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家が狭い!マジ狭い!

「どうしたの?」


 朝食後、カナが魔王トリオに聞いた。

 彼らの様子が少しおかしい。



 因みに魔王達の名前は、

 魔王ちゃんがH-M4.02D

 男の魔王がH-M4.02U (ふたりとも)

 これは名前というより型式名称だそうだ。



 魔王は食事を取らない、食べる必要が無いという。水があればいいそうだ。

 どういう身体なのか不思議だが、大地からエネルギーを吸収するのだそうで、


「魔法?」


「科学です」


 だそうだ。

 食べようとすれば食べる事も出来る。

 味は判るし、栄養にもなる。

 ただ、そうすると消化器官が活動するので、○○が排泄される。

 魔王ちゃんに至っては、


「私はトイレになんか行かない!」


 なんて言っていて、ほぼ食べない。

 いいけどね。




「どうしたの?」


 カナの質問。

 答えるは魔王ちゃん。



「寝不足で・・・・」


「あら、寝不足でも平気でしょ?魔王なんだから」


「いやまあ、そうですけど気が休まらないというか・・・・」


「あら、どうして?」


 全く悪意の無いカナ。

 昨夜も盛大に喘いでた(迷惑行為)本人が気にもしてない。

 魔王ちゃんは生後1年以内で、身体と精神は15歳程。恐らくは未使用新品(しょじょ)

 俺達の()()()()()()を聞かせられて寝れなかったか。

 流石にマスターに注意するなんて出来ない魔王トリオ。

 しかし、家族増えたなあ。

 俺だろ、カナだろ、シュリに魔王トリオか。昼になればバトラーも居るし猫三匹。


 シュリはもう慣れて煩くても平気で爆睡出来る。


「かーなー!」


 シュリが流石にニブいカナに圧をかける。

 あっ!って、やっと気付いて赤くなるカナ。


「いや、その。煩いとか声がデカいとかってのは仕方ないで・・・いや、その平気です。お楽しみは大事です! そうではなく、その・・・」


「その?」


 魔王ちゃんがちらっちらっと男魔王二人を見る。

 そういや、魔王トリオは昨夜はホールに雑魚寝してたんだっけ。

 うむ、魔王たち、男女一緒はマズいか。



「その・・・」


 男魔王も話し出した。

 昨夜カナは男魔王二人に『魔王ちゃん襲っちゃ駄目』と命令しておいた。

 マスターの命令は絶対だ。


「俺達はマスターの言いつけ通りにするし、こんな小娘(ガキ)相手にしないけど」


「誰が小娘だ!」


「流石に人が横で大人しく寝てるのに、パンツに手突っ込んでもぞもぞするのは止めて欲しいです」


「な!」


「子供のくせに」


「煩い!お前そういって私をみてシコってんだろ!きっとそうだ!」


「煩いなあ。マスターに比べたらお前なんてガキだよガキ!」


「てめえ!表に出ろ!」


 赤くなった魔王ちゃん、怒る怒る。身体は出てるとこ出てるが、顔はほんと子供の魔王ちゃん。

 寝ながらそんな事してたのか魔王ちゃん。

 そういや、こいつらのちゃんとした名前も決めなきゃな。

 子猫にすら名前有るんだから。



「あー、やめやめ! どうだカナ、増築するか? 狭くなってきたし工房も欲しいと言ってたじゃないか」


「え?いいの?」


「ああ、ついでに部屋も増やそう。博士に言ってみるよ」


「有り難う、コー!」




 ーーーーーーーーー




「・・と、言うわけなんです」


 今、俺とカナはおとなりさんの家に居る。

 我が家を増築したいと軍に言ったら、苦い顔をされた。二部屋増築位なら物置小屋潰せば土地は確保出来る。工事は自分達で何とかしろと。まあ、OK出たとも言える。

 だが、カナの工房が問題だ。ここは住宅地。きっと夜中にガンガン騒音出したら近所迷惑。

 そうすると、鉄骨モルタルの建物で音漏れ少なくするための構造にすると土地が足りない。

 一番煩そうな工房がお隣さんちの真横に。いや、はみ出る。


 軍からはお隣さんが許可を出すか、お隣さんの引っ越しを了承してもらうかと言われた。

 あまりの大事になってしまい、カナは『もういいよ』と、言ったけれど、聞くだけ聞いてみようと、二人でお隣さんに来た。


 こんな時はシュリを同伴させれば要望はだいたい通る。だが、敢えてシュリは連れてこなかった。お隣さんの本音が聞きたいし。




 お隣さんは俺の話を聞いてう~んと、考え込んだ。

 独身の男性。名前はクラークス。

 軍の居住区の一戸建ては家族でしか住めない決まりだがクラークスさんは独り暮らし。この方は半年前までは奥さんが居た。ええ、離婚です。

 それで今は独り暮らしで本来なら立ち退き対象でもあるけれど、入居希望者も来ないのでほっとかれた。

 ここを立ち退いたらお隣さんは多分寮に引っ越すことになる。一戸建ではないだろう。




「私に引っ越しですか」


「いえ、ご都合もあるでしょうし、無理にとは言いませんから」


「もう妻も去りましたし、寮に行くべきかも知れません。妻は帰って来ないでしょう」


「因みに奥様の事を聞いても宜しいですか?」


 お隣さんはため息をついて手で顔を覆った。

 再び顔を上げると、こう言った。








「私を捨てた妻は今はどこかで冒険者と暮らしています」

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