窮地を救う者
「は……ははは……ヒャーッハッハッハ‼無様なもんだねぇ‼」
レーザー銃で三刃を打ち抜いたマルコは、勝ち誇ったかのように倒れている三刃に近付いた。
「ガハッ、ぐぅっ……」
三刃は苦しそうに吐血をし、打ち抜かれた個所を手で押さえていた。しかし、手で押さえるだけでは流れる血を止めることをできなかった。
「苦しいかい?なんならもっと苦しませてやるよ‼」
マルコは笑みを浮かべながら、レーザー銃で三刃を撃ち始めた。
「ぐあああああああああああああああああああ‼」
何度も打ち抜かれた三刃は、悲鳴を上げてその場で転げまわった。しばらくし、マルコが引き金を引いてもレーザーは出なくなった。
「チッ、なんだい弾切れか」
マルコはレーザー銃を投げ捨て、今度はレーザーソードを手にして三刃に近付いた。
「今度はこいつで斬り刻んでやるよ。あんたが私を風で切り裂いたようにねぇ……クックック」
倒れている三刃はまずいと思い、体を動かそうとした。しかし、レーザー銃で打ち抜かれた体は悲鳴を上げている。もう立つことさえままならない状態だ。
「クソ……」
「くふ。悔しいかい?私が憎いかい?そんなら立ち上がってごらんよ、そのへんてこな剣を持って私を斬ってごらんよ‼」
三刃はよろつきながら立ち上がろうとしたが、バランスを崩して倒れてしまった。マルコは笑みを浮かべ、レーザーソードを高く振り上げた。
「遊びはこれまでだよクソガキ。あの世で私に懺悔でもしてな」
そう言って、三刃にとどめを刺そうとした。しかし、何かの咆哮が聞こえた。
「ん?何だい?」
この直後、地面から龍のような物が床を突き抜けて現れ、マルコに激突した。そして、天井に激突して爆発した。三刃は先程の龍を見て、目を丸くして驚いていた。
「全く、怪我人が無茶しないでよね」
後ろから姫乃の声が聞こえた。三刃は驚いて振り返ったが、その前に姫乃が急いで駆け付けて、治療を始めた。
「姫乃……どうして……」
「話はあとよ。今は治療するから、動かないでね」
三刃は姫乃に返事をし、黒焦げになって倒れているマルコを睨んでいた。まだマルコは動くと三刃は確信している。先ほどのレーザー銃のように、何か隠し武器を装備している恐れがあると、三刃は思っている。
「クソが……援軍が来るなんて……」
「来ちゃ悪いの?極悪科学者さん?」
姫乃はこう言うと、マルコに向かって炎を発した。マルコは体に付いた火を消すために、慌てて手を動かした。
「完全には治らなかったけど、動ける程度に治したと思う」
「ああ。まだ痛みはあるけど大丈夫。まだやれる」
三刃は風丸を装備し、姫乃は刀を装備してマルコを睨んだ。
「さぁ、もう一回始めようか」
三刃がそう言うと、二人は一斉にマルコに向かって走って行った。
同時刻、結社内では三刃と姫乃が姿を消したため、かなり大騒ぎになっていた。そんな中、輝海と湯出、光賀は外に出てアンブレラの様子を見ていた。
「やっぱりこうなりましたね」
「ああ」
輝海がため息を吐くと、口から白い煙が出た。光賀はうーんと声を上げた後、輝海にこう聞いた。
「何か言い訳の言葉考えました?」
「全然。これが終わったらゆっくり考えようと思ってる」
「相場さんの時と同じですね」
「まーな」
この時、貢一が慌てて湯出の所へ走ってきた。
「何やってんだよあんたら、こんな所でゆっくりしてる場合じゃないよ‼あの二人が消えたって妹達が騒いでるんだ‼」
「知ってる」
「知ってるって……」
ここで貢一は何もかもを察した。輝海達と同じようにアンブレラを見上げ、恐る恐るこう聞いた。
「まさかあそこに……」
「ああ。三刃君が最初に乗り込んで、その後で姫乃が向かったんだろ」
「……はぁ、何でそんなことを……」
「ああいう奴を許せないんだろ。気持ちは分かる」
輝海はそう言って、もう一度アンブレラを見上げた。
姫乃が援軍に加わった後、マルコとの戦いは優勢になっていた。どれだけマルコがビームソードを振り回しても、後ろにいる姫乃の援護攻撃で邪魔をされる。そして、その隙を狙った三刃の強烈な一撃がマルコを襲う。見事な連携でマルコを圧倒していたのだ。
「そんな……はぁ……はぁ……」
マルコはその場で片膝をつき、一息入れてビームソードの電源を押したが、光の刃は発しなかった。
「こんな時に充電切れか‼クソッ‼」
充電切れとなったソードビームを地面に叩きつけた後、マルコは腰にある小型爆弾に手を伸ばした。しかし、目の前に三刃が迫っていた。
「なっ……」
「これで終わりだ‼」
三刃は風が纏った一撃をマルコに喰らわせた。剣による大きなダメージと共に、強烈な風がマルコを襲う。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」
響き渡る風の音に交じり、マルコの悲鳴が聞こえた。そして、後ろにいる姫乃が刀を構えていた。
「地獄はまだ続くわよ」
姫乃はこう言うと、刀を振り下ろし、炎を発した。その炎は徐々に巨大な龍の形になり、マルコを飲み込んだ。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」
続けて大技を喰らい、マルコの肉体はボロボロになった。攻撃が止まり、マルコはその場に倒れた。
「死なない程度には威力を抑えた」
「さ、結社に行くわよ」
二人が倒れたマルコに近付き、こう言った。だが、二人はマルコの手元に落ちている小型爆弾には気付いていない。
「嫌だね……お前らはここでくたばるんだよ‼」
マルコは爆弾を掴み、二人に向かって投げつけた。それが武器であることを察した二人はとっさに身構えたが、動くのが遅すぎた。二人は爆発で吹き飛ばされてしまったのだ。
「ぐあ……うう……」
この傷のせいで、三刃はレーザー銃で受けた傷が開いてしまった。姫乃は急いで治療をしようとしたが、体が言う事を聞かなかった。何故なら、壁際に合った先端の飾りが、姫乃の腹を貫いていたのだ。
「嘘……」
姫乃は何とか貫いた飾りを腹から抜いたが、強烈な痛みが姫乃を襲った。傷ついた二人を見て、マルコは大きな声で笑い始めた。
「ザマーミロ‼これで……貴様らはあの世行だ‼」
マルコは興奮しながら近くにあった台を強く叩いた。すると、天井に着いているランプが赤く照らし出し、周りのモニターが危険と表示した。
「な……何でだい?」
マルコは台を調べると、そこには緊急用自爆ボタンと書かれていたボタンがあった。