Fragment0.「お前を喰らいたい」 ~アポカリプス・ブラッドエッジ~
オレはとうとう、〈秘密〉を打ち明けた。
もうすぐ終わる。――すべてが。
オレは、遠くて近い距離に、ただひたすら、その時を待った。
「――好きだったよ、××」
オレは、崩れ落ちる彼女を抱きしめながら、そうつぶやいた。
――雨が降っていた。
――――冷たい雨が。
運命は繰り返す。
動き出した運命の歯車は、止まらない。
オレは、オレ達は、約束された裏切りを繰り返す。
――何度でも、何度でも。
ただ、〈たったひとつ〉を手に入れるために。
そのためなら、オレは、もう、すべてを壊すことができるだろう。
――壊しつくせ。
絶望の運命よ、どうか、オレを壊してくれ。
この心臓を、止めてくれ。
オレは、もう、止まれない。
最期の瞬間まで、すべてを裏切り、壊しつくし、果てるだろう。
――それでもいい。
――――オレは欲しい。
〈失われた夜〉が。
あの愛しくて憎い、夜空のひとかけらが。
すべてが終わったとき、オレは天の裁きを受けるだろう。
ネメシス。
ネメシス・オブ・アポカリプス。
〈約束された天罰〉が、〈黙示録の青ざめた馬〉が、オレの額に口づけるだろう。
――それでいい。オレはこの世で一番罪深い、大罪人だ。
どうか、このオレを愛さないでほしい。
なぜなら、愛しいお前を、オレは……。
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