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勇者として召喚されました。

勇者登場!

転移はこの回でさくっと終わりです

「おおっ!本当だ!来たぞ!」



 光が消えると、そこは石造りの冷たい部屋。

 目の前で喜ぶ数人の人。



 俺はコウ。


 無敵の戦士。

 人間相手だろうが化け物相手だろうが負け知らず。


 あり得ない強さの俺を作ったのは神なのか魔なのかはよく解らない。剣でも格闘でも無敵で睡眠無しで戦える。お陰で俺の故郷には軍隊が無い。いや、形式上あるけど活動は無い。他国との戦闘も俺ひとりでカタがつくし、俺がいる限り襲ってこないし。


 そして、俺は戦いがなければただの人。生活に不満はないし、偉くなって政治なんかメンドくさいし、日々平和に地味に生きている。連続婦女暴行なんてしませんよ。



 日課のランニングをしていたら、突進してきた魔獣ププリウスに後ろから轢かれて、暫くしたら此処に居た。

 魔獣ププリウスは人里には余り出て来ないが、年老いた個体はボケて人里に出て来ることがある。しかもボケているのでたちが悪い。

 わかっているさ、勇者召喚だよな。

 さっき転移の最中に女神アマンダと名乗る存在から説明されたから。魔王が現れたから助けてやれと言われましたがな。


 元の世界に妻も居たが、すっかり愛は冷めていて、


「死ねばいいのに」


 などと言われたこともある。あいにく俺は不死者だ。(たぶん)

 妻にしてみれば、ラブラブだったのは結婚後半年だけで、あとはレス。

 今では邪魔者どころか嫌われている。妻は若くヤりたい盛りだが俺とはしたくないらしい。夜遊びで発散したいのだろうが、勇者の妻を抱く猛者は居ない。


 俺は強くて有名人。

 当然、妻も顔が知れわたってる。妻を寝取ろうなんて奴は現れない。俺を恐れているんだろう。新婚時代に妻に痴漢をはたらいた奴を再起不能にしたのは有名だしな。

 喜べ妻よ、これでお前は自由だ。

 貯金もお前のものだ、達者で暮らせ。

 知ってるぞ、酒屋のザブちゃん(次男)が好きなんだろ?

 ザブちゃんに近寄った女に嫌がらせしてたよな?やっぱりお前はガラ悪いわ。可哀想なザブちゃん。

 ザブちゃんの恋路は全て妻にへし折られてる。ザブちゃんの幼馴染の娘に男をあてがったのはお前だな?ザブちゃん泣いてたぞ。

 ザブちゃんがそのあと好意を持ったミユキさんになんかしたろう?ミユキさん酒屋に来なくなったじゃないか。

 元の世界の未練は妻でなくザブちゃんの幸せだけだ。

 すまん、酒屋のザブちゃん。妻は性格悪いが美人で床上手なのが救いだ。数ヶ月遊ばれてさっさと捨てられるのが最善だ。


 グッドラック!



 目の前には数人の人。

 その中のひとりが俺に近付いてくる。


「ようこそ勇者様。お名前を聞いて宜しいかな?」


 俺の名前を聞いて来るということは、俺を狙って召喚したわけではないのだね?

 誰を引くか決めたのは女神様かな?

 ひょっとして魔獣ププリウスをけしかけたのは女神様かな?わりと痛かったぞ。

  想像するに女神が空間の穴開けて魔獣ププリウスをけしかけて俺を落としたのかな?



「コウです」


「おお、コウ殿。突然のお呼び立てお許しください」


 偉そうなおっさんが俺に挨拶をする。そのあと色々聞いた。

 ここは桜花という国だそうで、周辺の国名を聞いても知らない地名ばかり。やはり異世界か。


 そして俺のことも説明した。

 最強と言われたこと。魔獣ププリウスにどーんと轢かれて気がついたら転移してたこと。転移中の不思議な空間で女神アマンダからちょっぴり説明が有った事。妻が俺に未練が無いこと。(俺は妻にちょっぴり未練があることは言わなかった。性的な意味でいい女だったなあ)だから異世界に来ても物理的に問題なかったこと。でも、俺が居なくなった前の国では防衛が大変になるだろなあと思ったこと。辛い食べものが苦手なこと。酒乱ではないこと。

 不死者で、何の加護なのかたぶん死ねないこと。(死んだことないけど)年老いた時、不死者はどうなるんだろう?と悩んでたこと。



 そして話を聞いていた白衣の中年女がニヤリとした。



「これはいい」



 え?


ザブちゃん、がんば!

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