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女王蜂シュリ

「と、言う訳なんだ」



 バズ大佐との昼間のやり取りを食事をしながらカナに説明した。

 因にカナも一緒に夕食を食べている。既にメイドの扱いではなく同居人だ。妻ではないけど。


「スープのおかわりいる?」


「あ、頼む。芋多めで」


「はい」


 夫婦かな?

 他から見たら夫婦に見えるよな。



「まさか親子でとはねえ。けしかけたアタシ達もマズかったわ」


「う〜ん、でもまあ俺達は悪く無い・・・・と、思う。大佐が悪い」


「てか、『次元が違う』って何よ!」


 そういうとカナは自分の胸やら腹やらぺたぺたと触った。

 そして立ち上がり、部屋を出て行った。

 暫くすると・・・




「ぎゃああああああああああ!」





 ドア越しに聞こえるシュリの悲鳴!

 なにやってんだよ!

 メイド部屋にはシュリが寝ていた筈。何したのさ!

 そして戻って来たカナ。

 自分の席に座ると、テーブルに肘をつき、顔を手で隠す悩みフォームでこう言った。



「ヤバいわ、すんげえ気持ちいいわ。女でも変なキモチになっちゃう・・・・」



 ねえ、なにしたの?

 カナも大概だわ。

 そしてもう一度自分の物をぺたぺた触るカナ。俺が目の前に居るってのに。



「負けた・・・」


 いや、負けてないから!

 俺はカナ派だから!

 シュリよりも元妻よりもカナが一番だから!


 落ち込んでるカナに、


「どうする?」


「どうするって、もう成長期は終わってるから・・・・」


「いや、そうじゃなくて、オルド君!」


「ああ、そっちか」


「そっち! カナは今のままで最高だから!」


「コー、優しいね。いいよ気を使ってくれなくても。あれ触ったら世界が変わるよ」


「変わらないから!カナが良いから!そうじゃなくてオルド君!」


 とはいえ、その麻薬の様なシュリの物が気になってるのは内緒だ。

 でも、決めた。ラッキースケベのふりしてシュリには触らないようにしよう。恐過ぎる。


「ほおっておこうよ。所詮は本人同士が決める事だから。コー、もしアタシがシュリみたいだったらどうする?結婚する?しない?多くの男の影が気になる?オルド君がそれでも良いと言うか、嫌だと言うか。本人が決める事じゃないかな」


「そうだな。あまり口は出さない方が良いんだろう。あ、もし、もしもオルド君にシュリの過去を聞かれたらどう答える?」


「え!いや、どうしよう?教えてやるべき?」


「流石に大佐の事は言えないけど」


「だよねえー」



 と、言った所でドアが開いて、バトラーが来た。

 因にバトラーはカナの手料理は食べさせて貰えない。


「お客様です」


「誰?」


「バズ大佐の奥様です」


 来る者が来たか。

 会いたくねえー!こえーよ。


「ちょっと、待っててもらって」


「畏まりました」


 そして俺とカナは残りを平らげ、俺はゲストルームに向かった。

 カナはお片づけ。

 ゲストルームに行くと、上品そうなご夫人が。

 確か昔は人気舞台俳優だったよね。うん、歳とったけど顔立ちがいいわ。スタイルも良い。きっと今もプロポーションには気を使っているのだろう。こんな美人の妻がいながら大佐は・・・


 挨拶を交わした後、大佐の奥様、リンさんはこう切り出した。


「息子とシュリさんを別れさせて下さい」


 ストレートな依頼が来た!

 やっぱ、そうだよなあ。オルド君にシュリは無理が有るよなあ。それともリンさんがシュリを嫌いだとか? まさか、色々バレてる? 大佐逃げてー!


「何故ですか?」


「息子にあの娘は無理です。見た時に判りました。シュリさんは普通ではないと。あれだけ()()()()()()()()()()は居ません。色々な歴史を持っている筈です」


 ええ、その通り。貴方の旦那も歴史の一部です。



「そして歳上なので息子は結婚をすぐしたいとまで言ってます」


 修羅場爆弾と結婚するのは俺もお勧めしないわ。



「息子に私から説得しても聞く耳持たないでしょう。夫は役に立ちませんし」


 役に立たないよな。別の意味で。



「コウ様の方から働きかけて下さいませんでしょうか? シュリさんから別れ話をして下されば息子は諦めます。そう言って欲しいのです!」


「いやまあ、こう言うのは本人達の心の問題ですから」


「そこをなんとか!」



 ここでカナがお茶を持って入って来た。

 あら、さっきのくつろぎモードとは違って清楚で真面目モードだわ。


「どうぞ」


 お茶と茶菓子をならべるカナ。

 カナを呼ぶ。



「シュリは?」(小声)


「大丈夫寝てる」(小声)



 平静を保ちながら壁際に立つカナ。

 野次馬に来たなあ。



「もし、協力して下さればお礼も用意致します」


 そう言ってリンさんは札束を机に置いた。

 だけどなあ、俺には価値がわからん。異世界人だもん。

 またカナを呼ぶ。


「あれって、どのくらい?」(小声)


「アタシの年収くらい」(小声)


 すげえじゃん!

 奥さんは人気女優だった訳だし、財産一杯有るんだろうね。

 でも、死ぬかも知れないし、生きてる間の生活が保証されてる俺にはお金なんてどうでもいい。

 それでも聞く事は聞く。



「まだ話してない理由がありそうですね?」


 旦那の事かな?

 意外とこの奥さん勘がいいのかも。


 暫くリンさんは黙っていたが少しずつ溶け始める。



「その・・・・」


「その?」



「息子と別れたら・・・・」


「別れたら?」



「シュリさんを・・・」


「を?」



「芸能界にデビューさせたいと思っております」


「ぶっ!」



「シュリさんなら成功間違い無しです! 私のツテでデビューさせます! 社長には話しをしてあります。とんでもない大物を見つけたと!」


「まてまてまて! シュリはまずい! スキャンダルだらけだぞ!(アンタの夫も!)」



「そういう路線もアリです! あの魅力は100年に1人の逸材です! 面倒は私がみます。 どうか!」


「困ったなあ・・・・・・」



 まさかのスカウト。

 どうなってるんだよ、あの合法ロリ巨乳。

 てっきり、シュリが気に入らなくて怒鳴り込みに来たのかと思ったのに。


 どうすんだよ、この一家。

 3人して別々にシュリを欲しがってる。

 いや、芸能界はマズいだろ、冗談抜きでスキャンダル大盛りだぞ。



「まさか、シュリに脱がせるんですか?」


「そんな事はしません! 脱いだらその時は盛り上がりますが価値は下がります、飽きられます。男共を完全に満足させたらダメなんです!」


 いやあ。

 全てを味わっても満足出来ない男だらけですよ、特にアンタの夫だけど。

 まあ、俺も世間に向かって脱ぐのは反対だ。しかも、シュリは断るのが苦手だ。芸能界で食い物にされそうで心配だ。



「とりあえずお話は聞かせてもらいました。()()()()()()()()()言っておきます」


 居るけどね。

 そしてリンさんは帰っていった。お見送りはバトラーが。

 芸能界か・・・・・

 俺、シュリの親じゃないんだけど。





「カナ、困ったなあ」


「・・・・・」



「家族三人でシュリを奪い合うって、なんだかなあ」


「・・・・・」



「まあ、大佐の味方だけは無しだな」


「・・・・・」



「おーい、カナ」


「あの人・・・」



「ん?」


「私を誘わなかった! 見てるのに全然私の事興味なさそうにして!」



「え? あ、いや、そんな事無いから! カナは最高だから!」


「ええーーーーーん! アタシなんかあ! どうせ次元が違いますよおお!」



 困ったなあ・・・・

奥さんの名前を『リン』と予想出来た方は宇宙好き。

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