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父親に相談されたよ

「息子の事なんだが」




 俺はバズ大佐と一緒に中庭で『焼きマヨネーズのせチップス』を食べている。


 なんだろうね。この変な食べ物。大人気らしいんだが俺はちょっと苦手だ。俺の知ってるマヨネーズとはちょっと違う。生の白身魚のミンチがベースのマヨネーズ。これが大人気とは異世界恐るべし。シュリもよく買って帰ってくる。


 朝、いつもの軍の施設に顔を出したらバズ大佐からの手紙があった。手紙の中には会って話がしたいと、時間と場所が書かれてたからその通りに行ったさ。


「シュリさんはお宅のメイドだそうで」


 やはりシュリのことか。

 まだうぶな息子さんにはマズい女だったか。

 恐らくは童貞の少年にアレは上級者過ぎるだろう。それよりシュリみたいな娘は奥様には評判悪そうだ。母親にとって息子は宝物だからな。

 人の恋話聞くのは楽しいが、相談事はめんどくせえ。



「シュリがどうかしましたか?確かご子息と仲良くなったと聞きましたが」


「そうです。昨日の夕方息子のオルドが家に連れてきたんです」


 夕方?

 ああ、仕事終わったあとか。夕飯準備からカナの仕事時間だし。


「シュリがなんかやらかしましたか?」


 言いずらそうにする大佐。

 どうした?


「その、シュリとは・・・」


 おや?

 シュリさんでなくてシュリと呼びましたよ。

 なにかな?


「シュリとは?」


「・・・」


 あちゃー、親子丼かよシュリ!大佐は()()()()でいるけどだいたい分かったわ。でも、シュリが男を口説くことは殆んど無いそうだから、口説いたのは大佐か!


「その、奥さんには?」


 大佐は俺をじっと見る。


「妻は知りません。何も知らない筈です。シュリを見たのもはじめての筈」


「・・・一度ですか?」


「・・・三回程」


 このおっさんは!


「シュリはバズ大佐のご子息というのは知ってた筈です。同僚メイドが教えた筈ですから」


「いや、私は名乗らずに色々偽っていましたので。顔を見たときは心臓が止まるかと思いました。シュリも思い出したようで驚いて居ましたが、お互い必死に平静を装いました」


「そうですか・・・それで私に何を?」


「私はオルドとシュリに別れてほしいんです。酷い父親だとは解っています」


 だよなあ。

 バズ大佐の家に爆弾だからなシュリは。修羅場になりそうだ。奥さんってどんな人だろう、怒るとどのくらい怖いのかな?

 そして、ご子息の名前はオルドというらしい、


「はあ、まあ、私からはなんとも。本人達が決める問題ですし」


 すいません、ご子息とシュリを焚き付けたのは俺達です!ご免なさい大佐!心の中で謝ったが、そういや大佐もロクなことしてないおっさんだった。

 うーん、どうしよう?

 別れさせるという任務を受けるのも嫌だし、大丈夫ですよ!なんて言えないし。なんせシュリだ。


「堪えられないんですよ」


 あ、涙ぐんでる。

 お父さん大変だなあ。俺もこういうことはしないように気を付けよう。


「息子にシュリを奪われるのは・・・」


 あ、クズがいる!

 生粋のクズです!


「大佐、息子さんがどうあれ、シュリとはいけません!結婚しているんですから」


「解ってはいるんだ」


「そもそも愛人関係でも無いんでしょう?」


 シュリは特定の恋人が居ないのは知っている。不倫関係としての愛情も無いだろう、想像だけど。推測するにこのおっさんが勝手に独占したがっている。


「私も男です。独身時代から何人も付き合っている。妻と結婚したときは最高の女と結婚したと思った」


「だから奥さん大事にして」


「解っているんだ。でも、シュリがなあ・・・」


「そんなにシュリが良いんですか」


 大佐は空を見上げて言った。




「別格だよ、次元が違う」



 !!



 はあああ!

 シュリ!

 あんた何者?

 ただの爆乳合法ロリじゃないの?

 ひょつとして俺はとんでもなく勿体ないことを毎日しているのでは?


 結局俺は何も約束せずに大佐と別れた。協力するともしないとも言わず、『様子をみましょう』と言っておいた。保留だ保留。




 夕方家に帰る。ホールにバトラーが居た。


「その、最近シュリとは?」


「致してません」


 そうかそうか。

 良いことだ、職場で致さないでくれ。


「良いきっかけでした。あのまま続けてたら人間としてダメになるところでした。これを機にシュリ断ちします」


 まるで麻薬断ちのような言い方。あの身体は麻薬か!


「禁断症状とか出そうだな」


 禁欲生活のシュリを見て楽しむとか言ってたのに、実は自分の方が禁欲生活だとはな。


「耐えます」


 耐えなきゃダメなくらい?


「シュリは淫魔みたいだね。あはははは!」


 だが、バトラーは笑わない。

 え?まさか!



 と、おもったら頭に衝撃が!


「誰が淫魔よ!」


 棒でごんごん俺の頭を叩くシュリ! しまった、気づくの遅れた!


「おいおい、棒で叩くな!」


「うるさい!だーれが淫魔よ!このこのこの!」


 バシバシと叩かれ、棒が折れたところで漸くとまった。バトラーは何処かに逃げて居なかった。


「ご、ご免なさいシュリ」


 腕組みをしてぷんすか怒るシュリ。

 だから、その腕組みだと胸が目立つから!

 うーん、これが男を狂わす女か。そう思うと気になってしょうがない。きっとすんごいんだろうな。


 いかんいかん。

 エロいこと考えてはいかん。


「シュリ、この間のオルド君とはどうなったんだい?」



 直後、シュリがぴしりと固まった。

 やっぱりか。



「今日、バズ大佐と会ったよ」


 更にこちんこちんに固まったシュリ。

 なにか喋ろうとしているが、あわあわと言葉にならない。だが力を振り絞って言葉を吐き出した。

 そして、震えながら一歩後ずさる。



「なななななんて?」


「シュリに未練たらたらみたいだよ」


「ええ・・・・」


 力なく地面に崩れそうになるシュリ。慌てて腰を抱き止める。あ、やわっこい、なんかイイ。これがシュリの身体か。


 服の上からでこれなら・・・

 と、考えていたら、頭にどんっと衝撃が!


「なにやってんのよ!あんたは!」


 振り向けば修羅の表情をしたカナが腕組みをしている。

 恐るべしカナの踵落とし!


「誤解だー!」



 あーあ。

カナを怒らせてはいけません!

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