モンスター殲滅戦
アジト頂上。ジョーカーは窓から外の様子を伺っていた。
「結社が来たようだね」
この言葉を聞いたクイーンは、ソファから立ち上がってジョーカーの横に立った。
「今どんな状況?」
「一部が見張りのモンスターと戦い、残りがこちらへ向かっている」
「そう……じゃあ皆もこの事を察しているわね」
「ああ。彼らが結社の魔法使いを倒してくれると信じよう」
ジョーカーはこう言うと、再びソファに戻って座った。
「うおおおおおおおおおおおおおお‼」
三刃は手にしている風丸を振り回しながら、風を発生させて攻撃をしていた。その風は鋭い刃となり、モンスター達を切り裂いていった。だが、一部のモンスターはその風を振り払い、消してしまう者もいた。
「生き残った奴がいるのか……」
三刃の攻撃から生き残ったモンスターは、三刃に向かって高く飛び上がった。最初に襲ってきたのは狼男のような姿のモンスター。両手の爪を尖らし、三刃に向かって襲い掛かって来た。その攻撃に対し、三刃は風丸を振り上げて対抗した。風丸の刃は、モンスターの両腕を切断した。腕を斬られたモンスターは悲鳴を上げながら、その場に倒れた。
一匹倒したと三刃は心の中で思っていたが、別の巨大なモンスターが倒れたモンスターを踏み潰し、三刃の前に現れた。
「おいおい、仲間を殺しやがったよ……」
三刃の小声の後、巨大なモンスターは大きな雄たけびを上げた。次に、巨大モンスターは空を飛んでいた鳥獣型モンスターを掴み、三刃に向かって放り投げた。
「今度は仲間を武器に!?」
三刃は投げられた鳥獣型モンスターを斬って攻撃を防いだが、巨大モンスターは三刃に向かって大きな拳を振り下ろしていた。
「しまっ」
攻撃をかわそうと思ったが、拳の大きさは三刃の伸長を超えていた。結果、三刃はこの攻撃を喰らってしまった。姫乃はモンスターを焼き尽くす中、三刃が吹き飛んだのを察した。
「三刃君‼」
姫乃は火を操作し、手のような形を作り、それで三刃をキャッチした。
「うぐ……」
「大した怪我はなさそうね」
「ああ……あのサバイバルで体は鍛えられたからね」
三刃は火の手から降り、迫ってくる巨大モンスターと周りのモンスター軍団を睨んだ。
「改めて見ると数が多いな」
「ここでばてると今後の戦いがきついわね」
「だけど、片付けなくちゃいけないしな」
三刃は目の前に現れた猿の形をしたモンスターを斬り捨てると、姫乃にこう言った。
「姫乃、少し協力してくれ」
「何かいい案があるの?」
「ああ。ただ少し魔力を使うけど」
三刃はこう言った後、姫乃に説明を始めた。
「今から僕が魔力で竜巻を発生させる。大きさとしてはあのデカ物を巻き込めるほどの大きさだ。姫乃はその竜巻に炎を入れてくれ」
「火炎の竜巻で相手を攻撃するわけね」
「火炎だけじゃない。風の刃も混ぜる」
「……分かったわ。その案に賭けましょう!」
会話後、三刃は魔力を開放し、目の前に大きな竜巻を発生させた。
「竜巻よ、モンスター共を巻き込め‼」
三刃は竜巻を操り、モンスター達を竜巻に巻き込んだ。小さいモンスターや体重が軽いモンスターはすぐに竜巻の中で回り始めたが、巨大モンスターは動こうとはしなかった。
「姫乃、今だ!」
三刃の合図に合わせ、姫乃は炎を発した。その炎は竜巻の中に入り、中で回っているモンスターを焼き尽くしていた。
「三刃君、刃も発生させて!」
「了解!」
姫乃の合図を聞き、三刃は風の中で刃を発生させた。その刃はモンスター達を斬り刻み、あの巨大モンスターも無残に斬り刻んだ。
しばらくし、三刃は竜巻を消した。そこから黒焦げとなったモンスターの肉片が地面に転がった。
「ふぃー、何とか片付いたな」
「けど、これだけ騒げば私達がここに来たことがばれたんじゃない?」
と、姫乃がこう言ったが、三刃はアジトの方を見て姫乃にこう言った。
「いや、もう僕達が来たのは知ってるだろ」
「もしかして、アジトから見られてた?」
「かもな」
三刃は返事をした後、ポケットからチョコレートバーを取り出し、姫乃に渡した。
「魔力補充しよう。少し休んで、輝海さん達の後を追おう」
「分かったわ」
その後、二人はチョコレートバーを食べてアジトへ向かった。
アジト内。数名のトランプカードの団員が外の戦いの様子を見ていた。
「すごい竜巻だったな」
「あれだけの使い手が襲ってくるとは……」
「俺達で相手できるか?」
数名の団員が三刃の竜巻を見て、弱音を吐いていた。その弱音を聞いていた男が、目の前のテーブルを強く蹴り上げた。
「ったく、あんなもんみてビビってんじゃねーよ‼それでもお前ら男か?〇玉付いてんのか!?」
「クトゥルさん」
クトゥルと呼ばれた男は加えている煙草の灰を落とした後、目を閉じてこう言った。
「確かにあれだけの竜巻を作った奴がいるとは俺も思わなかった。だが、俺が本気を出したらあんな連中、30秒以内にぶっ殺してやるぜ。それに……奴らのお仲間が潜入した!」
この言葉を聞いた団員は、一斉に武器を装備した。
「待て待て。そんなに緊張すんなって。緊張してたら本来の力が出せなくなるぜ」
クトゥルはそう言った後、周囲を見回した。
「俺は見回りをしてくる。お前らはジョーカーかキングの指示があるまで動くな」
「はっ!」
その後、クトゥルは武器を持って部屋から出て行った。溜息と共に歩いていると、彼の足は止まった。
「数は4人……面倒だな……」
小さく呟くと、クトゥルは武器である槍を振り回し、円型で作られた氷の刃を作り、それを投げた。数秒後、氷が砕ける音とともに、雷の音が聞こえた。
「俺達が入って来たのは承知してたようだな」
槍を持った輝海が、クトゥルに襲い掛かった。
「あれだけでかい竜巻を作ったら誰だって気付くわ‼」
クトゥルは槍を振り回し、輝海を振り払った。だが、後ろにいた光賀が光の光線をクトゥルに向けて発射した。
「光属性の魔法使いだと!?」
攻撃を察知したクトゥルは横に飛んで光線をかわし、槍を構えなした。
「厄介なのがいるな……」
しばらくの間、輝海達とクトゥルは睨み合いを始めた。そんな中、輝海は服部と海人と光賀にこう言った。
「こいつの相手は俺がする。先に行って暴れてこい‼」
「輝海さん、死なないでくれよ」
「へっ、簡単に死んでたまるかよ‼」
「じゃあ行くぞ」
「必ず後で会おう」
服部達は輝海を置いて先にこうとした。だが、クトゥルがそれを邪魔しようとしたが、輝海が妨害をした。
「悪いがお前の相手はこの俺だ‼あの子達の後を追いかけたかったら、俺を倒してからにするんだな‼」
「ケッ、結社の魔法使いが偉そうなことを言うんじゃねーよ‼」
その後、二人の槍の矛先がぶつかった。