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悪夢はさらに続く、どこまでも

 最上階へ向かっている輝海は、砕とコラルの戦いが終わったことを察知した。砕の魔力が急に上がり、消えていくのを探知したのだ。


「砕……クソッ‼」


 輝海は一瞬立ち止まったが、砕を倒した敵がここに来ることを考え、早く最上階へ行こうと思った。


「仇はとってやるからな‼」


 階段の終わりが見えてきた。輝海は急いで階段を駆け上がり、目の前の扉を蹴り開けた。輝海はそこにトランプカードのリーダーがいると察していた。ザグボの情報で、ここがアジトということが分かったからだ。だが。部屋の中には誰一人いなかった。


「何でだ……ここがアジトじゃねーのかよ……」


「当たり前だよ。こんなちんけな場所にリーダーがいるわけないでしょ」


 輝海の後ろから、声がした。輝海はすぐに槍を装備し、後ろに振り返った。そこにいたのは、呼吸を乱しているコラルのだった。


「あーしんど。兄ちゃん、よくあんなくそ長い階段を駆け上がれるね。おじさんにはこたえるよあれ」


「テメーが砕を殺したのか?」


 輝海は槍を向けてこう聞いた。殺意がこもった輝海の表情を見て、コラルは困ったように返事を返した。


「確かに俺だよ。まいったね、一日に二度も命を狙われるの。もてるのは女だけにしてほしいな」


「ほざけぇっ‼」


 輝海は自分の全魔力を開放し、コラルに向けて槍を突いた。矛先から、激しい魔力の渦がドリルのような形となり、コラルに向かって飛んで行った。


「おわっ、すごいのだしてくるね」


 焦ったコラルは横に飛んで交わしたが、コラルの行動を先読みしていた輝海はコラルに向けて槍を振り回した。


「おおっと」


 だが、その攻撃は防御された。コラルは手にしていたリボルバーを盾代わりにし、輝海の槍の攻撃を防いだ。


「あちちち。防御したからと言って、こりゃ痛いよ」


「もっと痛い目に合わせてやるよ」


 輝海は槍を振り回しながら、こう言った。振り回される槍から、無数の魔力の塊が発生し、コラルに向かって飛んで行った。


「飛び道具かい?それなら拳銃(こっち)の方が上だよ」


 コラルは輝海に向け、3発発砲した。


「道中リロードしておいてよかった」


 残った3発の弾丸を見て、コラルは呟いた。


 放たれた弾丸は輝海に向かって飛んで行ったが、その前に輝海の魔力の塊が、弾丸を破裂させた。


「ぶっ殺す‼」


 弾丸を破壊した輝海は、勢いよく走り出し、コラルを攻撃しようとした。


「熱くなりすぎだよ。俺にはまだ弾があるよ~」


 コラルは輝海の頭に向けて、銃を構えた。


「しゃらぁっ‼」


 輝海は弾丸を避けるため、高く飛び上がった。


「そんなんで避けたつもり?」


 コラルは弾丸に魔力を込め、2回発砲した。2発の弾丸は輝海を追い、飛んで行った。輝海は弾丸をかわし、コラルの後ろに回り込んだ。


「もらうぜ、お前の命」


「その言葉、そのままお返しするよ」


 空高く飛んだ弾丸は、急に止まり、輝海に向かって動き出した。


「追尾弾か!」


「さっきの奴はこれで死んだよ」


 コラルは輝海に向かって、こう言った。輝海は一瞬だけ、コラルの方を見たが、その隙に弾丸が輝海の両肩に命中した。




 剛三は大剣を振り回し、ミーザの槍の攻撃を耐えていた。


「どうしたデカ物!?さっきより動きが鈍くなってるぜェ?」


「クソッ‼」


 攻撃を止め、剛三は外に向かって走って行った。逃げるだろうと思ったミーザは下種な笑い声をあげながらその後を追った。


「ま~て~ま~て~デカゴリラァッ‼命が惜しいから逃げるんでちゅか~?」


「バカだねぇ」


「策があるから逃げるんだよ」


 と、外で待機していた忍と閃助がミーザに攻撃を仕掛けた。忍の水魔法で水の中に閉じ込められ、ミーザの動きは鈍くなり、閃助の電撃魔法がミーザを襲った。水の中で悲鳴を上げているが、その声は外にいる剛三たちには届かなかった。しばらくし、水魔法が解かれ、中から感電死したミーザが落ちてきた。


「すまん。少し手間取っていた」


「気にすんなよ」


「早く輝海の所に行こう。あいつ、きっとやけになって戦ってるよ」


 閃助の言葉にうなずいた剛三と忍は、急いで輝海の後を追って行った。最上階へ向かう途中、彼らは砕の死体を見つけた。


「砕……」


 忍は砕の死体を見て、名前を呟いた。


「仇はとってやるからな」


「俺らが爺になって天寿を全うしたら、会おうぜ」


 剛三と閃助がこう言った直後、いきなりヘリコプターの音が響いた。


「もしかして、メディアの連中がこの騒動に気付いたか!?」


「あいつら、ザグボ達の騒動で下手したら死ぬってことが分からないのか?」


 剛三たちが空を見上げると、大きなヘリコプターが、ビルの最上階に向かって飛んで来ている姿が見えた。


「……もしかして敵の増援か?」


「だったらやばいね」


「……早く行こう‼」


 その後、剛三たちは急いで輝海の元へ向かった。




 両肩に傷を負った輝海は、武器を落とし、膝をついていた。


「ぐ……ぐぅぅ……」


「睨むのはやめてくれよ兄ちゃん。隙を見せたお前さんが悪いんだぜ?」


「まだだ……まだ終わってねーよ……」


 立ち上がろうとする輝海を見て、コラルは溜息を吐いた。そして、残った弾丸を輝海の片膝に向けて発砲し、命中させた。


「ぐあああああ‼」


 攻撃を受けた輝海は、そのまま倒れてしまった。ヘリコプターの音を聞いたコラルは、名残惜しそうにこう言った。


「どうやら迎えが来たようだ。じゃあ、君達の後片付けは下の連中に任せるよ。掃除中は、おとなしくしていてくれよ?」


「うるせっ!」


 輝海は右手で魔法弾を放ち、コラルに命中させた。


「酷いことするね~。おにさん怒っちゃうよ?」


「死ねッ‼」


 もう一度、輝海は魔法弾を放った。だが、この攻撃はコラルに命中しなかった。


「あ~あ、おじさん怒っちゃった」


 コラルはリロードをし、輝海に近付いて、両手両足を打ち抜いた。


「これで下手な芝居は出来ないよ。残念だったね」


「く……そがっ……」


 コラルは銃口を輝海の頭に突き付け、こう言った。


「次変なことをしたら頭を打ち抜く」


「死ねクソ野郎」


「……じゃあ死んでもらおう」


「お前が死ねッ‼」


 ここで剛三のドロップキックが、コラルに命中した。腰をさすりながらコラルは立ち上がったが、閃助が近くまで移動していて、忍が周囲に水を張っていた。


「お前ら……」


「輝海、遅くなったが助けに来たぜ」


「俺達にも砕の仇、取らせてくれよ」


「皆でこいつを倒そうぜ」


 コラルは情けない声を出した後、魔力の探知を始めた。


「……あー、ミーザの奴死んじゃったよ……」


「そうだ。俺達が倒した」


 閃助がこう言うと、コラルは小さく呼吸をした。


「なら、本気出さないといけないねぇ」


「あぁ?」


 その直後、コラルはもう一丁のリボルバーで、閃助の頭を打ち抜いた。


「閃助‼」


「頭蓋骨貫通、弾丸は脳を貫いた。もう仏さんさ」


 忍は周りの水をコラルに向けて放ったが、コラルはそれを全て打ち抜いた。


「なっ……」


「慌てなさんな。すぐに旅立った仲間の元へ案内してやるさ」


 忍に向かって、コラルはこう言った。その直度、忍に向けて2発の弾丸が放たれた。弾丸の一発は忍の頭を貫き、もう一発は心臓を貫いた。


「忍ぅ‼」


 剛三は忍を見て叫んだが、その隙にコラルは剛三の口の中に向け、発砲した。弾丸は剛三の口の中から、外に向けて貫いた。


「があああっ‼あああっ‼」


「叫んだら痛みが増すよ、ゴリラさん」


 コラルが勝ち誇ったようにこう言うと、上からトランプカードの兵士達が現れた。


「お遊びはここまでか。じゃ、生き残ったお二人さんは、人質として連れていきますか」


 その後、傷ついた輝海と剛三は、兵士達に連れられ、ヘリコプターに乗せられた。コラルはヘリコプターに乗り込んだ後、パイロットに近付いた。


「よし行こう」


「あの、リーザさんがまだ来てないようですが……」


「あいつは死んだよ。奴らに殺された」


「そうですか……では動きます‼」


 パイロットがこう言った直後、ヘリコプターは離陸した。その時、コラルは近くにあったボタンを取り、ビルを見ながらこう言った。


「じゃ、要らなくなったものはぜーんぶ処理しますか」


 ボタンを押すと、アジトと呼ばれたビルは、爆発を始めた。

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