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『その名の秘密Ⅱ』 ~失われた夏<チカ>編~

 青春ダークファンタジー・『ミッドナイト・ロストサマー』に登場する人物の名に隠された秘密が明らかになる、解説編・第二弾は、「炎に誓いし暗黒のなんたら」“誓炎”こと、チカです。


 そのばかばかしい通り名の反面、チカが抱いた闇はあまりに深く、取り返しようもない罪をも、意味していました。


 さて、ここでは、その本名、「千夏ちなつ」にこめられた真の意味を、解読していきましょう。


 重大なネタバレを大量に含むので、四章11話まで未読の方は、まず本編から、お読みになることをおすすめします。



 では、つづきから開始いたしましょう!





 ①「失われた夏」


 夏の象徴といえば、「青春、炎、太陽、昼、情熱」、そして、「生命」。

 チカは、それらすべてを象徴し、内包する存在。


「千の夏」、つまり、「数えきれないほど多い生命」を意味するチカは、第三章の断章<フラグメント>で、すでに一度死亡している。


 しかし、それは果たして、はじめてのことだろうか? というのが最大のポイント。


「数えきれないほどの生命」を意味するチカは、もしかしたら、「数えきれないほど死亡」し、そのたびに、その「歪んだ生」をやり直しているのかもしれない。 



 ②「裏切りの存在」


 また、中国では、「夏」とは、人が大きな仮面、もしくは、冠を被って、舞い踊る姿の象形であるという。


 もともと舞楽の名であり、夊+頁+楑の会意で楑は両手、夊は両足を表すとも。


 ことあるごとに、まるで道化か何かのように、おかしな仮面をかぶり、両手を広げ、ひらりと踊るチカは、たとえば、愛しい少女、千夜に嘘をつき、騙しているとしたら。


 それだけならまだいい。チカの本質そのものが、存在そのものが、「裏切り」でできているとしたら?



 ③「永遠の夏」



 また、夏≒「永遠」という等式もなりたつ。


 日本人にとって「夏休み」は「終わって欲しくない」もの。夏休み=思い出=終わって欲しくない=永遠、ループ、モラトリアム。


 チカは、なにか心残りがあり、同じ時、同じ夏を何度もループしているとしたら?

 だとしたら、それは、いつまで続き、チカが、何を手にすれば、終わりを迎えるのか?


 いずれにせよ、もう、あの優しくも残酷な「もう一回」は存在しない。

 これが、チカと千夜の、「最後の夏」「最後の一回」になるだろう。



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