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輝海奪還戦開始!

 3時間後、コラルは横になって時が流れるのを待っていた。剛三の死を告げた後、輝海は何もしゃべらなくなった。話しかけても、無視される。輝海との会話を諦めたコラルは、仕方なく横になっているのだ。


「こんな外じゃあ昼寝は出来ないねぇ……」


「たりめーだろ。寒いだろーが」


 ジャベが欠伸をしながら歩いてきた。


「おかえり。話し相手がいないから暇だったよ」


「話し相手がいない?捕まえた奴と話せばいいじゃねーか。馬鹿だろお前」


「声をかけても無視される。何を言っても無駄だよ」


「だろうな。じゃああのデカ物に声をかければ?」


「死人が返事をするかい?冗談はやめてよね」


 コラルは笑いながら胡坐をかいた。ジャベはその横に座り、手に持ったビニール袋からおにぎりやサンドウィッチをコラルに渡した。


「食うか?」


「どこから持ってきたのそんなの?」


「近くのコンビニを襲ってきた。何人かぶっ殺してやったぜ」


「おっそろしい事をするねぇ。君は今テレビで有名人だよ、そんなことしたら警察さんに捕まっちまうよ」


「警察の雑魚共が俺にかなうわけねーだろ。大体、俺がしょぼい鉄砲喰らって死ぬか?」


「ま、そうだね。でもあまり目立つことはしないでね」


 コラルはサンドウィッチを口にし、こう言った。その時、コラルの目つきが変わった。


「来たね」


「そのようだな」


 ジャベはおにぎりを一口で食べきり、立ち上がった。目の前に車が現れ、そこから三刃と湯出が降りた。


「結社の魔法使いのようだね」


「何だよ、エロいおっぱいの女の子がいねーじゃねーか」


「君、汚い言葉とおっぱいしか言わないよね。他に何か言えないの?」


「乳、胸、ぱいぱい」


「それおっぱいと同じ意味だから」


「お喋りはそれまでにしておけ」


 湯出が神妙な顔つきで喋った。その言葉を聞いたジャベは笑いながらこう言った。


「うるせーよファッキンオタク野郎。耳が腐りそうでクソみてーなアニソンが車の外から聞こえたぜ」


「あっそ」


 湯出は剣を取り出し、ジャベに斬りかかった。


「へー。かなりやる気じゃん」


「先輩の命がかかってるんでね。それと剛三さんの仇」


「はっ!そうかよ……じゃあ俺様が相手してやるぜ!」


 ジャベも剣を取り出し、湯出の攻撃を防御した。




「どうやら、俺の相手は君のようだね……」


 コラルは重たそうに腰を上げ、両手にリボルバーを装備した。三刃は風丸を見つめ、心の中で思った。もう少し耐えてくれと。


 三刃は風丸を装備し、コラルの動きに注目した。コラルも三刃の方を直視し、動きを読んでいた。


「どうやら坊ちゃんはまだ戦闘に慣れてないようだね……本当は手加減したいところなんだけど、今はこう言う状況じゃないからね。死んでも恨まないでね」


 コラルは両手のリボルバーを発砲した。三刃は弾丸の軌道を読み、二発の銃弾をかわした。


「はぁぁぁぁぁっ‼」


 三刃はコラルに接近し、風丸を振り上げた。


「ダメだねー。相手の攻撃方法を理解しないまま、突っ込んだら危ないよー」


 コラルは三刃にこう言った。その時、三刃は後ろの方から金属音がするのを耳にした。まさかと思い後ろを振り向くと、コラルが放った弾丸が向きを変えて三刃の方に飛んで来ていたのだ。


「うっ……クソ‼」


 三刃は風の刃を放ち、弾丸を切り落とした。


「風の魔法。俺が昨晩倒した奴と同じ属性か……だけど、君の方が弱いね」


「うるせーよ‼」


 三刃は態勢を整え、コラルに向かって走って行った。




 その頃、翡翠もテレビで起きた惨状を知った。そして凛子に電話をかけていた。


「もしもし凛子ちゃん?」


『翡翠ちゃん、あのテレビの話でしょ?』


「うん。結社の方で動きはあった?」


『お姉ちゃんが急いで出て行った。私と凛音も行こうとしたんだけど、待機してなさいって……。三刃は?』


「何も言わず出て行ったから……私は今事件が起きたことを知ったの」


『今?テレビが流れたのは大分前だよ?』


「おばあちゃんが来るって言って準備してたの。だからテレビは消したままで……」


『そうなんだ……。とにかく私達は待ってることにするわ。服部さんも海人君も待機してるって話だし』


「分かった。私も待機するね、何かあったら連絡する」


『うん!』


 電話を切り、翡翠は魔宝石の準備をしたが、その時に玄関が開く音がした。


「翡翠、久しぶりだねぇ」


「こんにちは、翡翠ちゃん」


 そこに立っていたのは翡翠の父方の祖母である護天梅子(うめこ)とおじである護天宗次郎(そうじろう)が立っていた。


「おばあちゃん……おじさん……」


「おや、三刃はいないのかい?」


「う……うん。用事で出かけてるの」


「そうかい……」


 梅子は周りを見渡し、笑いながら翡翠にこう言った。


「嘘が下手じゃのう。三刃は厄介事に首を突っ込んだのかい?」


「え……そんなことは……」


「魔法関連」


 梅子がこう言うと、翡翠の体は固まった。


「ひっひっひ。私は相場の生みの親、私も魔法を使えるんじゃよ。今まで秘密にしておったが」


「僕も一応は使えるんだけどね」


 と、宗次郎もこう言った。


「じゃあ……なんでそのことを黙ってたの?」


「相場の馬鹿に言われたからね。ま、長い話は三刃と合流してからじゃ。とにかく今から三刃の元へ行く。翡翠も来い」


「え……え?えええええええええええええええ!?」


 翡翠が言葉を返す前に、梅子は翡翠を宗次郎が乗る車に乗せた。




 激闘は続いていた。


 湯出とジャベは互いに剣を振りあい、攻撃を防いだり交わしたりしていた。


「けっ、最近のオタクは剣が上手いじゃねーか」


「お褒めの言葉ありがとうございますっと!」


 湯出は後ろに下がり、息を整えた。ジャベは剣を地面に刺し、荒く呼吸をしていた。


「はぁ……はぁ……」


「何だ、テレビ局で派手に暴れたせいで疲れたのか?」


「うるせー‼」


 ジャベは剣を引き抜き、湯出に襲い掛かった。


「どうやら君は弱いようだ……だけど今、俺怒ってるんだよね」


「はっ、オタク野郎がでかい口叩くんじゃねーぞ‼」


 湯出の言葉を聞き、逆上したジャベはもう一本剣を出した。


「本気でテメーをぶっ殺す‼あの世で後悔するなよ?」


「二刀流か……」


 湯出は冷静にこう言った。その時、ジャベが襲い掛かった。


「死ねェェェェェェェェェェェェェェェ‼」


 湯出に接近したジャベは湯出に斬りかかった。だが、湯出は攻撃をかわし、無傷にすんでいた。


「クソがッ‼どうして俺様の攻撃が当たらないんだ‼」


「攻撃の軌道を読んでいる。それさえあれば、君の攻撃はいくらでもかわせるさ」


「黙れッ‼オタク野郎‼」


 ジャベは叫びながら、湯出の剣をへし折った。


「はっ、武器がなければもう戦えないな‼」


「だからどうした?」


 湯出は折れた武器を魔宝石に戻し、別の魔宝石を具現化した。その武器は槍だった。


「槍か?武器を変えてきたな……」


 湯出は槍を突き、連続攻撃を始めた。その攻撃は意外に早く、ジャベにダメージを与えて行った。


「畜生!こいつ、剣以外にも……」


「悪いね、俺は魔宝石職人だからあらゆる武器の知識があるんだ」


「だから何だ?そんな理由で俺様に勝てるってわけか?ざけんじゃねーぞ‼」


 と、ジャベは両手の剣から魔力で作られた刃を発した。二つの刃は湯出に向かって飛んでいき、爆発した。


「ハーッハッハ!ざまーみろ、所詮オタクは俺の相手じゃねーんだよ‼オタクは部屋で引きこもって糞みてーな絵を見てあそこいじってればいいんだよ‼バーカ‼ヒャーハッハー‼」


 自分の勝利を確信したジャベは大声で罵倒し始めたが、爆炎の中から湯出の姿が見えた。


「ちっ、あのオタク野郎、まだ生きてんのか」


「お前のせいで服がボロボロじゃないか、帰るときどうすんだこれ」


 湯出が肩を回しながら現れた。その姿を見て、ジャベは驚愕した。湯出の肉体はかなり鍛えられていた。そして、至る所に傷の跡が出来ていた。


「何だよ……お前……」


「魔宝石職人は武器の事を知るため、武器を上手く使うために修行を行う。その結果がこれさ」


 そう言うと、湯出は両手に無数の魔宝石の指輪を付けた。


「そろそろ本気を出そう」


 その後、魔宝石の指輪が光出し、湯出の周りにあらゆる種類の武器が宙に浮かんだ。

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