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『ミッドナイト・ロストサマー』 ~この100回目の夏を、「輝ける悪魔」と~  作者: 水森已愛
-第二章- 「“施設”<オルタナティブ・ダークナイト>編」
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第X話 “二重人格者”<ドーン・ダークネス・クリミナルブレイン>【前編】


 心のなかに、その怪物はいた。楽しいとき、幸せなとき、その化け物はささやく。



――タノシイカイ? シアワセカイ? ヨカッタネェ。



 気がついた時には、おれの前には、動物の死体が転がっていたり、あるいは自分と仲良くしていた同い年の子どもが、怪我けがをして転がっていた。


 それはエスカレートしていった。虫から、小鳥へ。子猫から、犬、果ては人間。


 しだいに、おれは恐れられるようになっていた。

 まるで人でないものをみるように、おびえたまなざしを向けられて、戸惑とまどった。


 自分はやっていない。記憶がない。

 だが、周りの子どももオトナも、おれがやったという。


 考えれば考えるほど、今にも胸がはじけそうで、腕をかきむしった。



――おれじゃない! おれはなにもやってない!



 でも、現実は残酷だった。

 警官であった父はクビを切られ、母はうろんな噂を広められ、孤立した。


 引っ越し先でも、同じことが起こった。公園で普通に遊び、友達ができる。

 だが、気がつくと目の前の砂場に、鉄棒の下に、植木うえきしげみに、友達が血まみれになって転がっている。



――なんで。なんで。なんで。なんで?!!



 母が精神を病み、首をるのに、時間はかからなかった。

 無職となったうえ、最愛の妻を失った父は、おれの首をしめた。


『お前が。お前さえ、生まれなければ……っっ!!』


 遠くなる意識のなか、おれは怪物の声を聞いた。



――タスケテアゲル。オレガ、コロシテアゲルヨォ。

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