序章
序章です。
つたなく短い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
いつだってみつは、セカイの隅っこで生きてきた。
その日も、いつもと同じように部屋の隅で膝を抱えていたのだ。
そんなセカイの隅っこで、みつは運命に出会う。
――これは、セカイの隅っこで生きる少女の、ちいさなちいさなおとぎ話。
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「みつはー、今日もー、お掃除をするのですー」
ぼそりとそう呟いて、みつは部屋をぐるりと見渡した。みつの部屋ではない広く豪奢な部屋を、翡翠色の大きな瞳がふわふわと泳ぐ。
(ほこり、取らないと怒られるなー。でもあの壺高そうだからなー。割ったらぶん殴られるよなー…)
気を付けるべき箇所を確認して、緩く波打つ髪を手荒く括った。手入れをすれば、はちみつ色のきれいなブロンドと呼べるであろうその髪は、いまはパサパサに荒れて見る影もない。
「ほいほい、出てきたらぶっ殺しちゃうからねー。出てくるなよー」
床を踏み鳴らしてネズミ避けをすると、みつは絞った雑巾を片手にすたすたと棚へ近寄っていく。
(ほこりを取ってー、床は掃いてー、それからー…)
くるくると頭のなかで言葉がめぐる。
ひょいひょいと障害物を避けながら棚を拭き、せっかく落としたほこりを舞い上げないように気を付けて床を掃いた。硝子窓の向こうで、月明かりが揺れる。
今日は、この『陽が昇らない国』でもっとも明るい、月齢二十八の夜だ。まるく、大きな月が、世界を青白く照らし出す。
(きれい。なんか、ぞくぞくする)
知らず、口端がつり上がる。
なにかが始まるような、そんな気がした。
いかがでしたでしょうか?
まだなにも始まっていませんが、というか、まだみつしか出て来てないですが、どのようになっていくか見守ってくださると嬉しいです。
感想、ご指摘お待ちしております。




