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勇者の浮気疑惑。博士は何者?

「ねえ、コー」



 カナが俺を見つめる、いや、睨んでいる。

 どうしたのカナ?



「浮気してないよね?」


 は?



「ねえ、コー」


 は?はあ?



「怒らないから正直にね」


 いや、どうみても怒りマックスでしょ!



「あのーカナさん・・」





「どーして博士が私と同じ速さで走ってんのよ! コーの加護受けたアタシと互角に走ってんのよ! 博士と寝たの? おっぱいが有ればいいの? 怒らないから正直に言って!」


 いや、怒ってらっしゃる。

 怒らないからという言葉が嘘になってますよ!

 俺も博士の事は不思議なんだけど、俺は浮気してないよ!



「落ち着け、娘」



 博士がカナに向かう。

 助けて博士!

 証言して!

 寝てないって!



「確かカナだったな」


 あら、呼び捨て。



「私のこの力は勇者の加護だ。むかーーー」


 どごおおおおおん!

 俺の顎にカナのサマーソルトが炸裂した!

 いてえ!


 後ろに吹っ飛ばされて砂に沈む俺。

 カナさん、俺無実なのにあんまりだ。

 勇者じゃなかったら死んでるわ。今のカナならサマーで人を蹴り殺せる。いや、頭ポーンだよ!

 顎痛い、首痛い、頭くらくら。死なないといっても痛いものは痛い。



「だから落ち着けカナよ。これは初代勇者の加護だ」



「え?・・・・・・初代?」


「うむ。その勇者ではない。人の話は最後まで聞くものだ。昔、召喚した勇者の加護だ」



 なんと!

 博士の身体能力の高さは初代勇者の加護か!

 てか、初代勇者と博士はそういう関係だったのね。

 どんな勇者だったの?やっぱりおっぱいで誘惑したの? で、その勇者死んだんだよね? 色々聞きてえー!



「コーごめん!」


 慌てて俺に覆い被さり抱きついて必死に謝るカナ。顎や頭をぺたぺた触って怪我ないか確かめてる。

 カナの声は半泣きだ。


「大丈夫だよカナ。ほら、平気平気。勇者だからな」


「うわあああん、ごめんコー! 疑ってご免なさい!」


「解ればいいって。俺はカナ一筋だから」


 優しくカナの頭を撫でる。

 いや、博士の言葉の順序が良くなかった。悪いのは博士!



「コーの事を信じてたけど、物語の勇者ってほら、女ぐせ悪かったりするから。あのその疑ってご免なさい」


「やだなあ。勇者が悪いやつって訳じゃないからさ」


 俺はマトモだ。


「ん?初代は女ぐせ悪かったぞ。初代が死んで女の戦いが終わりほっとしたもんだ」


 ん?


 カナの頭が手から離れ、砂に寝る俺を真上から見るカナ。


 じーーー


 え?

 疑われてる?


「あのう、カナ・・・・さん?」



「浮気しちゃダメだから・・・・ね」


「は、はい!」



 あらあ?

 さっきまで平謝りの子犬モードだったのに!

 全く博士は余計な事を!




「さて、カナよ」


 博士は鞄の中から紙を取り出した。それにペンで何かを書いている。書き終わるとカナに渡す。俺に乗ったまま受けとるカナ。


 紙を眺めるカナ。

 俺からは裏しか見えないが、透けてるのを見るに、二桁の数字がびっしり。


「それを全て足してみよ」


「・・・・1584」



「正解だ」


「今まで計算は得意だったか? 今、簡単に出来たのではないか?」


「え、ええ」


「それも勇者の加護だ。カナよ明日から軍の設計室にバイトに来い。人手が足らんで困っていた。設計室に居る間はメイド代の上に手当を上乗せしよう」


「ほんと? そんな事許されるの?」


「私の権限でどうにでも出来る」


「あの、俺は?」


「学校に行け」



 カナは頭のいい博士のスカウトにあうってのに、加護の主の俺は子供達とお勉強か・・

 そうですよ。

 どうせ数字すら読み間違いますよ!



「コウ君、明日からまたお勉強頑張りましょうね」


 優しい先生モードのクララ先生。優しさが身に染みるわ、子供扱いの優しさだけど。


「コー」


「なに」


「浮気したらダメだからね! 先生も誘惑しちゃダメだからね!」


 クララ先生、敵判定!

 カナがめっちゃ怖い!

『舐めてんの!』的な態度でカナに微笑むクララ先生。キツめの笑顔でプレッシャーをかけかえすカナ。

 なんかこええよ。

 よく考えたら、俺とカナは結婚した訳じゃ無いんだよな。

 クララ先生が俺をゲットしたら、クララ先生は人生大逆転かも。俺の加護もつくし、俺が死んだら国から何か補償を貰えるかもだし、生きている間も手当ありそうだし。



「おお、教師に勇者の加護を付けるのもアリだな。三番目の勇者は童貞のまま死んだから、勇者コウに頑張って貰うのもいいのう」


 ヤメてください博士!

 折角カナがおとなしくなったのに! しかも、アシスタント達も俺をガン見してるよ。獲物を見るケダモノのようだよ!

 ひょっとしたら、初代勇者女ぐせの悪さは、勇者のせいじゃなくて女達のせいじゃない?

 そういや、加護って無限に与えられるの? 同じだけ与えられるとなると力のインフレになるから不自然だよな? 俺、浮気したことないから分からん。二人に与えたら同じ加護が二人につくの? それとも半分づつ?

 そういや前の世界の妻がだんだん強気になったのも加護が着いたからかな。魔王のようになってなきゃいいけど。

 そんな中、がっくりしてるのはリン社長。折角ネタになりそうな人材のカナなのに、カリーナ博士に取られた。ま、俺としてはカナを芸能界に入れたくないからいいんだけど。






 ビーチフラッグス、大丈夫?

初代勇者は熟女マニア?


博士がカナにさせたのは単純な2桁の足し算です。

ただ、30段の足し算ですが。

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