表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/85

作戦開始

 先に現場に着いた三刃と光賀は、上へ上がる階段を探した。


「非常階段はどこだ?」


「すぐ見つかればいいんだけど」


 しばらく探していると、非常階段と書かれたボードがあった。三刃は武器を出し、光賀も続けて武器を出した。


「よし、行くぞ」


「うん」


 二人は音を立てずに、階段を上り始めた。




 その頃、一回の裏に侵入した姫乃達は、敵の確認と人質の位置を目で確認していた。


「人質は中央に囲まれているわね」


「そのようだな」


「どうするの?」


「先に敵を叩きましょう。敵の数を減らした後、人質を解放」


「分かった」


「ちょっと待って」


 姫乃は行こうとする服部と夕を止め、最後にこう言った。


「なるべく騒がずに敵を倒すわよ。ボスと戦う三刃君と光賀君に迷惑がかかるから」


「了解。なら、忍者の出番だ」


 服部はそう言うと、飛び上がって姿を消した。


 そんなことも知らず、敵達は銃を構え、人質を見回していた。


「異常はあるか?」


「ありません」


「先ほどの女の死体はどうした?」


「処理しました」


「ご苦労」


 敵たちのまとめ役はそう言うと、大きな欠伸をした。この様子を見ていた服部は、今がチャンスと思い、移動を開始した。


 まず、服部が移動したのは少し離れた場所。敵が見回りをして否かを確認した後、服部は地面に降りた。続いて、物陰に隠れて敵が来るのを待った。しばらくし、二人組が服部の方に向かって歩いてきた。二人は話しているせいか、服部には気付いていない。好都合と思った服部は、魔法で糸を作り、二人の体を縛った。


「少し黙ってもらおう」


 騒ごうとした二人組を止めるため、服部は魔力を込めて攻撃した。その後、気絶した二人のうち、自分の服のサイズを合いそうなものを選び、装備を始めた。そして、二人をゴミ箱へ隠した。その後、服部は移動を再開した。


「おい、ちょっといいか?」


 歩いている中、敵の一人に声をかけられた。


「はい」


 服部は正体が気付かれないよう、声を低くして返事した。


「便所に行きたいんだ、俺と見張りを代わってくれないか?」


「あ……ああ」


 服部はそう返事をすると、ロビーへ向かった。


 ロビーへ着き、服部は正体が気付かれないように見張りを始めた。そして、相手に悟られないように攻撃の準備、人質解放の準備を始めた




 その頃、三刃と光賀は非常階段を上り続けていた。


「ここで3階か……」


 三刃が出入り口の看板を確認し、光賀に伝えた。息を吐いた後、光賀は上を見た。


「確か、4階が敵の休憩場所って言ってたな」


「ああ。で、5階に黒幕と社長がいる」


 話を終え、三刃は一呼吸した後、光賀にこう言った。


「行こう。もし、姫乃達が先に動いたら黒幕が動く」


「ああ。人質が解放できなくなる。急ごう」


 二人は武器を構え、梯子を上って行った。


 4階までの道のり、二人の目の前に敵が現れた。


「何だ貴様らは‼」


「警察か?それとも結社の奴か?」


 二人は何も言わず、敵を斬りつけた。倒れた敵の胸から、通信機が落ちた。


「念のため、潰しておこう」


 三刃は通信機を風で破壊した。




 ロビーにて。服部は頃合いを見ながら、いつ姫乃達に合図を送ろうか考えていた。そうしているうち、敵の話声が聞こえた。


「そろそろやばいって、あの人を縛ってる鎖、そろそろ壊れそうだぞ」


「マジか……下手したら俺らが殺されるんだよなー」


「ここに来るまで、何人死んだんだっけ?」


「4、5人じゃね?俺、まだ死にたくねーよ」


「つーか、何でジョーカー様はあんな奴を仲間にしたんだ?」


「いや、この事はジョーカー様は知らないらしい」


「マジか!」


「おい、じゃあこの計画もさ、あの人は知ってるわけ?」


「さぁ?そこまでは分からん」


 と、敵達は話に夢中になった。服部は気付かれないようにその場から離れ、姫乃達の元へ向かった。


「服部さん、お疲れ」


「大丈夫だった?」


「大したことはない」


 姫乃と夕の返事に答えながら、服部は着ている服を脱いだ。


「さて、そろそろ始めるとしよう」


「ええ。いいわ」


 姫乃の言葉の後、服部は魔力で作った紐を動かした。


「なっ……何だ‼」


「体が勝手に‼」


「た……たたた……助けてくれ‼」


 紐は敵の体を縛り、そのまま上に吊り上げて行った。


「今よ‼」


 姫乃の合図で3人は動き出し、人質の救出を始めた。


「おい、早く連絡を‼」


「そうはさせん」


 服部はクナイや手裏剣を投げ、敵に攻撃をした。夕の連絡を聞いた輝海たちが、一斉にロビーに入って来た。


「人質の皆さんはこちらから出て行ってください‼」


 姫乃によって解放された人質は、輝海の案内で、外に出て行った。


「さて、次は2階よ」


 姫乃達は階段を上り、2階にいる人質の救出へ向かった。




 5階。


「ん?なんだかうるせーな」


 ザグボが立ち上がり、部屋から出ようとした。だが、ザラザがザグボを止めた。


「何だよ」


「非常階段で待機している奴に連絡が出来ない」


「……虫けらがこっちに来るのか」


「かもね。仲間が人質を解放。で、残った奴らが俺たちを相手にする……」


「ハッ‼上等じゃねーか‼」


 ザグボが笑い声をあげたその時だった。いきなり非常階段の出入り口の扉が開き、突風が部屋に流れ込んできた。


「……虫けら共が来たか‼」


「テロリスト共に虫けらって言われたくないね」


 三刃が部屋の中に入り、こう言った。


「さぁ、観念して俺達に捕まるか、俺達にぶっ倒されるか、どちらか決めろ」


 続けて、光賀がこう言った。


「……2対2か……」


「俺も頭数に入っているのか……仕方ない、俺も戦うよ」


 ザラザは溜息を吐き、こう言った。ザグボはトランシーバーで、下の階にいる部下に連絡を取った。


「お前ら、休憩はおしまいだ‼お前らは下で暴れてる奴らを始末しろ‼俺とザラザは他の奴を相手にする‼」


 トランシーバーの電源を切り、ザグボはそれを地面に叩きつけた。


「さぁ、始めようぜ‼」




 三刃、光賀の戦いが始まろうとしている頃、鎖で縛られているザボッサはうめき声をあげていた。


 外では激しい戦いが始まっている。なのに、自分は鎖で縛られている。外の音を聞くうち、ザボッサの殺人衝動がどんどんと、強くなっていく。


 ああ、殺したい。殺したい殺したい。


 その思いは、次第に強くなっていき、ついに爆発した。


 ザボッサは手足を縛っていた鎖を無理やり破壊し、自由を得た。


「うっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


 歓喜の雄たけびを上げた後、ザボッサはズボンに入っていた魔宝石を手にし、魔力を込めた。魔宝石から、二本の刀が現れた。


「さぁ……殺戮ショーの始まりだぜェ‼」


 ザボッサは扉を蹴り開け、ロビーへ向かった。


「あ‼ザボッサさん‼」


 狂ったように走っているザボッサを見て、敵の一人が声を出した。


「ダメですよ、ザグボさんの許可なく出てしまったら‼」


「うるせぇ‼俺の勝手だカス‼」


 と、ザボッサは注意した敵の首を斬ってしまった。頭を失った首から流れ出る血が、ザボッサにかかった。


 気持ちいい……。


 ザボッサはこう思いながら、血を浴びていた。しばらくし、ザボッサは再び動き出した。


「ヒィッ‼何だあいつは‼」


「血まみれじゃないか‼」


 逃げ出そうとしている人質が、血まみれのザボッサを見て驚き、足を止めていた。


「早く‼早く逃げてください‼」


 輝海は大声で叫んだが、人質は恐怖で動けなかった。


「たくさん人がいる……じゃあ……たくさん殺せる‼」


 狂気の笑みを浮かべ、ザボッサは人質を襲い始めた。


「何だこいつ‼」


 輝海は槍を出し、ザボッサの攻撃を受け流し始めた。


「あは、あはは、あはははははははははははは‼お前強いな‼いいぜ、俺と殺し合いをしようぜ‼」


「お前みたいな野郎は相手にしたくねーんだよ‼」


 輝海はそう言うと、槍から電撃を発した。電撃はザボッサに命中したが、ザボッサは笑みを見せ、こう言った。


「気持ちいい……」


 とんでもない奴がいる。輝海はそう思いながら、冷や汗をかいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ