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トランプカードvs忍者

 ボランドは自分の武器であるヌンチャクを振り回しながら、笑い声をあげていた。


「まさか忍者が現代に生きてるなんて知らなかったな」


 ボランドはヌンチャクを振り回すのを止め、ポーズをとって服部と海人にこう言った。


「来いよ時代遅れの忍者さん。俺がきっちり仕留めてやるからよ」


「はぁ……時代遅れか」


 服部はため息とともにこう言うと、姿を消した。ボランドは察した。服部は姿を消したわけではなく、物凄いスピードで移動していることを。


「おいおい。それで姿を消したつもりか?壁を蹴って移動してるんだろ?壁を蹴った時の音が聞こえるぞ‼」


 その直後、ボランドは背後にいた海人を確認し、海人に攻撃を加えた。海人は忍刀でヌンチャクを防御し、後ろに下がった。


「マジヤベー。下手したら殺されるところだった……」


「じゃあ今死んどけ」


 上から服部の声が聞こえた。ボランドは攻撃を防御しようとしたのだが、背後にいたはずの海人の姿がない事を察した。何かしてくるだろうと考えたボランドは、一旦服部の攻撃を防御し、反撃せず後ろに下がろうと考えた。


 服部達が戦っている廊下に、金属がぶつかる音が響いた。ボランドは服部の攻撃を防御したのだ。続いて、ボランドは服部に反撃をせず、後ろへ下がった。ここまではボランドの考え通りに動いた。


「さて……思ったより厄介な相手だな……」


「それで褒めたつもりか?」


 服部がこう言うと、小刀を構えてボランドに向かって走ってきた。


「はっ!直接叩くというのか!?おもしれー、やってやるよ‼」


 ボランドはヌンチャクを構えたのだが、足元に何かが転がってきた。それに気付いたボランドはそれを蹴り飛ばそうとしたのだが、その瞬間にそれから煙が広がった。


「クソッ‼煙玉かよ‼」


 ボランドは右腕で煙を吸わないように鼻と口を押え、左手で周りの煙を払っていた。


「これで終わりだ」


 服部の声がボランドの耳に聞こえた。その瞬間、ボランドの体は宙に舞い、腹から血が流れだした。


「ガッハァッ‼」


 一閃を受けたボランドは地面に倒れ、苦しそうに咳き込んだ。


「ゲホッ‼ゲホゲホッ……ヘヘ……ケヘヘヘヘヘヘヘ……」


「何だ、押されて頭がおかしくなったのか?」


「頭のねじは外れてねーよ。こんな面白い事、初めてだよ。久しぶりに面白い戦いになりそうだ!」


 ボランドは立ち上がり、周囲に雷を発した。


「雷か……」


「茉奈、こっちも本気を出そう」


「ああ」


 ボランドが本気を出したことを知り、服部と海人も魔力を発し、風を出した。


「もっともっと楽しもうぜ!忍者さんよぉ‼」


 ボランドは高い笑い声をあげながら、服部と海人に向かって走って行った。




 結社内に入った三刃と姫乃は、大急ぎで近くにいる職員に話しかけた。


「すみません!僕達、輝海さんの知り合いなんですが、どうやって行けば輝海さんの所へ行けますか!?」


 職員は三刃の話を聞き、動きを止めて返事をした。


「ちょっと待って!今輝海さんは急襲してきたトランプカード相手に戦ってるから、話は出来ないよ‼」


「トランプカードだって!」


「まさか……君達も戦いに行くんじゃないだろうね?」


 職員がずれたメガネを直しながら、三刃にこう聞いた。


「はい‼だからどうやって行けばいいか教えてください‼」


「……分かった。案内人を呼ぶから待ってなさい」


 と言って、職員は案内人を呼びに行った。数分後、ランニング姿の男が欠伸をしながら姿を見せた。


「ウィ~……君らが輝海の知り合いなのね~?」


「え……えと……」


 トランプカードが襲って来たのに、なんでのんびりとしていられるんだこの人?と、三刃と姫乃は心の中で思った。男は股をかきながら、職員にこう言った。


「で、俺がこの子らを輝海のところに送ればいいの?」


「あ……ああ。なるべく早めに頼むよ」


「任しときー。その前に、手を洗って来るわ」


 男はそう言うと、洗面所へ向かった。男の情けない姿を見て、三刃と姫乃はぽかんとしていたが、職員が二人に近付いてこっそりこう言った。


「あの人……白葉さんはかなりマイペースな性格なんだ」


「そ……そうなんですか」


「お待たせー。じゃあお二人さん、俺の手を握ってて。ちゃんと洗ったから大丈夫だって」


「本当ですか?」


「うん」


 返事をした後、三刃と姫乃は白葉の手を握った。


「ちょっくら急ぐから、俺の手を離すなよ‼」


「え……ちょ」


 三刃が何かを言おうとしたのだが、その前に白葉は猛スピードで走り出した。




 ボランドの猛攻は服部と海人を徐々に押していった。技だけでは、ボランドの圧倒的な攻撃力を防げないのだ。


「そらそらそらそらそらぁ‼このヌンチャクがかわせるかー!?」


 ボランドが振り回すヌンチャクは、周囲を滅茶苦茶にしながら二人を襲っていた。隙を見てヌンチャクを破壊しようと試みたのだが、ヌンチャクはかなり固く、やわな攻撃では破壊できなかった。


「どうする茉奈?」


「攻撃を防ぐのは不可能だな」


「じゃあ、本体を一気に叩くか?」


「それしかないな」


「おい‼戦闘中にお喋りか~!?」


 ボランドの強烈な一撃が服部を襲った。防御をしようとしたのだが、防御しきれず服部は攻撃を受けてしまった。


「ガハッ‼グフォッ‼」


 攻撃を受け、何度も服部は地面や天井に体をぶつけた。海人は服部に近付こうとしたのだが、ボランドがすぐ近くまで接近していた。


「次はお前だ、クソ坊主」


「……やってみろよ犯罪者もどきが‼」


「犯罪者?俺達をそう呼ぶのは止めろ‼」


 ボランドは海人に向かい、ヌンチャクを振り下ろそうとした。だが、その前に海人は隠し持っていた手裏剣やクナイを一斉にボランドに向けて投げつけた。


「うおっ!」


 驚いた声を上げ、ボランドはヌンチャクを振り回し、飛んでくる手裏剣とクナイを叩き落としていた。


「は……ははは。今時こんなもん使うとか馬鹿じゃねーの?今はなぁ、銃やミサイルとかいろんな兵器があるんだぜ。どれもこれも手裏剣やクナイよりも攻撃力も利便性も上だ‼」


「だが、この攻撃で少し傷ついただろ」


 海人の言うとおり、ボランドの腕や頬には少し切れた傷ができていた。ボランドは頬から流れる血をぬぐい、海人にこう言った。


「こんなのダメージのうちには入んねーよ」


「そうか。じゃあ、とっととくたばれ犯罪者」


「チッ、またこんなこと言いやがって。ぶっ殺すぞこの野郎‼」


 ボランドは攻撃の構えを取ったのだが、急に足に力が入らなくなったのだ。


「な……何だこれ……」


 その直後、ボランドの両手が痺れだした。そして、強烈なめまいが発生した。


「く……体がおかしい……」


「さっき投げた手裏剣やクナイには、毒が塗られてあったのだ」


「敵を倒すには、策も必要だからな」


 立ち上がった服部が、倒れているボランドにこう言った。


「さぁ、覚悟しろ」


 服部と海人は風を発し、ボランドを切り裂いた。


「そ……そんな……ジャック様、ジョーカー様……すみません……」


 攻撃を受けたボランドは、こう呟いた後気を失った。

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