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ジョーカーの最期

 ジョーカーを銃で打ち抜いた後、マルコは隠しエレベーターで地下エリアへ向かっていた。そこには、彼女の研究所がある。


「さーて、時は来た。私の子供達が世界で暴れる時が来た!」


 研究所にある兵器を見て、マルコははしゃいでこう叫んだ。マルコは起動スイッチへ向かい、それを押した。すると、兵器のランプが赤く光り、轟音を鳴らし始めた。


「さぁ、始めよう……この腐った世界を混乱させよう!手始めに、この日本から滅茶苦茶にしてやる‼」


 その後、マルコは兵器を外に出すようコントロールした。そして、自身も兵器に乗り込み、外へと飛びだった。外に出た際、マルコはトランプカードのアジトを見て、にやりと笑った。


「ついでにあれもぶっ壊しておくか‼」


 そう言うと、マルコは兵器にあるボタンを何度も押した。この直後、兵器からミサイルポッドが現れ、アジトに向けてミサイルを放って行った。放たれたミサイルは、アジトに命中していった。それを見たマルコは、大笑いしながら去って行った。




 アジト内。攻撃を受けたトランプカードの一員は、慌てながら避難行動をしていた。キングと戦った後、三刃と姫乃の元へ向かっていた輝海達も、この騒動に気付いていた。


「何だ何だ!?」


「外部からの攻撃ですか?」


「違う、トランプカードの攻撃は結社しか認めてられない……一体誰が!?」


 一方、最上階手前の階段にいる姫乃は、慌てて三刃の元へ駆けつけた。


「三刃君‼大変なことが起きたわ‼」


「こっちも……こっちで……大変なことが……」


 姫乃は部屋に入り、中の惨状を目の当たりにした。目の前には傷だらけで倒れている三刃。そして、離れた所では銃弾を受けて倒れているジョーカーと涙を流しているクイーンの姿があった。


「あれが……ジョーカー……」


「僕と戦ってた時、マルコって女が乱入してきて、ジョーカーを撃った」


「マルコって女が裏切ったのね」


「多分そう……」


「二人とも、今は一時休戦しましょう。ここから脱出が出来るわ‼」


 その後、三刃は姫乃の肩を借り、クイーンに案内された非常口から外へ脱出した。数分後、中にいた全員は外に出る事が出来た。だが、トランプカードのアジトは崩れてしまった。


「三刃君、大丈夫じゃなさそうだけど……会話は出来るか?」


「はい……何とか……」


 三刃は輝海達にジョーカーと戦っている時の出来事を話した。それを聞いていたトランプカードの兵士達は、皆怒りで雄たけびを上げた。


「あの女、最初っから俺達を裏切るつもりだったんだな‼」


「クソッたれ、あのメス豚の額に弾丸ぶち込みたいぜ‼」


「血祭りにあげてやる‼」


「ちょっと、静かにして‼治療が出来ないじゃない‼」


 ジョーカーを手当てしている姫乃は、騒ぐ連中にこう叫んだ。すると、海人がジョーカーを手当てする姫乃を見て、こう聞いた。


「どうして敵の親玉を治療するんだ?」


「話を聞くためよ。だけど……」


「弾丸が……変な所に入ったみたい……血が止まらないの……」


 クイーンはジョーカーの手を握りながら、こう言った。その言葉を聞いたトランプカードの人達は、皆ジョーカーの元へ集まった。


「おい嬢ちゃん、魔力があれば治療できるだろ?」


「俺達の魔力を使ってくれ‼」


「何が何でもこの人は救いたいんだ‼」


「俺達は皆、この人に救われたんだよ‼」


 荒っぽい事を言っていた人達が、涙を流しながら姫乃にこう言った。だが、ジョーカーの様子を見た姫乃は、目をつぶって返事をした。


「魔力があっても……この傷は治せないかもしれない……」


「いや……無理だ。意識が……段々と……遠のく……」


 今まで声を出していなかったジョーカーが、弱弱しく声を出した。その声を聞いた三刃達は、一斉にジョーカーの元へ集まった。


「多分……僕は……はぁ、はぁ……死ぬだろう」


「そんな事言わないでよ‼」


 クイーンが涙を流しながらこう叫んだ。だが、ジョーカーは彼女にこう言った。


「分かるんだ。一瞬だけど、昔の思い出が鮮明に流れてきている。走馬燈だ……」


 この時、ジョーカーは咳をした。その席には、血が混じっていた。


「結社の皆さん……僕は……この世界を……変えるつもりでトランプカードを作った。だけど……あの女は……この世界を破滅させようとしている……本来なら……僕が止めなければいけないが……このありさまだ……」


「お前の言いたいことは分かった。代わりにあの女を倒してくれってことだろ?」


 輝海がこう言うと、ジョーカーは弱弱しく頷いた。


「そうです……それと……僕の……大切な……仲間の……面倒を……見て欲しいんです……彼らは皆、元は弱い立場の……人間なんです。僕がいなくなったら……トランプカードがなくなったら……彼らの……居場所が……無くなって……しまう……」


 この時、ジョーカーの目からは涙が流れていた。涙を流して訴えるほど、ジョーカーは仲間の事を思っていると、三刃達は思った。


「お願いします……本当に……お願い……します……」


「ああ分かった。上の方で何か言われると思うが、俺が何とかごり押しで話を通してやる」


 輝海の返事を聞き、ジョーカーは笑顔を見せた。


「ありがとう……ございます……これ……で……安心……し……て……逝ける……」


 この時、トランプカードの一員は一斉にジョーカーの元へ駆け寄り、ジョーカーの名前を叫んだ。


「皆……ごめん……ね……辛い……思いを……させて…………」


 その時、クイーンがジョーカーの手を握った。ジョーカーの手は、暖かさを失っていた。他の一員も、慌ててジョーカーの手を握った。だが、それでもジョーカーの手はぬくもりを取り戻せなかった。


「じゃ……あね…………皆………………僕は…………あの世で…………見守って……る……か…………ら…………」


 ジョーカーはこう言うと、目をつぶり、息を引き取った。クイーンはジョーカーの手を握り、何度もジョーカーの名前を呼んだ。だが、ジョーカーは二度と口を開くことはなかった。




 数時間後、結社内にて。


「……戦いは終わったって」


 三刃から連絡を受けた翡翠が、凛子達にこう言った。


「勝ったんだね‼」


「勝ったには勝ったんだけど……」


 浮かばない顔をしている翡翠を見て、貢一はこう聞いた。


「ジョーカーは死んだのか?」


「……はい。マルコって女に殺されたって……」


 返事を聞いた貢一は、机をたたいて怒鳴り声をあげた。


「クソッ‼あの女……よくもジョーカーを……」


 貢一は歯ぎしりをし、涙を流し始めた。しばらくすると、貢一はその場で泣き崩れた。貢一に声をかけようとした翡翠だったが、湯出が手でやめろと合図をした。


「今はそっとしておいてあげよう」


「……はい」


 その後、翡翠達は外に出て三刃の帰りを待った。しばらくし、一台の車が結社に入って来た。だが、それは輝海の運転する車ではなかった。


「あれは……」


 車を見ると、車内にはユアセルが座っていた。


「ユアセル!?」


 突如来日したユアセルを見た翡翠は、目を丸くして驚いていた。

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