せんせい おはようございます!
「せんせいおはようございます。みなさんおはようございます」
「はい、おはようございます」
皆の挨拶に優しくも大きな声で答える若い女性の先生。
緑の髪を後ろに縛り、スラっとしたタイトな服。
へえ、この世界には緑色の髪の人なんて居るんだね。
この世界の事を手っ取り早く学ぶ為に俺は学校に来た。
俺のクラスは「1−3」となっている。
数字は読めた。1と3は判った。
どうやら一番初級のクラスらしい。
子供しかいねえ。
因に俺の番号は「25」だ。読めなかったので先生に教えて貰った。いや、25じゃないかなって思ったんだ。机が25人分あったし、俺が最後の筈だし。2は読めたが5が自信無かった。この国の5と7が似てる。
俺、授業が大変だ。
内容は簡単な筈なんだよ。
でも、歳とると新しい内容がさ、頭に入んないの。主に文字が。
耳で聞いた言葉を書こうとすると条件反射で母国語で書いちゃう。それを桜花の言葉で書こうとすると大変。
音と文字の関連がさっぱり判らん。
桜花の文字は表音文字の筈なんだが、俺の頭に入って来る音声は俺の母国語の響き。
なんてこった、女神のサービス能力で自動翻訳されて聞こえてるので桜花語の響きを聞く事が出来ない。
つまり、表音文字なのに表意文字として認識しなければならない。
しかも、文章に至っては接続詞や単語順が違う。だがそれを耳で聞く事が出来ないので難易度が高過ぎる。
翻訳表記できるのは単語だけ・・・1年生を留年するかも知れない・・・
最初は優しい笑顔で教えてくれた先生も、数日経つと、舌打ちしたり、睨むようになって来た。
子供より覚えが悪いおっさん。
ご免なさい、先生。
みんな女神が悪いんです。あのつるぺた女神が文字も読めるようにしてくれたら問題なかったんです。
先生も大変ですよね、勇者の教育係にさせられて。
俺が馬鹿なままだったら先生が責められるんですよね。頑張りますから見捨てないで下さい。
だから、俺の出来が悪いからと言って眉間にシワを寄せないでください。折角、つるぺた女神より美人なんですから。
ああ、そうだ、この先生もリン社長に教えてみようかな? 『良い女探せ!』って吠えてたし。
だけど、今はやめておこう。俺が話しかけるといつも機嫌が急降下するし。偶然を装って社長に街角スカウトしてもらうのがいいかも。
解らない所を聞きに先生の席に。
教室内に教師エリアがあって、そこに座る先生。
「あのう、コレとコレの使い分けが解りません」
まあ、接続詞が2種類あるのだけど、俺の母国語にはない使い分け。それを聞きに。
あら、正面に立って先生を見る。
谷間が見える。カナと同じくらいのやや控えめ。良い。
今の俺にはストライクなサイズ。好きな女で好きなサイズって変わるよな。
前の妻とラブラブだった頃は妻のサイズのやや巨乳が好きだった。今はカナのサイズが大好き。
そして、先生って立ったり座ったりする時の動きを見てると、なんかスポーツをしてたっぽい。特に頭と首を見てるとよく解る。頭の安定は体幹のの安定。
「なにジロジロ見てるの?」
あ、やべ、睨まれた。
「いやあの、先生何か(スポーツとか)してました?良い身体だなって」
「は? 何かって、失礼ね。何も(イヤラシい事)してないわよ」
「いや、しゅっとしてるから(手足とか首とか引き締まってて)」
「悪かったわね。しゅっとしてて(胸が)」
「あ、そうなんですか。意外だなあ(スポーツマンでは無かったのか)」
「悪かったわね。意外で(遊んでる風に見えるのかい!)」
目を細めて睨んで来る先生。
なんか怒りを買ったようだ。
あ、この目つきかっこいいわ。
うん、社長に紹介してえー!
「先生、今度お時間とれませんか?」
「え?」
「いやあの、綺麗だなあって」
「え、き、綺麗? え、あ、ありがと。その、コウ君。私と貴方は先生と生徒です。その、先生と生徒は付き合ったり、結婚なんて出来ないんです。あ、でも、年齢は問題ないか・・でも、勇者と結婚なんて・・」
「あ、いや、ご免なさい。違うんです、会わせたい人が居るんです」
「え? 会わせたい人? ご両親? あ、いや異世界人だからご両親は無いか。じゃ、友達の紹介? どんな人? 職業は? 軍関係? 身長は?」
「ええと、何と言っていいやら。その芸能関係で元芸能人の人なんですが・・・・」
「行くわ!!」
絶対勘違いしてる。
「採用!」
リン社長は即答だった。
何故か面接はおれんち。
クララ先生はかつての大女優を目の前に呆気にとられていた。
そりゃ超有名人だもの。
芸能人パワーって、凄いね。俺にとっては金の亡者にしか見えないけど。
男性芸能関係者を紹介されるかと思って盛大に女性力をモリモリにしてきたクララ先生。だがそこにいたのはリン社長!
化粧してようがしていまいがリン社長は全てを見通す。当然、素材の良さを社長は把握した。なんてったって、クララ先生は美人だ。
驚く事にリン社長はクララ先生を下着にさせてしまった! 俺居たのに!
うわ、セクシー!
あろうことかリン社長は俺にクララ先生の身体の意見を求めた。
「良い身体だと思わないか?」
「あ、はい、とっても綺麗です」
「そうじゃない、筋肉だ」
「あ」
肉が有るのに所々くびれる足。
ガリガリじゃなくて肩と二の腕にはちゃんと形がある。
そして腹筋。
なのに細身で小顔。
確かにクララ先生は美人だが、それは引き締まった身体に後押しされてる。これがたるたるな身体だったらそんなに魅力は無い。シュリとは別ジャンルの美人だ。シュリ、痩せろ! 今朝もすげえ食ってたよな。あ、カナは今のままでいい。
「あなたスポーツは?」
「ええと、昔水泳してました。今はサッカーを仲間と」
サッカーって、何?
作家?いやいや、そんな筈は無い、なんかの運動だろう。俺の祖国には無いけど。
「決まったわ。次の企画が」
「「え?」」
「コウ君、カナさんに水着買って上げなさい。クララさんのは私が手配します」
「いや、カナはダメ!」
「心配しないで、カナさんは人数合わせよ」
「あ、あの・・・・」
不安そうなクララ先生。
もう、リン社長のまな板の上だな。
連れて来て良かったわ。下着のクララ先生見放題。
ごおおおおおぉん!
痛い!
振り返ると修羅の顔をしたカナが居た。
ああ、また踵落としが!
脱がせたのは社長だから!