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大会打ち上げ

 腕相撲大会は大成功だった。


 いや、勝てなかったらどうしようかと思ったけど、良かった良かった。

 で、今はスタッフ全員で打ち上げパーティーの真っ最中だ。

 会場から徒歩3分の場所の飲食店を借り切って大騒ぎ。

 リン社長と会場スタッフに超人とアシスタントの女性達とかで飲んでいる。

 アシスタントやスタッフの女性も綺麗な娘揃いだから男どもが盛り上がるのなんのって。そしてリン社長はアシスタントの中から第二第三のシュリをと企んでるそうだ。今回の大会で客がどの娘に一番集まったかとか探っているらしい。『カナもどうだ』とリン社長に誘われたが、俺が断った。アシスタントまでなら良いけど、売り出しは俺が許さん。


 いや、飲み会楽しい。

 俺ってばこの世界に来て初めて皆と仲良くなったんじゃね?

 個人個人では何人か付き合いは有るけれど、今日みたいに大人数から注目されて、今みたいに皆で酒を飲むとかなかったわ。イベント開始直後こそ居るだけの存在だったけど、今なら色んな人と楽しく話して飲める。嬉しいわ。

 ありがとう、シュリ。この企画、お前が考えたんだってな。くれぐれも飲み過ぎるなよ、これから有名人として売り出すのにスキャンダルはマズいからな!


「よお勇者!腕相撲しようぜ!」


 赤の超人トビードウゾンが笑いながら絡んで来た!


「やめろお前ら!ここの机じゃ壊れる!」

 社長が怒鳴る!

 そりゃそうだここの机は弱っちい。


「社長、大丈夫!床だよ床!」

 トビーがせかす。


 てなことで、床にうつぶせに寝そべって腕相撲したわ。

 当然勝ったとも。おおおおう!とどよめきが上がる!

 もう止まらない!続けて青のキラーゴーンとも,緑のルフィともやったが当然全勝!

 超人同士とか、スタッフ挑戦とか、わいのわいのと酔っぱらい共の腕自慢が楽しい。


 対戦を終えたルフィと床に座ったまま雑談。


「さっすが勇者、つええ!」

「いやあ」


「ところでよう」

「なんだい?」




「カリーナの胸は何時揉むんだい?」

「ぶっ! しー! しないしない!」


「彼女にはバレねえって、お前羨ましいぞ。熟女も良いぞ!」

「だからしないってば。やだなあ、ははは」


 そのときドアが開いた。

 来たのはありゃりゃ、博士だ。噂をすればナントやらだ。

 昼間の衣装を着ているが、上着と腰巻きがあるので痴女ではなくなってる。

 ただ、顔は晒してる。当たり前か。



「おい、勇者は居るか!」


 皆が博士を見る。

 カリーナが博士だと知ってる者は数名だが、今日の挑戦者だと皆判った様だ。


「勇者は居るか!」


「あー、ここです。なんですか?」


 博士は近くのテーブルから酒瓶を取ると俺の所に来て座って飲み始めた。しかもラッパ飲みだわ。次第に他の人の注目は無くなり、会場に騒がしさが戻る。

 博士が居るのはいいが、ルフィにとっては複雑だ。博士は負けた相手だし、上司ではないが軍では博士の方が偉い。

 声をかけたのは博士からだった。


「なかなかだったぞ、ルフィ。もっと簡単に勝てるかと思ったのに予想以上だった」


「いやあ」


 返答に困るルフィ。そりゃそうだ。博士の手袋のことを思えば負けた方は面白くない。


「社長からお前を選べと言われてたからな」


 そうなの?


「ああ、それはきっと俺が『超人』をするのが今回だけだからですね。残りの二人はまだ契約があるから評判を落としたくないんでしょう」


「やはりか。まあそんなとこだろうな」


「所で勇者よ」


「なんですか?」


「揉んでいいぞ」


 上着を広げる博士。

 形くっきりぴたぴたスーツ。顔は中年だが身体はスゴい。


「いやその、あの、遠慮します」


 博士、有難いお言葉ですが、斜め60度から鬼の形相でカナが睨んでます。空ビンを逆さに持とうとしてます。それに博士も察したようだ。


「それなら仕方ない。恋人は大事に味わえよ」


 その言葉変です。


「今夜の予定を空けておいたのに勿体ない。じゃあ、ルフィ君、後で来なさい」


 はあっ!

 揉ませるだけかと思ったらひと晩? 博士は痴女どころか淫乱で? ルフィ、どうすんの? そういや熟女オッケーだったよなルフィ。あ、にやけてる。行くなこれ絶対。


 そして、


「勇者に渡しておくものがあったんだ」


 そういうと博士は封筒を俺に差し出した。

 受け取り、中から紙を引き出す。


 なんだこりゃ?

 表。


「今度会うまでに、その表の空欄にお前の字を書き込んでおけ。お前の普段使う文字でな」


 隣から覗き込んできたルフィが読み上げる。


「高度・速度・温度・燃料・・・・多いな」



「何ですかこれ」


「打ち上げカプセルのスイッチに貼る。この国の文字は読めないだろう。お前の国の文字を貼る。それともこの国の文字でいいか?」


 ブルブルブル!

 首を振った。

 この国の文字は数字しか読めないわ。つうか、やっぱり宇宙に行かなきゃならないの? うやむやになってるわけなかったか。

 そもそも俺に操作させるの? 助手とかが隣で操作したくれないのかな? 戦闘とか力仕事は得意だけど飛び方なんて知りませんがな!


「あのう、打ち上げ機の運転手の人は?」


「お前1人だ。1人乗りだ。一応、打ち上げの狙いはつけて打ち上げる、途中の調整もこちらでなんとかする。そこの操作は難し過ぎてお前には無理だ」


「じゃあ、全部しといてくださいよ。分かんないよ、こんなん」


「うむ、だがな、帰りは自分でしないと帰れんぞ。帰りが何処からか、どうなってるかも分からんし。それに行きだって順調に全て動くとは限らん。手動操作も出来んとな」



「・・・・自爆」


 は?

 ルフィ、今、何て言った?

 目を丸くした俺にルフィは表の一文を指差す。


「博士!自爆ってなんすか!」


「うむ、必要かもしれんし、カッコいい」


 まてまてまて!

 自爆って!

 帰りにも必要なのに自爆ってダメじゃん! 帰れない!

 てか、魔王に特攻?

 ああ、誰か代わりに行って!


「じゃあな」


 そう言うと博士は立って出ていった。帰りにリン社長と少し言葉を交わしていた。偉い人同士の話なんだろう。




 そして、ルフィが時間差で出ていった。



 おおーい!



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