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勇者の元妻のその後

「おーい勇者!」





 頭の中で声がする。





「おーい!」





 ゆっくり寝かせてよ、つるぺた女神。


「だから、つるぺたはよせ!」


 この間、つるぺた女神と呼べと言ったじゃん。


「女神と呼べと言ったんだ!」



 いいじゃん、他に誰も聞いてねーし。事実だし。思わず『つるぺた』って頭に浮かぶし。


 で、なんですか?



「いや、様子聞きに来たんだよ。どうなったかなーって」


 そうはいっても、こっちも大変なんすよ。打ち上げ機の開発難航してるし。こればっかしは勇者が努力してもしょうがないし。なんか恵んでくださいよ。


「あー、大変だろな。原始人に宇宙開発はなあ。現状でもよくやってると思うわ」


 あ、聞きたい事があるんですけど。


「なんだ?」


 俺の前いた世界って、今どうなってるんですか?


「なんともないよ」


 なんとも?


「ああ、ほっといてもなんとも無さそうだから勇者を引っこ抜いたんだし」


 引っこ抜いたって・・


「まあ、あっちの神官に『勇者は頂いた!』って言ってやったら、勇者が誘拐されたと勘違いしやかった」


 あんた、アホですか!

 もうちょっと言い方あるだろ。


「いやそれもあるけど、神官が耳悪くてな。今年104歳だってな。神官世代交代してくんねーかなって思ってんだ。いちいち面倒なんだよ」


 あー多分あれだわ、神官の給料がスッゲェ良いって聞いた事あるわ。死ぬまで役職手放さないと思うわ。家族も神官をがっちりガードしてるだろうし。


 俺の元妻は?


「ああ、あいつか。勇者の加護活かして酒造組合と商工会議所のトップになったぞ。そして今は将軍と不倫中だ。見てると飽きないわ」


 案の定、俺が居なくなってハジけたか。ここで元妻が他の男と寝てると聞いても嫉妬心が起きない。もう完全に過去の人だな。無事ならそれでいいんだ。

 しかし、不倫とは・・

 修羅場になるんじゃね?


「どうだろなー。将軍はあいつにゾッコンだぞ。勇者の加護を受けた女の性生活は底無しだからな」


 そのわりには俺が居た時はしてなかったのにな。


「あー、言いにくいんだけどな、相当浮気してたぞ。勇者から発見されずに浮気するんだからすげえよな」



 まじ?

 知りたくなかったよ・・

 裏切られてたのか・・

 もう愛してないとはいえキツいなあ。



 じゃ、ザブちゃんは?


「誰?」


 いや、俺がまだいた時に、妻がちょっかい出してた酒屋の次男だよ。


「さあ、そのまんまじゃね?そいつに興味ないしな。 おまえの元妻の肩書きはまだ勇者の妻だし。なんで離婚手続きしないかなー」


 あー勇者の妻になってれば補助金貰えるしな。あいつの考えそうな事だよ。


「戻りたいか?」



 いや、いいです。

 今はこっちの人間です。


「まあ、そうだろな。あんなに毎晩盛る彼女が居るくらいだからな。分かってるって、ツガイを引き裂くなんてしねーから安心しろ」


 あー良かった。


「お前らも猿じゃねーか」


 いやあ。

 照れる。


「しかし、宇宙開発は大変だしな。でも、なるべく自分達で作って欲しいんだよな。その方がネタになるし。あ、打ち上げ機はロケットと呼べよ、打ち上げ機はダサい」


 ロケットね。

 おーけー。ドラマでもそう言ってたな。

 またなんか役に立ちそうなドラマとか無い?


「あー、そうだな考えておくわ。タダで手に入る奴で」


 けちんぼ!

 サービスしてよ!


「しかたねーだろ! デートに金が要るんだよ。ホテル代いっつも私だし、今度セミナー行こうって言われてるし。セミナーって、ダメな予感がする・・・・」


 ・・・・・・

 ・・・・・・


「はあ」


 タイラー、ヤバくない?


「うー」


 言いたか無いけど、ダメ男じゃない?

 別れた方がいいんじゃ?

 良い男なのにフリーでいるのはなんかあるよ。


「ダメな予感するよなあ。でも、好きだと言ってくれるし、あの綺麗な顔見ながらスルのは最高なんだよ。やっぱ顔は重要だよ。前の彼氏は顔が残念だったから夜がイマイチ燃えなかったよな。目をつむってもダメだよな」


 あ、わかる。

 俺もカナがぶちゃいくだったら萌えないしな。

 ヨッコに相談したら?


「言ったじゃん、無理だって。ヨッコもタイラー狙ってるよ。だから内緒にしてたのに今更言えねえわ」


 じゃあ、あのほら、なんだっけ、もうひとりの男。名前忘れた・・


「ひょっとしてトモヤ?」


 あ、それ。


「うーん、相談は出来ないけど探ってみるか。セミナーはマズイよなあ。タイラーに会う前にどんなセミナーか探ってみよう」


 うん、その方がいい。

 セミナーはマズイって!


「よし、トモヤか誰かにタイラーの様子とか聞いてみるわ。じゃあな!」



 じゃ!



 あいつ、大丈夫?




 ーーーーーーーーー






 朝日だ・・



 横には美しい()()()()が寝ている。



 ベッドの横の床にピンクの霧の塊。


 これは!


「カナ!起きてカナ!」


「なーにー、コー」


「ほら見て!」


「んー?」



 ピンクの霧が消えると、親指程の小さな物体と弁当箱程の箱、そして薄い本。


「おおお!なんだろ!」


 カナもこれが女神からの贈り物だと気付いたらしい。

 薄い本をとり、ふむふむと読むカナ。どうせ俺には理解できん。紙面を覗きこむとまだ裸のカナのおっぱいに目が行ってしょうがない。



 なんかムラムラしてきた。


「ちょ、コー!もう朝だから! そ、そこはダメ!」


「一回だけっ!」









 ふうっ。



 学校遅刻しました。




当然、コウの元妻にも勇者の加護がついてます。


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