時が経つと親しい人でも接し方微妙に変わる
「霙さんは俺が中学生になるまで、浜守は去年くらいまで俺も2人のことを名前の呼び捨てで読んでたろ?」
隣に並ぶ白菜にまず問いかける。
「うんっ、もっと前にはみーちゃん、ひーちゃんって呼んでたね」
「いつの話だよ、いい加減忘れてくれ」
小学生になる以前のことだけど、今になって掘り返されると些か気恥ずかしい。
白菜に茶々を入れられつつも、俺は説明を続けていく。
「とにかく、中学に上がってからは何て言うか••••••目上の人を敬うっていうか、接し方を考えるようになったんだ」
「ねんこ〜じょれつってやつ?」
「おっ、そんな言葉使えたのか。偉いじゃないか」
それ程難しい言葉ではないはずだけど、白菜が四字熟語を使ったというだけで軽く感動してしまう。
「もぉ〜、バカにしてっ!」
白菜は子ども扱いされるのが気に食わないらしく、頬を軽く膨らませている。そんな仕草がより一層子どもっぽい。
それはともかく、中学生になるまでは人によっての接し方の差というものが少なく、あるいは教師に対しても軽い態度で接していた。
しかし、中学、高校と進学してからは、社会性が発達してきた証なのか、教師や先輩に対して敬語を使うようになった。
「それで1つ年上の霙にさん付けってこと?」
「まあな、お前だって助っ人先の部の先輩には敬語を使うだろ?それと似たようなもんだ」
「それは••••••そうだけど」
やはり、体育会系の白菜には部活内での上下関係で例えると分かりやすいんだな。
「じゃあさ、ひのは?ひのと叶枝君同い年じゃん。ひのの方も去年くらいまで名前で呼んでたのに、今は名字の秋谷君って呼んでるよね」
霙さんの呼び方については概ね納得したらしく、白菜は次の質問を投げかけてきた。
浜守を名字で呼んでいる理由は、あまり言いふらすようなものでは無いけど、白菜相手なら心配はないだろう。
「浜守の呼び方については少し複雑な理由があるんだ。ざっくりいうと、あいつがモテるからだな」
あと1話、白菜とふたりの会話が続きます。なにげに本文で叶枝の名字が出たのは初めてですね。