銃と養女3
放課後にて__
ちょっとしたハプニングはあったが、無事放課後を迎えられた。さて、銃弾の件は犯人が直々に現れ皮肉を言ってもらえた方が実に助かる……念のため、録音しよう。確か携帯に録音機能がついてたような……よし用意できた。さて、少し勉強してから帰るか。すぐ帰ったら養親が文句を言いそうだからな。ノートを開け、勉強を始める。すると、ガラッと教室の戸が開いた。そちらをチラッと見ると、練習着を着たままの女子生徒が立っていた。確か……一緒に発砲練習を受けた「朝狩五子」だ。私と同じ志願者の、耳に入ってきた話によると、特待生で先生には謙虚な面を見せるが、普段はプライドが高い人物らしいが……そんないいところのお嬢様のようなやつが、自分の教室じゃない所に何のようだ……? 声はかけておこうか。
「すみません。何か用でしょうか、この教室には私しかいませんけど……」
「はぁ? 何か用ですかって何? アンタしか居ない時間帯見て来てるんだけど」
高飛車か。プライドの高いやつは総じて面倒だな。一応、こいつが犯人かもしれないし録音機能を作動しておこう。
「要件を言ってくださいますか。私も暇ではないので」
「言われなくてもそうそるわ。発砲練習の打ち抜きテストの時、レーザー弾じゃなくて弾丸だったのになんで高得点を叩き出すの? おかしいわ。レーザー弾以外扱ったことのなさそうなお子様が、使いこなせるなんて」
「貴方が仕掛けたのですか?」
「いいえ、私が金で雇った火器を保管している用務員に仕掛けさせたわ」
「理由は」
「貴女を学年一位の座から引きずり下ろしたいだけよ。そして私が一位になるの、というか。私が一位じゃなきゃおかしいですわ」
なんとも子供らしい意見だ。私より年上のはずなんだがな、まぁ、お行儀の悪いやつにはそれなりの制裁を受けてもらうか。
「そうですか。要件はそれだけで?」
「……いいえ、今度、軍適正試験があるでしょう? テスト項目で対人戦の実践があるのはご存知? そこで私と組んで戦いませんこと」
「ほう……いいですよ。では、試験で」
カバンとライフルを持ち、教室を後にする。さて、家に帰ったら告発の手紙でも書くか。銃に悪戯は、危ないからな。テストの実戦でぶち負かしてから、手紙を渡すのもいいな……いや、その前にあの女に勝てるかだな。私が特待生と知っていて、大きな差を感じるのならあんな大きな口は叩けないだろう。噂が流れるようなやつだ、銃には自信があるに違いないな。来賓用玄関にトロフィーやら飾ってあるから、相手を知るためにも見に行くか。
帰宅をすると、リビングには誰もいなかった。着替えたら夕飯の準備するか、もちろん一人分。作ってやってもぶつくさぶつくさ文句言ってくるから、作らない。作らなくても文句言われるけど、私の知ったこっちゃない。今日は何を作ろうか……オムライスでいいか。お米が足りないからじゃがいもで代用するか。じゃがいもを蒸かし、潰す。ごろごろしててもいいけど、完全に潰した方がいいな。ケチャップとソースを少々入れて、混ぜる。混ぜ終わったら、お皿に適当に盛る。あとは、たまごか。小さい時から作ってるからふわふわに作れる。まぁ、料理店みたいにオムレツ裂いたらトロッと、中身が出てくるなんて器用なことはできんからスクランブルエッグをただかけるだけだが……うーん、喉を詰まらせそうだ。だが、食べるしかない。もっとましな料理が作れたらな……まぁ、たらればを言っても仕方がない。食べれるのなら問題ない……多分。さて、さっさと食べて寝よう。
朝、いつも通り学校に到着。昨日は、油断して夜更かしをしてしまった……とても眠い、授業中は居眠りをしないようにしなければな……
「雲ケ畑さん、おはよう! 爽やかな朝ね」
後ろからぬっと居前さんが話しかけて来た。あまり、後ろから話しかけられるのは嫌だな。安心できない。それにしても、朝から元気だな。寝起きがいいのか、それとも回復が早いのか。どちらにしてもいいな。軍に入ってからは基本、寮生活だし朝は早いらしいから寝起きが悪くてグダグダとはしていられないと思うしな。そうだ、こいつに朝狩について聞いてみるか。
「居前さん、朝狩五子という生徒は知ってますか?」
「知ってる知ってる。美人で巨乳のお嬢様だって有名よ、一回、体育で近接戦の練習でペアになった時があってね。銃の腕前は優勝とかで知ってたけど、近接戦も強いなんて驚きよね。まるで、ラノベのキャラクターみたいに最強なのよ」
ほう、最強……私も銃の腕は自信はあるが、近接戦はそこまでの自信はないな。これは、近接戦を重視して練習するか。だが、体格的には私の方が小さい。そこは強みだな。いい情報を聞いたな、何かお礼ができないだろうか……
「あ、でもとっても高飛車で近寄りがたい感じだったわ。あと、握手を求めたら舌打ちされたのよ。年下なのに可愛くないわ~、不快な思いしたくなかったら接するときは十分、気を付けてね」
「ありがとう」
性格の情報まで教えてくれるとは、感謝しきれないな。元々知ってる朝狩の情報と今聞いた情報を照らし合わせると……典型的な猫かぶりか。私に似てるような似てないような、まぁ、情報は手に入れた。次は練習あるのみ。