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ウキウキ女神

「やっほー勇者!」







 頭の中で声がする。




「ゆっうっしゃ~!」



 かなりご機嫌だな。




「あ、わかる~? わかっちゃう~? ふふっ」



 はいはい。

 ご機嫌ですね。

 どうしたんですか?



「あ、聞いちゃう?聞いちゃう?聞きたいよね~」


 あ、いや、そうじゃなくて用件。


「あのね、タイラーとヤっちゃった! うっひょひょ!」



 え、まじ!



「まじ!もう最高!青い海を見ながら太陽の下で結ばれたのよ!最高じゃん!

 美しいタイラーを美しく受け止める私最高!気持ち良すぎてどうにかなっちゃいそうだった!」



 海に行くって言ってたけど、タイラーをゲット?

 そしてアオカンかよ。

 人のこと猿とか言っといて自分が猿だな。


「きっきー、うっきっきー!」


 嬉しさでアホになってるな、この女神。

 良かったな、タイラーがまな板好きな奴で。



「だから言っただろう。需要があるって。まあ、元が美しければいいんだよ!小さくてもいいんだよ、ちゅぱちゅぱだよ、タイラーったら子供みたいに。我慢できなくて声出ちゃったよ!」




 んで、告白はどっちからしたんだ?



「告白?そんなもん無い!目と目だけで通じあったのさ! 良い男と良い女に言葉は要らん要らん! 青い海に言葉は要らん! あ、陰になる岩場は要る」



 ・・・・

 ・・・・

 遊ばれてないか、それ。

 付き合ってないのかよ。


「大丈夫!私達は心の中で通じ合ってるのさ!」


 そ、ソウデスカ。



「んで、今日も()()()!」


 あー良かったな(棒)

 で、今日は何の用だよ?


「あ、無い。用件無い。強いて言えば、魔王討伐がんばってなー」


 は?

 ただ自慢しに来たのかよ。


「自慢とは人聞き悪いな。幸せのお裾分けだよ。お前らだって幸せでいいじゃん!しっあわせ~!」


 そーいうのはヨッコとかいう娘に自慢しろよ。


「いやあ、ヨッコには内緒なんだよ。あいつもタイラー好きだろうし。いひひ、先にやっちゃたあ!言えねー!嬉しー!言いたい~!言えね~!ヨッコごめーん、うひひ」



 それで俺んとこ来たのか。

 でも、友達は大事にしろよ。

 おめでとう。


「ありがとうな」


 お祝いになんかくれよ。


「お? 今日は機嫌いいからサービスしちゃうよ。届くの待っててね~」


 気前の良い女神最高!

 良い女アマンダ最高!

 美の女神アマンダ最高!

(ヨイショ)


「そうだろそうだろ、私は良い女だからな!ヨッコごめーん私が綺麗すぎたのよ!」


 お祝い楽しみにしてまーす。いってらっしゃーい


「じゃあねー」


 じゃあね。






 ーーーーーーーーー





「起きて、コー」




 ()()女神の声。目覚めのキス。

 まだ服着てないから夜の気分が戻りそうになる。

 おっと、いかん。朝だ朝。



「これなんだろう?」




「ん?」






 ベッドの脇、床にピンクのモヤの塊。


 暫くするとピンクのモヤは消え、見たこと無い小さな機械が残った。


 顔を見合わせる俺とカナ。

 そして、機械の上に本が2冊。

 上の一冊を取る。



 読めん・・



 だが、カナの顔色が変わる。俺から本を取り上げ文章に食い入る。

 機械を見たり文章を見たり。


「・・凄い・・嘘・・」


「カナ?」



「コー、博士呼んできて!出来れば研究室の何人かも!」



 まだ裸のカナが大声を上げた!



 ーーーーーーーーー



 ちゃらー、どっどっ、ちゃちゃ、たたんたたん!

 ちゃらー、どっどっ、ちゃちゃ、たたんたたん!

 たらら、らん、らんらららんらんらん!

(謎の音楽)

「第6話 大統領命令!」




 何度目かなこの音楽。

 聞いたこと無い楽器のメロディ。50分おきに同じ音楽。流石に飽きた。


 俺んちのホールに研究室と設計室の面々。19人全員が揃った。

 博士と数人でいいって言ったのに、全員来ちまった。


 そして、カナを最前列に変な機械を皆で見ている。いや、機械が見せる不思議な世界を見ている。絵が動くんだぜ、本物そっくりの絵が動くんだぜ。音もある。

 でも、映ってるものが見たこと無いものだらけ。よーわからん。だが、博士達はぎらついた目で観てる。


 俺は眠くなってきた。

 とっても大事な内容なんだがさっぱりわからん。


 お茶と菓子持ってきたシュリもホール内の異様な気迫にびびってる。

 映像観てる博士達に話しかけるとすげえ睨まれる。



 ちゃちゃー、とうーとうーとうー、るーるー、ちゃちゃー!

「次回、衛星開発、悲しみを乗り越えて!」

 とうーとうーとうー、しゃっ!





「トイレ休憩にしよう」


 博士が立つ。

 突如始まるトイレ争奪戦!

 トイレ前で飛び交う怒号!

 皆、なんで我慢してんだよ。行きたいときに行けばいいじゃん。おいおい、隣の家のトイレまで行ってやがる。後で家主に謝っておこう。




 シュリが来た。

 今日はシュリに頼りっぱなし。


「コウさん」


「ああ、シュリすまない。多分夜もこの人達帰らないわ。食べ物大量に用意しといて」


 そこに博士が来た。


「おお、勇者。すまん、軍にルフィと行って、作っちゃた料理も有るだろうから、持ってきてくれ。シュリひとりでは全部を作るのは無理だ」


「じやあ、カナも手伝うようにーー」


「駄目だ!カナはこれを観なければならん!」


 ええ・・


「よし、再開だ!」


「かけます!」

 カナが機械を操作する。



 ちゃらー、どっどっ、ちゃちゃ、たたんたたん!

 ちゃらー、どっどっ、ちゃちゃ、たたんたたん!

 たらら、らん、らんらららんらんらん!

(謎の音楽)

「第7話 衛星開発、悲しみを乗り越えて!」



 因みに12話まであるらしい。寝ようかな。




 あーん、今夜はカナ無しの夜か。カナが恋しいよー!

 お祝いの割には俺は嬉しくねー!

ここで博士達が観ているのは、

『フロム・ジ・アース』

『スペース・レース』

のようなものと思って下さい。

宇宙技術開発の歴史をドラマにしたものです。

ですが、機械は映ってるのに設計図とかは見えません。数値もぽつぽつ。

画面から情報を読もうと博士達は必死です。


アマンダは技術系映像はどれが良いか知りません。

でも、知らない者が選んだ割には、良いチョイスだったんじゃない?

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