に方をしなかった場合剣に生まれかわる。」
「この私がそうだったようにな、ただ剣になってからまだ600年だ。
地獄級ぐらいの力しか持ってないだろうよ。」
「ただし生前の持っていた性格、スキルなどは保持している。」
王は真剣な表情で考える。
ラミエルが生きていた頃、複数のエルフが人間の奴隷に落ちた。
あれからこちら側が魔族と呼ばれ戦争を繰り返してきた。
あれから何人のエルフが奴隷と呼ばれ攫われてきたか…
今では王国にはエルフ侵入不可の結界があり西区に囚われているらしい。
エルフの女性は性奴隷となり、男性は過酷な労働を強いられ
苦難の道を歩んでいる。
ラミエルには幻紫の魔眼など幻視を支配する力がありエルフにすら
抗えない。当時は200人のエルフの女性を人間側に売り渡した禁忌を
犯したエルフである。
ウラヌスが人間の姿から剣に戻った。
≪話は終わりだ。我は疲れた。レーンを今すぐに斬り殺して消滅させたいが、
我が主人の体に馴染むまで少々の時間が必要だ。
それまでは力を蓄えさせてもらうぞ。≫
王は何かを考えながらもマルスに向かって言う。
「此度の我の試練によく耐えた。ご苦労であった。
【エルフナイン】を飲むと7日間は目覚めぬという。
今日からは王宮の離宮に住まうが良い。」
「今回の件、ご苦労であった。」
その後マルスは玉座の間より離れ案内された離宮へと赴いた。
そこには笑顔で迎えるレーナエルがいた。
「今日より夫婦となりました。末永くよろしくお願いします。」
「こんな俺で良ければよろしくお願いします。」
色々な話をした。久々に充実した日かもしれない。
もう当時の婚約者や妹などの事は顔も思い出せない。
レーナエルに見られながらマルスは【エルフナイン】を飲み干した。
そのままゆっくりと意識を手放した。
エルフナイン 語呂がいいのでこれにしましたが、実は駄洒落です。
エルフ+オロナイン軟膏+オロナミンCです。オロナミンは何処よ?
有ります。ンです。
勇者に救いがなきゃ可哀そうじゃんと思いこうなりました。
全てを新しく
応援有難うございます。話がなげーよって方はもう少しだけお待ちください。
スカッとさせるように頑張りますー。