校歴室の中で。
さて、ここは聖ウリエル学園といいまして森の中にありますミッション系の学校であります。
そこの校歴室という学校の歴史や古い物が展示されている、普段滅多に人が入らない部屋に一人の少女が入って来るところから物語は始まります。ペンペン!
時は夕方、校歴室を夕日がオレンジ色に染め上げております。遠くで練習している野球部の声が微かに聞こえている。
そこへこの学校の二年宮崎和美(17)が何時も閉じられていたカギを開けて、ゆっくりと腰を屈めてまるでこそ泥のように入って来ました。
彼女はこの小説の主人公で、長い髪を三つ編みにして左肩から前に垂らした大人しそうな女の子。さてさて、ここからは彼女にバトンを渡します。
「おじゃましま~す・・・・・・、あの、誰も居ませんかぁ」
私は校歴室のほぼ中央まで進むと足を止め周りを見渡した。
私が何でこんな所に来たのかと言うと偏に、お付き合いしたい人がいるからなの。
でもでも、その願いはちょっとやそっとじゃ叶わない。だったらどうすればいいのか? それはもう神頼みしかないでしょう! と、言う事で私はこの一年間昼も夜も、寝ている間だって神様にお願いー、もとい祈り続けた結果とうとう神様が溜息交じりで枕元に立っていて、もう勘弁してくれと言いながらこの時間に校歴室に来る様にと神託が下ったの。
「ううっ、なんで神様はこんな所を指定したのかなぁ。私苦手なんだよねここ、歴代の校長先生の写真が私を睨んでるようで・・・・・・。それに古いバイクや三輪トラックなんかどうやってこの教室に入れたんだろう? ここ二階なのに」
その時私の隣にある机上に置かれた黒電話が突然鳴り出した。
ジリリリリリン! ジリリリリリン!
「キャ!」
私は心臓と一緒に私は飛び上がってしまった。
「えっ、で、電話? なんだ電話か~。待ってこの電話コード繋がってない! ええっ、どうしよう。これってやっぱり電話に出なきゃだよね?」
迷っている間も電話が鳴り続けている。
「よ、よし、頑張れ私!」
意を決して少しホコリをかぶった受話器に手を伸ばし、持ち上げ自分の耳に当てる。
「・・・・・・あの、もしもし?」
「何やってんのよ! サッサとでなー」 チン!
あ、ビックリして受話器を戻してしまった。
「どうしょう。切っちゃった」
今度は怒ったようにベルが鳴り出す。
「あわわわゴメンナサイゴメンナサイ、今取ります」
もう一度受話器を取る。
「あにやってんのよ! アンタわあっ!」
「ごめんなさい、こめんなさい」
受話器を取ると若い女性の声で怒鳴られた。私は電話に何度も頭を下げる。
「まあいいわ、早速だけど白状なさい。何がしたいの? 聞きたいの?」
え? いや、いきなり何が聞きたいの? とか言われてもー。
「あ、あの、でも、その、なんか女の子みたいな声がー」
「ああ、自己紹介がまだだったわね。アタシはアマノアリスノヒメてぇいうの、アンタの守護神で大神様の巫女なのよ、偉いの、分かる?」
ええっ! 神社の神様で守護神? なにそれ!
「あ、あの、アマノアリスノヒメ様? なんで? 私はー」
「あー、長いからアリス様でいいわよ。で、要件を早く言いなさい」
私は気を取り直し深呼吸をする。
「スーハー、スーハー、スーー・・・・・・」
「どうしたの? 早くー」
「なんでー! 私、クリスチャンのにーーー! どうして神社の神様?!」