勇者の復讐 3話
さくさくさく投稿
5日後
マルスは王宮に入った。
街では国民が声を掛けてくる。
「マルス様お帰りなさいませ~」
「帰還を心待ちにしてました~」
「マルス様 以前は申し訳ありません~」
マルスの耳には届かない。冷たい目線を向けるだけ
無言で歩き王宮の謁見の間に入る。
王が椅子から立ち上がり
「勇者マルスよ、以前は申し訳なかった。許してほしい。」
マルスは無言で冷たい目線を浴びせてくる。
王は冷や汗が止まらなかった。
10年前の雰囲気とまるで違う。
これで魔王を倒してくれと交渉できるのかと
宰相が聖剣レーンを持ってきて王に手渡す。
「レーンよ、元の主人の手へと返す。」
するとレーンが人型を取り勇者の前へと立つ
「マルス様、10年前は申し訳ありませんでした。またお役に立て・・・・」
レーンの人型が切り裂かれる。
マルスの手には炎を纏った剣が握りしめられレーンを切り裂いていた。
レーンが剣に戻り、剣が砂屑となり消え失せた。
「なにをなされる勇者殿」
マルスは冷たい目を向け何もなかったように呟いた。
「これでもうここには用はない。」
周りの騎士が剣を抜くがマルスはそのまま王宮を出て行った。
なんてことだ。勇者の怒りがこれほどとは
もはやこれまで
「謀反人勇者を討伐せよ!!」
30名の騎士が王の勅命をうけ勇者討伐に赴いた。
伝令が血相をかえて報告に来る。
「勇者殿 騎士を皆殺しにして王宮を出ました。」
王は頭を抱える 勇者を敵に回したことを後悔しながら・・・・
勇者も所詮人なのだ、聖人ではない。感情もある。
マルスは王国を出る前に思い出したことがあった。
家族の事だ。
王宮の門を出るときに自分の村に目を向ける。
そして一言 魔力を溜めながら言う。
「メテオスォーム」
村の真上に巨大な隕石が10個ほど落ちてくる。
その後その村は消滅した。
その余波は王国の外壁にも当り甚大な被害をもたらした。
200名近い国民が犠牲になった。
これで後顧の憂いもないなと思いながらマルスは王宮を後にした。
エルフ領の境目まで来た所で懐かしい人物が後を追いかけてきた。
「兄さん 何てことを家族を殺すなんて!!」
剣聖であり元妹のリバーだった。
「お前はアレンと一緒になったのだったな。いや全員か
あの時に家族は赤の他人になった。どうでもいいな」
「この悪魔め!殺してやる! 家族の敵だ」
「いいね 逆に殺してやるから覚悟しろ!!」
数合立ち会ったが リバーは剣ごと手を切り飛ばされた。
「子供がいるんだったな?今回はこれで見逃そう。殺そうと思ったが
最後の血を分けた人間としてな、ただそんなに生きれないとは思うがな」
「ぐぅぅ・・・・兄さんそこまで憎んで・・申し訳ありません・・・」
リバーは意識を手放した。