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それぞれの動き

 三刃達が修行をしている間、地元に残っている服部達は、三刃達に代わってモンスター達と戦っていた。


「ふぅ、やっと全滅させたな」


 服部が刀をしまい、海人にこう言った。海人も周囲を見回し、光賀と夕に帰るぞと伝えた。4人が帰る中、夕がこう言った。


「最近、トランプカードの動きがないよね……」


「魔法の存在がばれたから、あいつらも動きにくいんだろ」


「だが、ばれたくなければ何であんな事件を起こしたんだんだ?」


「暴れた奴がバカだったんだろ」


「そうだな。輝海さんから聞いたが、暴れた奴の尋問はまだ続いてるみたいだぜ」


「大変だな」


 4人は会話をしながら、結社へ戻ると、役員の人達が慌てながら移動をしていた。光賀は近くを走っていた湯出に事情を聞くため、声をかけた。


「湯出さん、何かあったんですか?」


「近くでトランプカードらしき団体が騒動を起こしたらしいんだ!その対応で皆追われてる」


「あいつら……また騒ぎを起こしやがって……」


「だけど、輝海さんと他の結社の魔法使いが制圧に向かったから、すぐに終わると思うけど」


「なーんだ」


 その直後、輝海からの通信が入った。


『こちら輝海。トランプカードの団員を捕獲した。数は五人。皆俺が気絶させたから危害を加える恐れはないと思う』


「分かりました。では到着し次第、団員から情報を聞き取ります」


『ああ』


 通信が終わり、夕は安堵の息を吐いた。


「被害がなくてよかった……」


「確かにな。輝海さんもあの傷から復活してから大活躍だし」


「口を割りたいのであれば、あのクソ爺から教わった拷問術でも使うか?」


 海人がとんでもない事を言ったため、光賀は苦笑いでこう言った。


「止めておけ」




 輝海は捕らえたトランプカードの団員を取り調べ担当の役員に引き渡した後、疲れを癒すために結社内にあるドリンクコーナーへ向かった。コーヒーを注ぎ、近くにあったソファへ向かい、座り込んだ。


「ふぅ……」


「お疲れ様です」


 ここで湯出が姿を見せた。輝海は軽い挨拶のつもりで手を上げた。


「湯出、三刃君達の様子はどうだ?」


「菊さんからの連絡で、翡翠ちゃん達は三人とも龍の力を手にしたと」


「へぇ。結構早く手にしたな」


「今は基礎体力を上げるために、シュミレーションルームで修行を続けてるそうです」


「三刃君と姫乃は?」


 こう聞かれると、湯出は渋い顔をしながら返事をした。


「連絡がありません」


「はぁ?」


「梅子さんは三刃とあの子は自然に任せるとしか、返事をしませんでした」


「自然に任せる……どういうことだ?」


「さぁ?」


 湯出は手にしているコップの中の飲み物を飲み干し、コップをゴミ箱へ捨てた。


「上に戻ります。そろそろ皆の武器の手入れや新しい武器の用意をしないといけないので」


「そうか。お前もトランプカードと全力で戦うために準備をしてるんだな」


「はい。今のところ、あいつらは大きい動きを見せてないですが、いつかきっと大事を起こすと思います」


「俺も同じ考えだ」


 輝海は飲み干したコップをゴミ箱へ捨て、ソファから立ち上がった。


「俺は仕事に戻る。魔宝石の手入れ頑張れよ」


「はい」


 二人は挨拶をかわし、その場から去って行った。




 風原家シュミレーションルーム。室内には翡翠と凛子、凛音が立っている。彼女の周りには、彼女たちの倍以上ある大きさのモンスターの群れが取り囲んでいた。モンスターの一部が雄叫びを上げると、一斉に翡翠達に襲い掛かった。


「行くよ、皆!」


「うん!」


「任せて!」


 三人は同時に飛び上がり、目の前のモンスターを攻撃し始めた。翡翠は銃で、凛子は槍で、凛音はチェーンソーで攻撃をしている。翡翠は地面に着地した後、剣に切り替えてモンスターの群れを攻撃し始めた。凛子は魔力を槍に込めて振り回し、大きな竜巻を発生させていた。しかも、炎が纏っている。竜巻に飲み込まれたモンスターは、丸焦げになって消えて行った。凛音は素早い動きでモンスターを翻弄しながら、チェーンソーの豪快な一撃でモンスターの群れを消していった。


 戦いが始まって数分、大量にいたモンスターの群れは跡形もなく消滅していた。


「うん。強くなったねぇ」


 菊は笑顔を見せながら、翡翠達に近付いた。


「これならトランプカードとかいうへんちくりんな輩と戦っても大丈夫だねぃ」


「本当!?」


 翡翠の問いに対し、菊は笑いながらこう言った。


「私が言うんだ。大丈夫だよ」


 返事を聞き、三人は笑顔でお互いの顔を見合わせた。




 その頃、三刃と姫乃は……


「ふぅ……この位かな」


 三刃は風を利用し、魚取りをしていた。生き残るため、常に魔法を使用していたためか、前よりも魔力を使った技術が発達していた。それは三刃自身もこの修行で察している。他にも、凶暴な猪との戦い、未発達の土地での移動のおかげか、力も体力も増している。


 三刃は捕まえた魚を風を使って運び、姫乃の元へ向かった。


「姫乃、今戻ったぞ」


「お帰り三刃君」


 姫乃は簡易的に作った屋根の整理をしながらこう言った。その後、屋根から降りた姫乃は三刃に近付き、取り立ての魚を見た。


「これさえあれば明日は食料には困らないわね」


「ああ。ったく、いつになったらばあちゃん達は来るんだか……」


「あれからどのくらい経ったのかしら?」


「多分数ヶ月は過ぎてる。この時に騒動とかあったら大変だよ」


 三刃はため息とともにこう言った。その後、三刃と姫乃は魚を焼いて食べ始めた。食べ終わると、近くに置いてあるボロボロの木で軽い剣の修行を始めた。この修行を行っている時、二人は時間が空いた時はこうやって剣の訓練をしていたのだ。そのおかげで、剣技も上達している。


「姫乃、少しは手加減してくれ」


「手加減したら、こっちがやられちゃうからいやよ」


 剣の修行をしている時だった。二人の耳に車のクラクションが鳴り響いたのだ。


「ヒッヒッヒ。三刃と嬢ちゃん、ちったぁ強くなったかい?」


「ばあちゃん……」


 車の主は梅子だった。梅子は車から降り、二人に近付いた。


「うんうん。数か月前と比べて、えらいたくましくなったよ。修行してよかっただろ?」


「ええ……はい」


「何度か死にかけたけどな」


 三刃の言葉を無視し、梅子は二人にこう言った。


「じゃあもう帰るから、車に……乗る前に体を洗ってきなさい。タオルと着替えはあるから心配しないで。二人で仲良く水浴びしてきなさい」


 この言葉を聞き、二人は別々で水を浴びに行った。ちなみに、この修行を行っている間、二人は互いの裸を見ないように別々で川で体を洗っていたのだ。そんな二人を見て、梅子は大声でこう言った。


「恥ずかしがるんじゃないよ!三刃、その子に告って子作りして、この婆にひ孫の姿を見せてくれー!」


「何言ってるんだばあちゃん‼」


 三刃は顔を真っ赤にし、大声でこう叫んだ。それを聞いた姫乃も、顔を真っ赤にしてうずくまっていた。




 とあるビルの上。ジョーカーは数名の部下と話をしていた。


「ジョーカー様、そろそろ動くのですね?」


 部下の一人がこう聞くと、ジョーカーはこくんと頷き、返事をした。


「ああ。そろそろこちらも動かないと作戦に支障が出る。今こそ、この世界を変える時だ」


 ジョーカーは立ち上がると、部下達にこう言った。


「まず最初に結社に囚われたコラル達を救い出す」


「もし、奴らが我らの事を話していたらどうします?」


「彼らの処理は君達に任す」


「……了解しました」


「その後については、コラル達の事が終わってから話す」


「分かりました。では、私と信頼する部下で結社へ向かいます」


「頼むぞ、ジャック」


 ジャックと呼ばれた男は立ち上がった後、ジョーカーのいる部屋から立ち去った。残った部下の一人が、ジョーカーにこう聞いた。


「奴に任せていいんですか?」


「問題ない。彼はとても信頼できる。それに、トランプカード結成時からの付き合いだからね」


「そうですか」


「とりあえず、今は彼らが帰ってくるのを待つんだ。動くのはそれからだ」


 ジョーカーはこう言った後、ソファに座りなおした。

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