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女の戦い

 ジョーカーの元へ急いでいる三刃と姫乃だったが、ダイヤの守護神と名乗る女性が目の前に現れ、彼らの行く手を遮った。


「くっそー、あと少しってところなのに……」


 目の前の階段を上ると、そこにはジョーカーがいると思われる部屋がある。だが、彼女らを倒さないと先へは進めないだろう。さらに、彼女らはかなり強い。ここで戦ったら次のジョーカーとの戦いで苦戦するだろう。キングと戦っている光賀達の援軍を待つのも三刃は考えていたのだが、相当強い相手と戦った後でまた戦いとなると、疲れのせいで光賀達はいつものように戦えないだろう。


 どうするか考えていると、姫乃が三刃にこう話しかけてきた。


「三刃君、コスプレイヤーの相手は私一人でするわ」


「は!?お前一人で!?大丈夫かよ……」


「本気を出せば何とかなるわ。三刃君は隙を見て上へ行って」


「……先にジョーカーと戦ってるぞ」


「ええ。分かったわ」


 二人が会話をしていると、ダイヤの女性達が襲ってきた。


「戦いの最中に会話なんて、余裕ぶっこいてるわね‼」


「懲らしめてあげるわ‼」


 彼女らのステッキから、三刃と姫乃に向けて炎が放たれた。その直後、彼女らは姫乃から放たれる魔力を察した。


「何……この感じたことのない魔力は?」


「なんだか……とんでもない相手と戦ってるみたい……」


 この直後、三刃と姫乃を包んでいた炎が急に吹き飛ばされた。炎の中にいた姫乃が、自分の周りに龍を出したからだ。


「何その龍!?」


「あんた……一体何者!?」


「私?私は……火龍の巫女よ」


 姫乃はこう返事をすると、龍を女性達に向けて放った。女性達はバリアを張って攻撃を防ごうとしたのだが、龍の爪の攻撃力がバリアを上回り、彼女らのバリアを破壊した。


「キャアアアアアアアアアア!」


「アカサ!」


「よくもアカサを……イキシ‼」


「合体攻撃ね、分かったわ‼」


 残った二人が魔力を合わせ、姫乃に向けて放った。


「喰らいなさい‼愛と」


「絆の」


「「ハートフルクラッシャーカノン‼」」


 二人のステッキから、巨大なハート形のビームが放たれた。そのビームは龍の右半身に命中し、龍の体を吹き飛ばした。


「やった‼」


「見掛け倒しのようね」


「それはどうかしら?」


 と、姫乃は冷ややかな目で二人を見つめた。その目を見た二人は言い返そうとしたのだが、その前に龍の体がブクブクと音を立てながら再生していった。


「な……何で……」


「吹き飛ばしたはずなのに……再生機能なんてあるの!?」


「こいつは私が魔力で作りだした龍。あなた達がいくら魔法で吹き飛ばそうが、武器で傷つけようが無意味なのよ」


「だったら……あんたを狙えばいいってわけね‼」


 イキシはステッキを構え、姫乃の方へ走って行った。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


 勢いよくステッキを振り下ろしたしたイキシだったが、ステッキは姫乃に当たる事はなかった。


「その武器じゃあ私には届かないわよ」


 姫乃はいつの間にか日本刀を装備しており、鞘に納めていた。ステッキを見ると、先端部分が切れてなくなっていた。


「いつの間に……」


「今度は私がやるわ‼」


「ウクス‼」


 ウクスと呼ばれた女性が、銃を持って姫乃に向けて乱射し始めた。だが、姫乃は日本刀を振り回して弾丸を防御した。跳ね返った弾丸が、姫乃の周囲に散らばりだした。


「銃なんて効果ないわよ」


「クッ……化け物め‼」


 彼女らは、姫乃を見て睨んだ。そんな中、姫乃は彼女らに近付いてこう言った。


「こんな戦い、私はしたくないの。だったら、早くどいてくれないかしら?」


「嫌よ‼あなた達をここで食い止めないと、ジョーカー様に被害が及ぶわ‼」


「あの人を絶対に傷を付けたくない‼お願いだから、帰ってよ‼」


 と、彼女らは泣きながらこう叫びだした。姫乃はため息を吐き、こう答えた。


「あのねぇ、犯罪者に加担している人の言う事を聞くって思ってるの?ジョーカーっていう人がどんな人なのか分からないけど、悪い事をしている以上、ほおっておくわけにはいかないの」


 姫乃は答えた後、階段を登ろうとした。だが、その時彼女は背中に違和感を感じた。背中を触ってみると、何かべったりしたものが付いていた。手を見ると、それは血だった。


「え……」


 後ろを振り向くと、銃を持った小さな女の子が立っていた。その子を見て、女性達は声を上げた。


「ハート‼」


「何をしているのあなた、危ないから隠れてなさいって言ってたじゃない‼」


「だって……お姉ちゃん達がいじめられてたから……」


 ハートと呼ばれた女の子は、涙を流しながら答えた。この隙に姫乃はさっき撃たれた傷を治そうとしたのだが、銃弾がかなり奥まで入ったせいか、なかなか血は止まらなかった。


「クッ……こんな所で……」


 この状況はまずいと姫乃は察した。光賀達がここに来るまで、かなり時間が必要だろう。しかし、周りには敵がいる。本気を出せば難なく彼女らを倒すことは出来るが、力を出せば傷が悪化するだろう。


「それよりも……ハートのおかげで助かったわ」


「この子を捕まえないと」


 イキシとウクスは、倒れた姫乃に近付こうとした。まずいと思ったその時、姫乃はある事を思いついた。


「そう簡単に捕まってたまるもんですか」


 姫乃は炎を操り、彼女らの頭を掴んだ。それを見たハートは、悲鳴を上げて近付いてきた。


「お姉ちゃん‼」


「取引よ。この人を傷つけたくなかったら……何もしないと言う事を約束しなさい」


「ハート‼奴の言う事を聞いちゃダメ‼」


「私達の事はいいから、そいつにとどめを‼」


 その直後、彼女らはさらに悲鳴を上げた。姫乃が炎の強さを増したのだ。


「本当はこんなことをしたくないんだけど……今はそう言ってられないわ。さぁ、どうする?」


 姫乃に言われ、ハートは涙を流しながらこう答えた。


「お姉ちゃん達を助けて」


「分かったわ」


 その後、答えを聞いた姫乃は、すぐにイキシとウクスを解放した。解放された二人を見て、ハートは二人に抱き着いた。


「ふぅ……厄介な相手だったわね」


 姫乃はこう呟きながら、治療を始めていた。




 その頃、最上階へ着いた三刃は、風丸を構えて目の前の扉を蹴り飛ばした。


「ジョーカー‼ここにいるんだろ?さっさと出てこい‼」


 部屋の中に入ったが、部屋は真っ暗で何も見えなかった。


「暗闇の中で僕を襲うつもりか?」


「いや、そんなことはしないよ」


 その直後、部屋の電気が付いた。すると、三刃の目の前にこの前のコンビニ強盗で巻き込まれた男性と女性がいた。


「あんたはあの時の……まさか、あんたがジョーカー!?」


 三刃は驚きながら、ジョーカーを見つめていた。

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