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三刃VSジョーカー

 トランプカードアジト最上階。三刃は目の前にいる男を睨みながら息をのんだ。目の前にいる男がジョーカーなのだが、三刃は一度この男とあった事がある。


「まさか……あんたがジョーカーだったなんてな」


「似たようなセリフを君に返そう。僕も君が魔法使いだとは知らなかった」


 ジョーカーはそう言うと、立ち上がって三刃の近くに近寄った。


「僕からの願い事だ。出来れば、君の仲間と共にここからすぐに立ち去ってほしい。君みたいな子供には本気を出して戦いたくない」


「そいつは無理な願いですね。俺はあんたを倒しに来たんだ」


 三刃の答えを聞き、ジョーカーはため息を吐いてこう言った。


「仕方ない……できるだけ死なないように手加減はしてあげる……しかし、傷ついても僕の事を恨まないでくれ‼」


 その直後、三刃の足元からひびの入る音が聞こえた。危機感を察した三刃はすぐに後ろへ下がり、様子を見た。


「クイーン‼後ろの部屋へ隠れるんだ‼君を戦いに巻き込みたくない‼」


「ええ。生きて帰って来てね」


 短い会話の後、後ろにいたクイーンと呼ばれた女性は部屋へ向かった。


「何をするつもりだ‼」


「君を突き落す‼」


 その時、さっきいた個所が音を立てながら崩れ落ちた。それから、割れ目が三刃に向かって走って来ていた。


「なっ‼何だよこれ‼」


「大地魔法。光や闇よりも最も珍しいと言われる魔法さ。今では、使えるのは僕ぐらいしかいないだろう」


 聞きなれない単語が出てきて、三刃は少し慌て始めた。大地魔法。名前からするに、地面を操って攻撃をするのだろうと三刃は思っていた。


「この部屋を崩すつもりか!?」


「崩しはしない。それに、何かあって潰れたとしても、すぐに元に戻せるさ」


 会話の途中、三刃は足に違和感を感じた。足元を見ると、コンクリートのような物が三刃の足に絡みついていた。


「なっ……」


「さぁ、これで終わりにしよう……」


 三刃の足に絡みついているコンクリートは徐々に三刃の体の周りに絡みつき、強く縛った。


「ぐあああああああああああああああああああああああああああ‼」


 三刃の体から、骨のきしむ音が聞こえる。その音を聞きながら、ジョーカーはソファに座ってこう言った。


「少しは手加減してある。これに懲りたらもう僕達に関わらないでくれ……」


「まだ……戦いは……始まったばかりだ‼」


 三刃は魔力を体全体に発し、体に絡みついているコンクリートを弾き飛ばした。それを見たジョーカーはゆっくりと立ち上がり、魔力を練り始めた。


「悪人ではない人を痛めつけるのは嫌なんだが……」


 ジョーカーは風丸を持って飛んでくる三刃を見て、攻撃をかわし始めた。


「おら‼てあっ‼はぁっ‼」


 気合入れて三刃は攻撃をしているが、ジョーカーは剣の軌道を読んで三刃の攻撃をかわしている。


「くっ……これならどうだ‼」


 そう言うと、三刃は風の刃を発し、ジョーカーに攻撃を仕掛けた。三刃から発した風の刃に対し、ジョーカーは目の前の床を軽くつま先で叩いた。すると、床が盛り上がり、壁のようになった。


「何でも操られるのかよ……」


「元が土なら何でも操作はできる。その気になれば、この地球全体の地理を変えることもできる」


 その後、ジョーカーは再び魔力を使い、盛り上がった床を操作し始めた。


「おわっ‼」


 盛り上がった床は三刃に向かって勢いよく飛んでいき、三刃に激突した。攻撃を喰らった三刃は後ろの壁に吹き飛んだ。


「ううっ……」


 態勢を整えようと思った三刃だったが、後ろの壁を利用して立ち上がろうとした瞬間、その壁が三刃の手を飲み込んでしまった。


「嘘だろ……なんでもありか……」


「殺しはしない。少し……気を失ってもらうだけだ」


 三刃の目の前に、巨大な拳となったコンクリートが現れた。その拳は、物凄い速さで三刃を殴った。




 ダイヤとの戦いを終えた姫乃は、階段の近くで少し休んでいた。その時、上から地響きが聞こえた。


「戦いが始まってるの……」


 早く疲れを癒して三刃の援護に行こう。そう思っていた姫乃だったが、予想以上に疲れは取れなかった。


 龍の力を使った反動か。


 姫乃はそう思いながら、悔しそうに目をつぶった。その時、ハートが姫乃に近付きこう言った。


「あのお兄ちゃん……きっとひどい目に合うよ」


「ええ。音で分かるわ。なんとなくそんな目に合ってる気がする」


 姫乃の答えを聞き、ハートは少し黙った。


「きっと……お姉ちゃんもジョーカーさんと戦ったら酷い目に合うよ。それでも……行くの?」


「ええ。行くわよ」


「どうして?あのお兄ちゃんがいるから?」


 この質問を受け、姫乃は少し間を開けてこう言った。


「かもしれないわね。三刃君って、無茶をする子だから……ほっとけないの」


「……そう」


「私から一つ聞いていい?何でこんなことを聞くの?」


 姫乃から質問を聞かれ、ハートは答えに困りながらこう言った。


「えっと……その……なんとなく」


「なんとなく……そう」


 姫乃は少し笑って、こう返事した。




 部屋の周囲には煙が舞っている。ジョーカーは手探りで窓を開け、煙を外に出した。しばらくし、煙が晴れて部屋の周囲が見えるようになった。目の前の壁はさっきの攻撃でぐしゃぐしゃになっている。さっきの拳はあの攻撃でぐしゃぐしゃにつぶれてしまった。


「……本気を出しすぎたか……殺してしまったのか……」


 ジョーカーは恐る恐るぐしゃぐしゃになった壁に近付き、様子を調べた。その時、瓦礫の中にいた三刃が姿を現し、ジョーカーに一閃を浴びせた。


「うあああああああああああああああ‼」


「へへっ。どうだ」


 三刃は瓦礫の上に立ち、攻撃を喰らったジョーカーにこう言った。


「少しは……やるようだね……」


 傷を受けた腹を抑えながら、ジョーカーは後ろへ下がって行った。


「技はすごいが、あんたはそんなに頑丈じゃあないんだな」


「君みたいに鍛えてないから……」


 ジョーカーはそう言うと、両手を地面に当てて魔力を込めた。


「少し本気を出す。死んでも恨まないでくれよ‼」




 アジトの外、バイクに乗って移動しているマルコが戻ってきた。マルコは上でジョーカーが誰かと戦っているのを察し、にやりと笑った。


「さぁ、もっと戦いなよ。もっと、もっともっともっと‼ケヒヒヒヒヒヒヒ……誰でもいいからあいつを弱らせるんだよ……」


 マルコは下種な笑みを出すと、アジトに向かって移動を始めた。

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