試験と高飛車3
準備ができ、最後に長い髪をきゅっと一つにまとめ校庭へ移動する。なんというか、本当になんの細工もしていないスーツで少しびっくりしている。あの性格が歪んだ高飛車お嬢様ならスーツの生地を伸縮性があまりない革のような生地で作ってるかもと思ったが、そんな細工もしてないし意外だ……いや、私の寸法をわざわざ調べてオーダーメイドで作るのが金の面倒と思ったのかも。それはないか? こんな非力な女子生徒の嫌がらせのために人を買収するぐらいだ。深く考えるのはあまりよくないが、他のやつも何かしている。ということは頭に入れておかないとな、それに私自身朝狩のことはよく知らないし……まぁ、それはさておき、試験に集中しなければ、やはり男性同士の戦いというのは迫力があるものだな。まぁ、女性同士の戦いは迫力ないとは言えないが……静かな校庭にはナイフのぶつかり合う音、土を踏み吹き飛ばされそうなのを耐える音、戦っている生徒の息、どれも緊迫感を漂わせている。勝ち負けを決めるために実技をするわけではないが、勝ち負けの基準がないと永遠に行われる。勝つ条件は、ナイフか銃弾をあてること、もしくは相手を不利な状態に陥れること。不利な状態とは、相手が自分に一切攻撃ができない状態を10秒続いたら自分の勝ちになる。まぁ制限時間があるから永遠に続くということはないだろう。それに勝つ条件を設けたのは生徒それぞれの闘志をかき立てるためとみた。実際、勝つ条件を満たせばポイントが増えるみたいだしな。
「次、雲ケ畑、朝狩」
「はい」
軍人から銃と模擬ナイフを受け取る。他の生徒の傾向を見るかぎり、銃は全くと言っていいほど使われていない。他の生徒と同様に朝狩も使ってこないか、使ってこないという思考をついて不意打ちで撃ってくることもあるかもしれない。まぁどちらも厄介だが、考えてから動くより考えながら動いた方がベストだな。自分も朝狩も構えるとスタートの合図があがった。二人の土を踏む音が重なりあちらはこちらに、こちらはあちらにぶつかるような勢いで走って行った。朝狩も考えていたことはほぼ同じようで、朝狩のナイフは私の顔に、私は朝狩の腕にナイフを当てようとした。まぁ、どちらとも避けられてしまったが、1秒も止まらずに次の手が出た。私も朝狩もとめどなく相手を攻撃する。どちらも譲らない感じだ、まぁ傾向的にも似ているからな。序盤、二人ともナイフと体術、銃は使わなかった。中盤、銃は使わなかった。だが、少しだけ序盤とは変わった。朝狩が私の銃を警戒し始めた。試しに腰につけた銃を取るようなしぐさをすると、私と同様に銃を取ろうとした。これはつれるか。終盤、私はどっちかというと負け気味だった。条件のように不利な状況が10秒続かないように計ってるが、意図的に不利を作るとは難しいものだ。なかなか倒れない私に、朝狩はいら立っているようだ。もうそろそろかな。
私は吹き飛ばされた時、わざと体制を崩してみた。すると、一瞬の隙を見つけて喜ぶ雑魚のような顔をして銃を取りだした。私も銃を取り出し銃口を朝狩に向ける。……バンッ、二つの銃声が鳴った後、しばらく沈黙し終わりの合図が聞こえた。勝ったのは……「私」だった。その真実を知った瞬間、朝狩は崩れ落ちた。私は立ち上がり、ナイフや銃を軍人に渡し列に戻った。朝狩は、軍人の肩を借り列に戻った。今回は、朝狩が大きな隙を作った。それは、焦りといら立ち。あいつは確かに銃が上手い。静止した状態での射撃の場合だけ、だがな。賞状や大会中の写真、それらを見る限り静止した状態で動く的を撃つ、というような狙撃の大会だった。それには冷静さが要求される。だが、今回の実技試験の朝狩は焦りといら立ちを見せた。そのおかげで得意なはずの静止した物を静止した状態で撃ちぬくことが、できなかった。そして、中盤で見せた警戒、大方、動いて撃つのはどのタイミングなのか迷っていたのだろう。相手から撃たれることも計算しながら、慣れていない環境で手探りの中撃つという器用なことはできなかったというわけだと思う。まぁ、できると慢心してしまったのがダメだな。自業自得と言ったところか……だが一つ、こんなかっこつけた感想はあまり言いたくない。言わなくてもいいなら、びっくりした、本当に成功するかビビった。自分をほめよう、あんなばくち打ちはもうしたくない。今晩の夕食は、マッシュポテトのステーキ添えだな。
ちなみに、模擬の銃の弾はペンキをカプセルにつめた弾です