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カリーナ博士への出演依頼

「やめておけ」




 企画の説明をしていたリン社長に博士は言った。



 なんで毎回おれんちで打ち合わせとかするんですか?

 確かにここは軍エリアで治安はいいし、俺もシュリも直ぐ会えるし。

 今、おれんちのゲストルームには、リン社長、俺、シュリ、カナ(お茶係)、クララ先生、カリーナ博士、ルフィ、リン社長の秘書。


 リン社長は夏企画としてお色気たっぷりの『女子ビーチフラッグス』を提案した。 今回もヒール役で博士に出演を依頼したのだ。 博士がヒール役で出演してくれれば軍への支払いも増えると。しかし博士から企画そのものに待ったが。




「その乳女を水着にするのは危険だ。観客が暴徒化するかもしれん」


 博士、シュリを乳女とはあんまりじゃないですか? 貴方だって充分乳女です!

 そして、貴方の後ろにルフィが控えてるのは何故ですか? 最初この家に二人で現れた時、恋人になったのかな? 婚約したのかな? とおもったけれど、どうもルフィの行動が変です。どうみても秘書。いや、下僕。

 この間の打ち上げ会でルフィと雑談したけど、昔からルフィは顔も良くてモテた。だからまあ『超人』にも採用されたんだが。

 女に不自由したことの無いルフィ。普通の同世代の女に飽きて熟女に走りそうだったのは聞いて知っていた。

 だが、これはなんか違う。

 見た感じ博士の下僕だわ。

 そして下僕のルフィが嬉しそう。

 博士って、ナイスバディの熟女だが美人では無い。顔は普通のおばはんだ。化粧もしない。若い頃も普通だったんだろうなって感じ。

 ねえ、ルフィ。

 何がそんなにいいの?

 あの後で何があったの?


 あとで聞いてみよう。


「何故ですか?」


 リン社長は納得がいかない。前回の成功を考えれば今回の企画も成功の確率は高い。


「あの乳女には魅惑の呪いのような効果がある。特殊能力のようなものかと思ったが、本人に自覚はないし、コントロールも出来ん。あんなもの水着で晒したら大暴動になる。ポロリでもしたらどうなるか分からん」


「特殊能力・・」


 思わず呟いた。


「話してみよ」


「あ、いや、俺の世界ではたまに能力保有者が生まれる事があるんだが。まあ、俺も能力者だし、シュリみたいなのも居るんだ。ただ、それは本人がコントロール出来るんだけど。こっちの世界では全然見ないと思ってたけど、やっぱ居たんだな」


「詳しく話してくれないか」


「この世界に魔法使える人は居ないですよね」


 俺は右手で耐衝撃バリアーを展開し左手でそれを鶴亀波ミニで撃った。ばんっっ、バリアーと鶴亀波がぶつかり周りに軽く衝撃波。


「これは魔法です。この世界でこういうのをする人を知りません。いませんよね?」


「居ないわ」


 即答のリン社長。


 俺は召喚で呼ばれたが、召喚するのはあくまで女神。召喚師は女神に『お願い』するだけ。或いは女神の声を受けとるだけ。


「この他にも治療のための魔法とか火や光や温度を自在に操る魔法も有ります。でも魔法を使えるのは俺の世界でも国全体でせいぜい10人程。まあ、俺が一番強かった。

 で、シュリの魅力は凄いそうだけど、俺はそれを感じた事がない。ただの巨乳とだけ。俺は精神バリアーを常時展開してるから洗脳魔法とかも効かない。話を聞いていてシュリは俺の世界の魔法使いの末裔かなと想像したんだけど、なんか違う。

 シュリ、お前は転生者かなにかか?」



「あ、いえいえ、普通普通!」


「じゃあ、男が寄ってくるようになったのは?」


「うーん、12歳のころからかな。確か、初めて痴漢にあったのもナンパされたのも12の時」


「恥ずかしいこと聞くけど、胸が大きくなりだしたのはその頃?」


 これ重要。変態と思われても聞かねば。


「うん、あんまりにも目立ってきてすっごい焦った」


「カナ、シュリの胸もんだんだっけ?」


「え?恥ずかしいことみんなの前でばらさないでよ!」


「重要なんだ。あの時どうしたんだ?どんな気持ちになった?」


 顔が真っ赤になるカナ。

 シュリの寝込みを襲って乳揉みしたのを皆にばらされたからな。


「えーと、言わなきゃダメ?」


「頼む」


「寝込みでいたずらしたんだけど、異次元の気持ち良さで、正直そのままシュリをがっつり襲おうかと思ったくらいよ。踏みとどまったけど」


「もう一度やってくれないか?」


 がたん!

 シュリがびびって椅子ごと後ろに!


「どういうこと?」


「頼むカナ。シュリも」


「ええ・・・・」


 いやーな表情のカナ。


「必要な事だから」


 促されてカナはシュリの後ろに立つ。しかし、シュリが手で胸をがっちりガード。


「シュリさん」


 リン社長がシュリに諭す。

 手を下ろすシュリ。

 そしてカナは両手をシュリの首もとから服の中に!

 生だ!

 あ、揉み方がしつこい!


「ひゃあああああ」


 シュリが変な声を出す。

 服の中で動くカナの手。

 暫くしてシュリは前に突っ伏してしまった。ゼイゼイいっている。

 離れるカナ。やりすぎ!


「どうだ?」


「今日は冷静でいられたかな。二度目だから?」


 やはりか。


「カナ。カナには俺の加護が付いたんだ。呪いや魔法の精神攻撃を受け付けない身体になったんだ。カナは普通なら女の身体に欲情しないだろう。だけど、以前はシュリの身体を触ったとき虜になりかけた。でも今回は平気。そうだろう?」


「え、ええ。そんな感じ」


 間違いない。

 カナに俺の加護が着いた。

 肉体関係を持つとこういうことは起きる。必ずではないが。踵落としも強くなってるに違いない。



「シュリ」


「は、はい」


「胸を見せてくれないか」


 どごおおおおおん!


 気がつけば俺の頭が目の前の机に叩きつけられていた。後頭部に痛み。

 カナ・・・・痛いってば!


「コー!」


「ちがっ! 変な気持ちでなくて大事なこと!落ち着いてカナ!」


「この変態!」


「話を聞いて!」


 つまりだ。

 シュリの身体は何らかの魔法か魅惑効果を流してるのじゃないかと言うことを皆に説明した。俺はそういう特殊能力を測定する能力がある。前の世界でもそういうことができるのは能力者のなかでも数人。俺は出来る。

 てなこと説明した。

 それに共感したのは博士だった。博士は状況と観察でそれに近い事を思ったらしい。



「それって胸出さなきゃダメなの?」


 痛いところをつくカナ。

 あえて答えない。実際わからんし。



「シュリ!動かないでね」


 そう言うとカナはシュリの脇腹から手を突っ込み、自分の手でシュリの胸の正面側をガードした。

 ちっ、一番重要な所を・・・・


「シュリ、大事なとこ隠してあげるから服めくって」


「ええっ、やるの?」


「早く。コー、それ以上近寄っちゃダメだからね。シュリ、めくって!」


 この場でもう一人の男ルフィは後ろを向かせられている、博士に絶対服従だ。なにも知らなかったクララ先生は興味津々そう。窓はないから外のバトラーからは見えないな。


 シュリが服を控えめに捲る。お腹まで程度。


「もっともっと!」


 思い切りの悪いシュリにカナが捲るように要求する。

 声の後、ちびっと持ち上げるシュリ。


「少な! もっと、」


 またちびっとだけ上げるシュリ。まだまだ腹だけしか。


「もっと!」


「無理無理無理!」


「あーもう!」


 イラつきマックスのカナがガードをやめて服を持ち上げた!






 びろーん。




 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・




 腕と頭が包まれ玉ねぎ状態のシュリ。





 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・



 あーあ。


 よーく見えました。

 怒るなよカナ。お前がやったんだからな。


 食い入るように観察するリン社長とカリーナ博士。

 目を丸くするクララ先生と社長の秘書。

 後ろ向きのまま博士の言い付け守るルフィ。


 上から眺めたあと、シュリのを摘まんで、びよ〜んと引っ張るカナ。お前、酷い奴だな。







 再び皆でテーブルを囲みお茶を飲む。

 寒くないのにコートまで着込むシュリ。たまにカナが動くとがたん!とシュリがびびる。



「凄かったな」

「凄いわね」

「こんなのもあるんですね」

「社長・・」


 皆、さっきの衝撃を思い出していた。俺とカナは動じなかった。ルフィは見せて貰えなかった。


「確かに危険だわ。シュリさんの水着はやめましょう」


 社長の判断は賢明だ。

 シュリは危険だ。

 シュリの使い方いかんでは、事件にも発展しかねない。今後の活動も色々考え直した方がいい。



「勇者、その乳どう見えた?」


 博士の『見えた?』のフレーズのあと、シュリが俺を睨む。



「『魅惑』が出てますね、呪いや魔法ではないです。能力ではなくて当たり前に身体から出てます。多分睡眠していても出てる筈。カナが寝込みをいたずらした時も影響したらしいですし」


「勇者の力で止められないのか?」


「博士、方法が解りません。後から着けた能力ならなんとか出来そうだけど、どうみても『自然に』出てるんです」


 それを聞いて博士は深く考え込んだ。博士も何か考えてるんだろうか?だが、専門外だろうし、答えは出ない。



「危ないから水着と露出の高い服装は無しね。水着要員は他で何とかしないと」


「社長!カナはダメ!」

「私も教師ですし!」


 俺とクララ先生が間髪入れず断る。


「ううーん」


 唸る社長。


 結局、企画は中断され、今日は解散することになった。そして、俺は気になった事をルフィにこっそり聞いた。


「なあ、博士とつきあってるの? 博士って凄いの?」


「付き合ってるのではなくて、えーと・・」


 答えにつまるルフィ。

 代わりに後ろから来た博士が答えた。




「技術力だよ」






 なんだよ、技術力って。




だから、その技術力の内容を!

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