『チカの秘密Ⅱ』 ~輝ける悪魔の愛し子<ブリリアント・ビラブド>編~
青春ダークファンタジー『ミッドナイト・ロストサマー』の天真爛漫にして、謎めいた準主人公、チカについての考察、第二弾です。
大量のネタバレを含みますので、これまでのストーリーを未読の方はご注意です!
――Are you Ready?――
*ペルソナ・ゲーム*
天真爛漫で無邪気なチカは、実は嘘つき。千夜を騙している。
双子坂はそれを知っていて、放置、黙認している。だからこその、共犯者。
*デビルサマナー、セブンストリガー*
以前、チカは悪魔の愛し子<ビラブト>だという話をしたけれど、実際、チカは、七つの大罪すべての条件を満たしている。
暴食、強欲、堕落、肉欲、傲慢、嫉妬、そして、憤怒。
本当に、いつ闇堕ちしてもおかしくない。むしろこの状態で、正気を保てていることが奇跡。
**破滅の輝き~死のもとに立つ~*
何をやらせても、予想を裏切りまくるのがチカクオリティ。
ギャップがあるとかないとかそういう問題ではなく、チカの存在そのものが裏切り。
チカの本質は、すべてを裏切り、壊す、破滅の輝きでできている。
チカが求めて止まない、「たったひとつ」とは、壊れた自分を叱って、抱き締めてくれる存在。
それを守り、手にするためなら、チカは自分の命なんて粗大ゴミぐらいにしか思わないだろうし、
そのためなら、親愛なる友人で相棒、パートナーであり共犯者の双子坂すら、手にかけるだろう。
*ブリリアント・シューテイングスター*
チカが救世主だとか、なんだとか口々に超人呼ばわりされるのは、カリスマというより、むしろ、異常な本質のせい。
――それは、神からの祝福なのか、呪いなのか?
とにかく、チカはどうあっても普通ではなく、尋常でもない。
ただひたすらにチカでしかなく、喪失の名のもとに輝く明星でしかない。
――ブリリアント。
【誰を殺されると辛い?】*チカの場合*
基本、誰が殺されても泣かない。
すごく悲しいけど、すぐに感情が凍結して、翌日にはなんとも思わなくなる。
さすがに、相棒である双子坂が死んだらこたえるけど、やっぱり泣かない。
状況によっては自らの手で殺す。その場合ももちろん、涙すらにじませない。
そう言うと、チカがまるで冷血な化け物のようですが、心がないわけじゃない。
ただひたすらに、壊れているだけ。
そして、たった一人だけ、ある人物が死んだら大泣きする。
それだけでは済めばいいですが、まず、百パーセント自殺します。
チカにとって、「その存在」は、自分の魂を売り渡してでも守りたい、この世のすべての人間を殺めて、この世界のすべてを壊しつくしてでも、手にいれたいモノ。
真夜中の子供たち<ミッドナイトチルドレン>の中でも、最凶最悪の闇の流星。
こんな準主人公だが、大丈夫か。
チカのもつ、すべてを惹き付けるあのキラキラの輝きは、すべてを滅ぼす煉獄地獄の炎という、最悪のオチ。
神への反逆者<サターン>であり、羽を折った堕天使<ルシファー>であり、真夜中の子供たちを導く救世主<メシア>でもあり、そして、たった一人のための英雄<ヒーロー>であろうとするチカは、さながら、生きながら死んでいく死体<アンデッド>のようでもあり。
それでも、チカは諦めない。
たとえどんなに手を汚し、血にまみれても、どんなに大切なモノを喪い、壊れて叫んで、絶望したとしても。
たとえ、生まれる前から、裏切りと死を約束された、悪魔の愛し子<ビラブド>であったとしても。
チカはもう、「それ」を手にいれると決めたのだから。
そのためなら、自分の命なんて下らない廃棄物<ジャンク>は、何度だって投げ捨て、燃やしつくすだろう。
――まるで、このくそったれな世界ごと、地獄煉獄の業火にくべるように。




