変わらないことと変わったこと
俺と白菜と浜守兄妹、霙さんともう1人、俺の妹の計6人は産まれた時からの幼馴染であり、なんと四家族続けてのお隣さんだ。
というのも、俺達は築十数年の15階建てというそこそこ大きなマンションの9階に住んでいる。
このマンションは、周囲に小中学校、駅にスーパーに商店街などがあって、建築当初は子どものいる家庭に人気があったそうだ。
そんなわけで、同じ年代の子どもをもつ家族が4組もお隣さんになるという偶然が起こった、ということらしい。
俺達の両親は大層気が合ったらしく、子育てについて相談に乗り合ったり、まだ赤ん坊だった俺達の面倒を見合ったり、家族絡みの付き合いを長年続けている。
そのため、子どもの俺達も互いに一緒に居るのが当然になっていた。
この関係は物心つく前からのものだし、これからも変わることのないものだと思っていた。しかし、ずっと一緒に過ごしてきたとしても、あるいはだからこそ、変わっていく感情もあった。
その最たるものを、俺はここ数年で感じつつある。白菜もまた違った形で、俺達の関係の変化を感じ取っていたらしい。
「呼び方か、そうだなぁ」
なんとなく、の一言で済ませてしまうことも出来るけど、2人の呼び方を変えたのは意図してのことで、理由もある。
白菜相手に、特に隠す必要も無いからこの機会に話しておこう。
道路の出っ張りも途切れ、白菜は一瞬立ち止まったが、やがてそこをぴょんと飛び降りて近づいてきた。
そして、今度は拳2つ3つ分ほどの距離を空けて、マンションまでもうそれ程長くない道のりを、俺達は歩き続ける。
他の幼馴染達の登場は2〜3話後になります。
ちなみに、高校から叶枝、白菜達のマンションまでは徒歩30分程です。