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本拠地へ乗り込め!

 バスが出発して数時間後、バスは事件も事故もなく、輝海が宿泊しているホテルに到着した。4人はバスかれ出て、ホテルのロビーに行き、輝海の客人だと伝えると、すぐに輝美がいる部屋に向かった。


「輝海、来たぞ」


 忍がチャイムを押し、こう言った。そのすぐ、輝海が扉を開けた。


「無事についたようだな」


「ああ」


「そうでなかったら、俺らの一人は死んでたかもな」


「とにかく部屋に入れ。作戦会議を始めよう」


 輝海は4人を部屋に入れ、窓から見えるトランプカードのアジトがあるビルを4人に見せた。


「禍々しい魔力を感じる」


「こりゃ、輝海さん一人じゃ無理っすね」


「閃助、そういうことを言うな」


 輝海は机の上に画用紙を広げ、4人に見せた。


「こいつはあのビルについての情報だ。ホテルの従業員に聞いたこと、俺が一ヶ月調べたことすべて書いてある」


 その後、4人は輝海が書いたビルの情報に目を通した。内容は以下のとおりである。



・アジトがあるビルは5階建て。

・元はどこかの会社が本社ビルで建てたが、倒産してビルだけが残った。

・約5年前、素性の知らない青年がこのビルを購入した。

・その後、ビルに人が入る姿を目撃するようになった。

・深夜に人が出入りしている。朝から夕方にかけては、誰一人ビルに入らないし、ビルから出ない。

・ビルの出入り口は二つある。正面玄関と、裏側の非常口。

・窓はカーテンで閉められ、何を行っているか分からない。

・1階にはロビーのようなエリアがある。

・2~5階はそれぞれ部屋がある。

・各階にはトイレ、火災警報地器、消化器がある。だがこれは、どこかの会社があった時の話であり、現在は火災警報器は壊れてるかもしれないし、消化器は置いてない可能性がある。



「これが全ての情報だ」


 剛三は少し考えた後、欠伸をし、輝海にこう言った。


「夜に襲撃するか?」


「俺も考えたんだが、その時間はあいつらが活動する時間だ」


「私も輝海の意見に同意する」


 忍は冷静な口調でこう言った。


「夜中に激しくドンパチすれば、騒動になるだろう」


「いや、どっちにしたって騒動にはなるだろ」


 閃助は、水を飲んで忍にこう言った。


「あいつらは知性のない犯罪者だよ、俺らが隠密にやろうが、潜んでやろうが、どうやっても騒動になるよ」


「閃助の言うとおりだ。騒動にはなるだろう」


 砕は静かにこう言うと、立ち上がって話を続けた。


「我々ができるのは、どれだけ騒動を小さくしてあいつらとの戦いに決着をつけるかだ」


「砕の言うとおりだな。とにかくだ。お前らはすぐに休め、明日にはあいつらのアジトに乗り込むぞ」


「おう」


 その後、輝海達は休憩を取った。




 翌日。三刃は姫乃と共に学校帰りに結社へ向かった。


「湯出さんはいますか?」


「ん?どうしたんだい三刃君?」


 丁度近くにいた湯出が、三刃の声を聞いて近付いてきた。


「武器の手入れをしてもらってもいいですか?」


 と、魔宝石を湯出に見せた。湯出は手に取り、じっくりと観察を始めた。


「ところどころひびが割れてるね。色も落ちてきてる」


「やっぱり、使いすぎるとこうなるんですか?」


「そうだね……やっぱり使って行くと傷は出来る。傷ついた分だけ、威力は落ちる」


「治す方法はあるんですか?」


「うん。まー、これに関しては魔宝石を作る人じゃないと分からないから……とにかくこれは俺が預かるよ。しばらくしたら治ると思う」


「ありがとうございます」


 三刃は礼を言うと、頭を下げた。そして、姫乃も魔宝石を出してこう言った。


「ついでに私のもお願いします。この前の騒動で派手に暴れたせいか、切れ味が落ちてるの」


 湯出は姫乃から魔宝石を受け取ろうとした瞬間、魔法石は崩れてしまった。


「あ……」


「嘘……」


「魔宝石って壊れるもんなんだ」


 三刃は崩れた魔宝石を見て、こう言った。


「うわー‼どうしよう……私、あれがないと戦えないのに‼」


「ちょっと待ってて、今日本刀系の魔宝石を取ってくるから」


 と言って、湯出は宝石店へ戻って行った。


 二人は湯出が戻るまで、結社の中にいた。しばらくすると、三刃がこう口にした。


「そういやあ、輝海さん見てないな」


 その言葉に反応した姫乃は、周囲を見回した。いつも輝海が座っている席は、空席になっているのだ。


「そうねえ、なんか難しい依頼でも受けたのかしら」


「手ごわいモンスターと戦ってるとか」


「ありえる。輝海さん、結構強いからあちこち行って戦ってるのね。大変ね」


 二人は輝海の席を見てこんな会話をした。




 数時間後。深夜2時。輝海達はホテルを出て、トランプカードのアジトへ向かった。ビルの裏側に移動すると、見張り兵らしき男が一人立っていた。


「私が排除しよう」


 忍は水を発生し、その水を放り投げた。水の着地音を耳にした見張り兵は、すぐに音の下方向を向いた。


「誰だ?」


 その直後、音もなく飛んできた氷の弾丸が、見張り兵の胸を貫いた。忍は見張り兵に近付き、倒したことを確認した。


 裏口に回り、輝海達は裏の出入り口の扉の前に立った。


「よし、作戦を始めるぞ」


 輝海の声を聞き、4人は頷いた。


 作戦会議の結果、3人と2人で分けて、トランプカードの殲滅を行うことにした。


 まず、ビル内部に侵入し、殲滅するのが輝海、剛三、砕。


 ビルの外で待機し、連絡および輝海達が仕留めきれずに外に逃げた兵士を追うのが忍、閃助。


「剛三、扉を開けてくれ。音を立てないようにな」


「分かってるって」


 剛三はドアノブを握ると、そのまま握力でドアノブを破壊した。その際、ビルの中にいるトランプカードは気付かなかったようだ。


「じゃあ行ってくる」


「死ぬなよ」


 輝海は忍にこう言うと、ビルの中に入って行った。


「俺達は隠れ場所を見つけ、そこで待機しよう」


「了解」


 忍と閃助は物陰に隠れ、敵が逃げてくるのを待った。


 ビル内部。廊下には電気が付いていなかった。


「明かりはいるか?」


「いやいい、俺達の場所を相手に知らせる事になる」


 輝海と剛三が会話をする中、砕が何かに気付いた。


「二人とも、下がってろ」


 その直後、輝海達に向かって鉄球が飛んできた。


「早速ばれたみたいだな……」


 輝海がこう言うと、それに返事するかのように笑い声が聞こえた。


「早速ばれた?テメーの存在なんて一か月前から知ってるってーの‼」


 声がした直後、廊下の電気が点灯した。そこには、モーニングスターを構えた男が一人、立っていた。


「ホテルからテメーの魔力を感じてたぜェ。ま、ジョーカー曰く相手が手を出さないなら無視しておけって言ってたから手を出さないでいたけどよぅ」


 男はこう言うと、鉄球を振り回し、輝海に向けた。


「何だよ、結局俺の事に気付いてたのか」


「そーゆーこと。この一ヶ月ずっと我慢してきたんだぜ、目の前に獲物がいるのに、手を出せないんだ。ストレスが溜まって溜まって健康に悪いんだよ」


「すまないな」


「じゃあ……ストレス発散の時間と行きましょうか‼」


 男はモーニングスターを振り下ろし、輝海に向けて鉄球を放った。輝海は攻撃を防御しようとしたが、剛三が前に出て鉄球を破壊した。


「この男の相手は俺がする」


「剛三、任せた!」


 輝海と砕は敵の相手を剛三に任せ、先に進んでいった。


「筋肉ダルマが相手か。すぐにくたばるなよ?」


「くたばるのはお前だ、トランプカード‼」


 剛三は大剣を装備し、勢いよく振り下ろした。剣先から、物凄い大きい衝撃波が発生し、男を襲った。


「シャアッ‼」


 男は飛び上がり、攻撃をかわした。この攻撃を見て、男は感情が高まったか、高笑いし、叫び始めた。


「いいぜいいぜ‼この感じ、ひっさしぶりにつよそーな奴と戦えるぜ‼ただの筋肉や老化と思ったが、結構やるじゃねーか‼面白い、お前の相手はクローバーのミーザがしてやるぜェ‼」


 ミーザは再び高笑いをしながら、剛三に襲い掛かった。

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