キングを倒せ‼
戦いを終えた輝海と海人が、キングと交戦中の光賀と服部の元へ駆けつけた。光賀は人数が増えたことにより、少しは有利になったと考えていた。しかし、まだこれでもキングに勝てる自信は光賀にないのだ。
キングという男は、光賀以上に光の魔法を上手に扱えるからだ。それは光賀自身、戦って察していた。
「皆、よーく聞いてくれ。あいつの光魔法は俺より強い」
「ああ。あいつの魔力がこっちに伝わってくるよ」
輝海もキングの強さを察していた。
「ちーっと連戦はきついかな……」
と、輝海は冷や汗をかいてこう言った。
「数が増えたか……だが、それでも無駄なことよ」
キングはそう言うと、剣に光を放って振り回した。光賀達に、光の刃が飛んで襲ってきた。
「皆、下がってろ‼」
輝海はこう言うと、大きな盾を前に二つ出した。何とか攻撃は防御したのだが、輝海達の頭上に一つ衝撃波が飛んでいた。
「なっ‼上からだと‼」
「私に任せろ‼」
服部は忍び刀に魔力を注ぎ、飛んでくる光の刃を真っ二つに斬った。
「悪い……助かった……」
「助かったが……剣が……」
光賀服部が手にしている剣を見ると、その剣の刃は粉々に粉砕されていた。
「あの光の刃、物凄く恐ろしい威力だ……」
相手は強敵。4人が集まっても勝てるかどうか分からない状況、光賀は声をかけた。
「皆に頼みがある。もう一度ライトレイバーストを使う」
この言葉を聞き、服部は驚いて光賀にこう言った。
「何を言っているんだ。あの技は先程破られたではないか」
「当たればいいんだ。あいつの体を貫けば、何とかなるだろう」
光賀の話を聞き、輝海は大きく深呼吸した。
「分かった。お前の案に賭けてみよう。この際、やれることは何でもやっておこう」
「……よし」
「だったら、俺と茉奈で……」
輝海は海人の言葉を遮り、槍を持ってこう言った。
「俺が行く。服部と海人は援護してくれ。光賀、隙を見てあいつに攻撃だ」
「了解しました」
話を終えた後、輝海は前に出て、その後を追うように服部と海人が走り出した。
「ほう。あの坊主に攻撃を任せるつもりだな」
「はっ!流石にこっちの作戦は読んでたようだな‼」
輝海は槍を振り下ろし、キングに攻撃を仕掛けた。キングは左腕で輝海の攻撃を防御した。その際、輝海の槍がキングの左腕に刺さった。
「自分の腕で防御しただと!?」
キングの行動を見て、輝海は焦りだした。その時、キングは雄たけびと共に左腕を振り回した。
「なっ!?おわああああああああ!」
槍を掴んだままの輝海は、そのまま地面に叩きつけられた。
「武器を失っては、何もできぬな」
キングは左腕に刺さっている輝海の槍を破壊し、その残骸を輝海に向けて宝利投げた。
「へっ。武器はこれだけじゃねーよ」
輝海は両手に雷を発し、キングに向けて発射した。
「痺れさせるつもりか」
「さーて、どうだか」
輝海の行動を見て、少し疑問に思ったキング。その疑問はすぐ解決することとなる。キングの目の前には、手裏剣が飛んで来ているのだ。
援護攻撃のつもりか。
キングはそう思っていた。だが、その手裏剣は輝海が発している電撃を浴び、更に回転の速度を増した。
「電撃を利用して、速度を速めただと!?」
「いっぺん血まみれになりな」
電撃を浴びた手裏剣が、キングの体に命中していった。攻撃力が高まっているせいか、キングは悲鳴を上げながら防御をしていた。
「ぐうぅ……」
キングは腕や体に刺さっている手裏剣を吹き飛ばし、輝海達を睨んだ。
「小賢しい真似を‼」
雄たけびと共に、キングの両手から光の球体が現れた。
「おいまさか……」
「皆、逃げるんだ‼」
「あの攻撃はまずい‼」
危機を感じた輝海達は、キングから離れようとした。だが、その前にキングの攻撃が発動した。両手に発生した光の球体から、勢いよく光線が発射されたのだ。輝海達は何とか攻撃をかわしたが、先ほどの攻撃を見て茫然としていた。
「後ろの壁が吹き飛んでいる……」
「あんなもん喰らったら塵になってるよ」
「だけど、あんな攻撃を使ったらいくらあいつでも……」
輝海はキングの魔力が大幅に減っているだろうと考えていた。だが、その考えとは裏腹に、キングはその場で仁王立ちしていた。
「すまんかったな、あれでも少しは手を抜いている方でな」
「……嘘だろ……」
キングは輝海の首を掴み、そのまま宙へ上げた。
「降参して捕まれ、そうすればこの男は助けてやる」
「くっ……」
「そんな……俺達だけじゃあ勝てないのか……」
服部と海人が落胆している時、光賀が一瞬のうちにキングの元へ移動した。
「光魔法で足を強化し、素早く移動したか」
「くたばっちまえ!」
光賀は素早く光の球体を作成し、ライトレイバーストの準備を始めた。
「ふん。この技は効かぬことを知っているはずだ。なのに、なぜ同じことをする?」
「同じことだぁ?喰らってみて同じことを言ってみな!」
この直後、キングは腹の部分に激痛を感じた。光賀はまだ攻撃の構えを取っている。しかし、攻撃のダメージを受けている。何故だと思い、キングは腹を見た。そこには、小さなライトレイバーストが自分の腹に突き刺さっていたのだ。
「あんたでもこの位細ければ目に見えないってか?」
「そうか……その手があったか……」
キングは倒れそうになったのだが、何とかこらえて光賀を捕まえた。
「だが‼私は……倒れるわけにはいかない‼ジョーカー様を……ジョーカー様を守り抜くことが……私の使命だからだ‼」
「あの犯罪者野郎を守り抜く?ふざけんじゃねぇ‼あいつのせいで、どれだけ人が死んだか分かってるのか!?」
輝海の叫びを聞き、キングはにやりと笑ってこう返事した。
「貴様らは何もわかっていない。ジョーカー様は荒事を好まぬ。これまで起こした事件の大半が……あの女のせいだからな……」
「何だと?」
「輝海さん……とりあえず……こいつを倒してから話を聞きましょうよ」
光賀はこう言うと、もう一度小さなライトレイバーストを放ち、キングに攻撃をした。ライトレイバーストを受けたキングは、小さな悲鳴を上げてその場に倒れた。
結社内。侵入した貢一は不安な気持ちで一杯だった。結社の中に忍者の里で遭遇した魔法使い……翡翠達と遭遇するかもしれない。そして、マルコが何かするかもしれないこと。マルコがもしアジトへ戻って何かした場合、キングかジョーカーが動くだろうと貢一は思っていた。彼はキングやジョーカーが戦って負けないと信じているからだ。
「貢一、ここからどうする?」
仲間にこう聞かれ、貢一は考えながらこう言った。
「とにかく、隠れながら結社内の重要施設に爆弾を仕掛け、脱出した時にドカン。以上だ……が、なるべく早く終わらすぞ、あの女……変なことをやるかもしれねーしな」
仲間にこう言うと、貢一達は行動を始めた。