表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/59

00.魔帝令嬢フレイオージュ生誕祭





 その日、オートミール家は二度の喜びに見舞われた。

 長女フレイオージュ五歳の誕生日にして、フレイオージュの魔力が覚醒した日である。


 そのランクは、魔帝。

 誰が聞いても「え? 今なんて?」と二度三度聞きはしてしまうこと請け合いの、驚愕の魔帝ランクである。


 一色の魔法使い「ただの魔法使いランク」は、それなりにいる。

 二色の魔法使い「魔鳥ランク」は、まあまあいる。

 三色の魔法使い「魔王ランク」は、かなり珍しい。

 四色の魔法使い「魔竜ランク」は、非常に珍しい。


 そして、「魔帝ランク」。

 驚異の五色を有する魔法使いである。


 国を興した祖の者、強大な厄災を退けて人々を守ってきた英雄、人類の守護者とも言われた者であり、数百年に一人生まれるかどうかという才覚である。


 生まれながらの英雄、生まれながらの勝ち組である。


 しかもオートミール家に抜かりはなかった。


 才ある者は才に溺れる。

 才ある者ほど堕落や我欲、悦楽に染まり、悪逆の限りを尽くす暴君になる事例が多いのは、歴史から学べることである。


 才能はあくまでも才能。

 人間性や道徳心、教養には関係がないのである。――いや、むしろ脇道に逸れる誘惑が多いのかもしれない。


 故に、鍛えた。


 人の道を説き、偉人の言葉と教えを説き、もちろん才能を開花させる魔法の訓練も充分にさせた。

 それこそ、五歳の子供には厳しすぎるほどに。


 魔帝の子供が誕生したと知れると、自国の王族からも他国の王族からも、有力な家からも、世界に名だたる豪商からも、結婚の申し込みが殺到した。

 それ以外で、無理やりにでも手に入れてしまおうという不届き者もいた。


 そんな本人の知らないところで外敵が多くなったフレイオージュは、文字通りの意味で、自宅という箱庭の中で、完全管理されて育てられたのだった。





 そして、十年の月日が流れた。


「――フレイ様、いってらっしゃいませ」


「「いってらっしゃいませ」」


 魔帝令嬢フレイオージュ、十五歳。

 今日からエーテルグレッサ王国魔法騎士団士官学校所属。


 優に十年ぶりの外出(・・)であった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 読み始めました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ