マルコとの決戦へ
三刃は手にした風丸を振り、アンブレラの外壁の一部を切断してアンブレラ内に侵入した。
「意外に広いな……」
アンブレラ内はそれなりに広いとは思っていたが、中に入って予想外に広いという事を知り、三刃は驚いていた。その時、警報が鳴り始めた。
「さて、行くか」
三刃は目の前に現れた対侵入者らしきドローンを見て、風丸を構えた。
同時刻、マルコはモニターでドローンと戦う三刃の姿を見ていた。
「私の作ったドローンをいとも簡単に……」
モニターが映す映像には、三刃がドローンを粉々に破壊する様子が映されていた。あのドローンは侵入者用に武装してある。ビーム砲はもちろん、いざという時の小型ミサイルも10発積んである。だが、どれもこれも三刃に対して効果はなかったのだ。
「さすが結社の魔法使いだね……」
マルコはそう言うと、机の引き出しにあった機械の筒を取り出し、笑いながら叫んだ。
「来るなら来いよ魔法使い、私が斬り刻んであげるから‼」
その後、その機械の筒から光状の刃が現れた。
同時刻、何も知らない姫乃は三刃の病室へ向かっていた。姫乃は察していたのだ、何か無性に胸騒ぎがしているのだ。
「三刃君、いる?」
と、扉の前で声を出したが、三刃の返事はなかった。
「……やな予感……」
姫乃は扉を開けると、部屋の中には三刃はいなかった。窓が開けられていたため、そこから三刃は脱出したと姫乃は推測した。
「……全く、馬鹿なんだから……」
その時、姫乃はベッドの上にあった手紙を見つけた。それを読んだ後、姫乃はしばらくその場に立っていた。
「……本当に……本当に馬鹿なんだから」
姫乃は小さく呟くと、窓から外に出て行った。
三刃がアンブレラ内に侵入し、数分が経過した。三刃の周りには、追撃されたドローンの破片が散らばっている。
「さて……そろそろ奴の所か?」
三刃は目の前にある扉を開き、中にいるマルコの姿を見つけた。
「やっと見つけたぞ、マルコ‼」
「一人でのこのこやって来て、私を捕まえるつもりかい?」
マルコはビームソードを振り回し、三刃にこう聞いた。それに対し、三刃は風丸を構えてこう言った。
「そうだ。だが捕まえる前に、お前を半殺しにする」
「やれるもんなら……やってみなァ!」
雄たけびと共に、マルコが襲ってきた。三刃は風丸を振って反撃をしようとしたのだが、風丸の刃はビームソードの刃部分をすり抜けた。
「なっ‼」
「馬鹿かお前は‼これはただの剣じゃない、ビームなんだ‼」
「くそっ、そんなもんも作ったのか‼」
マルコの連続攻撃に対し、三刃は後ろに下がって回避した。
「さぁどうする魔法使い!?」
「こうするさ!」
三刃は風を発生させ、マルコに攻撃を仕掛けた。だが、風はマルコにダメージを与え得ることは出来なかった。
「残念、このコートには魔法対策のコーティングされてある‼いくら魔法を使っても無駄だよ無駄‼」
と、マルコは得意げに叫んでいるが、三刃はさっきの攻撃でコートに傷ができていることを目にしていた。
「……意外と無駄じゃないかもな」
三刃は風丸に風を発生させ、マルコに攻撃を仕掛けた。
「さっき言った言葉が聞こえてなかったのかい?いくら魔法を使っても無駄だって‼」
「そうかな?」
三刃はマルコに接近し、斬りかかった。刃はコートに命中し、傷を付けた。
「何だと!?」
「物理には弱いんだな、そのコート」
「クソがッ‼」
マルコは反撃でビームソードを振り回したが、三刃はその攻撃を回避した。
「一つ気付いたよ。お前、開発の腕はすごいけど、剣の腕はないんだな」
「生意気なガキが‼調子乗るんじゃないよ‼」
マルコは腰に付けてあった銃を取り出し、三刃に向けて放った。
「おいおい、ビームソードにビームを出す銃か、SF映画じゃあるまいし」
「魔法のおかげで、私の開発技術は高くなったんだよ。もうだれも、私の技術に敵わない、私の開発が世界一なのよ‼」
マルコは叫びながら、三刃に攻撃を続けていた。しばらくし、三刃は風を放ってマルコが持つレーザー銃を切断した。
「あぁっ、私の発明が‼」
「そんな兵器がこの世にあってはいけないよな」
「ぐぅぅ……クソッ‼」
マルコは再びソードビームを装備し、三刃に斬りかかった。三刃は攻撃をかわしていったのだが、次第に追い詰められていた。
「背後は壁、目の前にはビームソード。フフフフフ……追い詰められたねぇ」
「はっきり分かったよ」
追い詰められても、表情を変えない三刃を見て、マルコは不機嫌そうな表情でこう聞いた。
「何が分かったんだい?」
「お前は弱い」
その直後、三刃は風丸を構えてマルコに突きで攻撃をした。風丸の剣先は、マルコの脇腹に命中した。
「ガハッ」
「死なない程度に加減はしてある。もう降参しろ」
剣を突き刺し、三刃はマルコに降参するように告げた。しかし、マルコは三刃を睨んでこう言った。
「誰が……降参するかァァァァァァ‼」
マルコは感情に任せ、ビームソードを振り上げた。その刃は、三刃の左腕を切断した。三刃は予想していなかった。脇腹を攻撃し、相手の動きを封じ込めたと思っていたからだ。しかし、三刃の予想は外れてしまったのだ。
「あ……うああああああああああああああああああ‼」
三刃の絶叫が、アンブレラ内に響き渡った。マルコは後ろに下がりつつ、脇腹に刺さっている風丸を抜いて地面に叩き落とした。
「は……ははは……ハハハハハハハハハハハハ‼形勢逆転だねぇ‼」
三刃の左腕を斬り落とし、マルコは流れが自分に向いてきたと思っていた。しかし、三刃に攻撃された脇腹の痛みがマルコを苦しめていた。二人は苦しんでいたが、次第に三刃の悲鳴が小さくなっていった。
「そうだ……こんな所で……負ける……わけにはいかない‼」
三刃は震えながら立ち上がり、マルコに近付いた。そして、右手に風の塊を発生させ、マルコに近付けた。
「な……何をするんだい!?」
「お前を倒す‼」
マルコはコーティングされてあるコートのおかげでダメージは抑えられると思っていた。しかし、先ほどの突き攻撃で少し防御力が落ちていることをこの時まで忘れていた。
「あっ……」
「喰らえェェェェェェェェェェェェ‼」
三刃は風の塊をマルコにぶつけた。風の塊の中に入ったマルコは、風の刃に斬り刻まれて行った。コートのおかげでダメージは抑えられたが、次第にコートは刃を受けてボロボロになっていった。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」
コートがズタズタになった後、風の刃はマルコの体を斬り始めた。そこから、マルコの悲鳴が高く響き渡った。それからしばらくし、風の塊は消え、その中にいたマルコがボロボロになってその場に倒れた。
「……終わった……」
マルコを倒したと思った三刃は、斬られた左腕を持って戻ろうとした。しかし、マルコの意識はまだあった。マルコは三刃に悟られぬよう、腰のレーザー銃を装備し、三刃に狙いを定め、引き金を引いた。
「何ッ!?」
レーザーの発射音で、三刃はマルコが動いていると察知した。しかし、レーザーは三刃の体を貫いていた。