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あの手この手であの子の手  作者: 一耶 礼
2/12

白菜(はくさい)じゃないよ、白菜(しろな)だよ

「••••••きて〜、起きろ〜、お〜い!」


うららかな春の陽気(ようき)は少し前に過ぎ去り、夏の訪れを肌にうっすらとまとわりつく汗に感じ始めた晩春(ばんしゅん)の日の放課後。


教室の自分の席で、同級生達のから騒ぎもなにするものぞとよく眠っていた俺の耳に、聞き慣れたよく通る明るい声が響いている。


「こんなに騒がしい所でなんでぐっすり寝てられるの!?置いて帰っちゃうよ〜叶枝君!」


そう言った直後、声の主であろう少女が、その細い両手で俺の頭をむんずと掴んだ。なんだっ?と思い、ふと重いまぶたを開き、寝ぼけた顔で正面を見てみる。


そこには、やはり見慣れた顔の少女がニヤリと意味ありげな笑みを浮かべて立っている。


少女の名前は霜織(しもおり)白菜(しろな)


同じ高校に通う一年生で、俺は二年生なので後輩ということになる。放課後とはいえ、上の学年の教室でも物怖(ものお)じしないその態度は、白菜の大胆な性格の表れといえる。天性の陽キャというやつだ。


白菜は身長が低く、それに言動もとにかく子どもっぽい。しかし、制服を着崩し、肩まで伸びた淡いクリーム色の髪に緩くパーマをかけていて、身につける物も小洒落(こじゃれ)ているので、年相応(としそうおう)の高校生らしい印象も受ける様になった。


ーーーー様になった。というのも、白菜とは高校以前からのもうずいぶんと長い••••••というか俺達が赤ん坊の頃から両親達が懇意(こんい)にしていて、俺達は産まれた時から付き合いを続けてきた。


いわゆる、幼馴染(おさななじみ)というやつだ。


そのため、声を聞いた時点で誰なのかはすぐに分かったが、未だ俺の頭部をがっちりと掴んで離さないこの両の手のひら、これが分からない。


彼女の意図(いと)(はか)りかねていた矢先、不意に手に込められた力が強まる、そして••••••


「起きろ〜〜!!!」


満面の笑みと、快活(かいかつ)な大声と共にその両腕でもって俺の頭部が激しくシェイクされた。

キャラ情報


秋谷(あきや)叶枝(かなえ) 

誕生日 7月7日(七夕)

自分の誕生日なのに毎年妹が短冊に書いた願い事を叶えている。


霜織(しもおり)白菜(しろな)

誕生日 8月7日(花の日)

白菜(しろな)の菜は菜の花の菜。白菜(はくさい)と呼ぶととても怒る。

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