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7番の少年は底辺から成り上がる!  作者: ライト・ユーテ
幼稚園編
18/28

十八話 試験にむけて

「ソラ君もアリスも酷いです!!」

現在ソラは伯爵家の家の中で正座をしている―――ミレイの前で

アリスはソラの横に立ち目をそらす

「確かに特訓をするのはいいですけど今は私のほうが危ないんです!」

「ごめんね?ミレイもちゃんと教えるから」

こうなったことの成り行きは今から10分ほど前にさかのぼる

ソラとアリスが魔法の特訓をしているとミレイが予定よりも少し早くアリスの家に来たのだ、こんなに早く来ると思っていなかったアリスは戸惑い、ミレイは二人を見つけて激怒した。

「ただでは許しません!私にもアリスみたいに一対一で教えてください!」

いかにも怒っていますといわんばかりの顔をしながらミレイはソラに言う

ソラとしてはそれくらいなら全然大丈夫だと考え、ミレイの条件を了承しようとしたが、それが気に食わないものがいた。

「僕にできることならいい「だめに決まってるじゃない!」…」

言葉を途中でさえぎられたソラは何でだろうという顔をしてアリスを見る

だがミレイも負けじとアリスにいう

「だってアリスはソラと二人で特訓したんです、私もソラと特訓したいです!!」

「ぐっ…」

ミレイの言う事に言い返せないアリス

「僕は別にいいよ?」

ソラの言葉を聞き、ミレイの顔は太陽のように明るくなる

「ほ、本当ですか!」

だがソラは自分の先ほどの言葉に付け加えるようにいう

「でも今日は3人でって約束だからそれが終わってからだよ、それにそれが終わってから二人でやるっていう事は凄く長い時間勉強することになるけど大丈夫?」

「…あ」

ソラのいう事を理解したのかミレイの顔は青くなる、ただでさえ最近は勉強ばかりしているのにそれにさらに勉強の時間が増えるのは嫌なのだろう、ソラはミレイの心中を察して違う提案をする。

「別に勉強を手伝うことじゃなくていいんだよ?買い物の手伝いとか掃除の手伝いとか、今回は僕も悪いんだし」

「な!?」

「ほ、本当ですか!?…わ、わかりました、そ、それで許してあげます!」

ソラの提案に驚くアリス

ミレイは青ざめた顔から一気に明るくなり、興奮したように言葉に動揺がみれるが、なんとか冷静であると見せたいのか最後は無理やり言葉を終わらす

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!なんでミレイだけ特別なのよ!」

「なにって…今回はアリスが抜け駆けしたのが悪いんです、これはせいとうなほうしゅうなのです!」

「無理やり難しい言葉を使おうとしなくていいわよ!」

「でもほんとうのことです!」

「ぐぬぬ…」

(え?抜け駆け?なにそれ?…)

二人の話の内容についていけないソラ

「ソラ!決まりました!明日私と一緒に町に買い物に行くんです!」

「え?別にいいけど…」

「ぐぬぬぬぬっ!!!」

とりあえず買い物の手伝いをすることに決まったらしい

ソラはそれくらいだったら何も問題はないので容易く了承する、だがアリスは悔しそうに自分の服を噛んでうなっている。

「でもまずは勉強だよ?」

「うん!」

あくまで今は勉強会だということを理解させるためにソラが二人に言うとミレイは元気よく頷いた。









「ソラ、これはどうやるの?」

アリスがわからないことを質問する

「僕にわかることならいいけど…何をしようとしてるの?」

アリスの質問に質問で返すソラ、いくら知識を多く持っているソラだとしてもまだ7歳、すべてを知っているわけではない。

「この教科書に載ってる「身体強化」というものよ、確かソラって身体強化使えたわよね?」

確かに使えるがソラは教科書を読み、理解しおぼえたというよりもボスゴブリンと戦ったら自然に覚えていた、なのでどう覚えるかなんてソラはよくわからない。

「んー、僕は戦ってて気づいたら覚えてたから」

ソラの言葉にアリスは呆れたような顔をする

「…よく戦っている最中に魔法を覚えれるわね」

「いや、どっちかっていうと、どこから覚えたかなんてわかんないんだよ、あの後病院で目が覚めてステータスを見たら覚えてたから」

「ふ~ん、それじゃあわからないの?」

「僕なりの考えだけど、たぶんあれは魔物と戦って覚える魔法なんじゃないかと思うんだ、じゃなきゃ体を強化する魔法なんてそうそう覚えないよ」

「むぅう…確かに実戦では訓練とは比べ物にならないわよね」

ソラの考えにアリスも自分なりの解釈をし、覚える方法がわからないとわかるとすぐに違う魔法の本を読み始める。

するとアリスが聞き終わるのを待っていたかのようにミレイがソラに質問した。

「そういえばみんな今日はステータスを見せる日でしたよね?」

「それなら私とソラはもう見ちゃったからあとはミレイだけよ?」

「む、はやすぎるです、まぁいいです、さぁこれが私のステータスです!」

なにやらミレイはテンションを高くしながら自分のステータスを表示する、アリスとソラはミレイのステータスを覗き見る





名前:ミレイ・エプリア

種族:人間

年齢:7歳


 体力:E   筋力:E  覚醒:E


 魔力:D   精神:D


[装備]

『ワンピース』

[魔法]

【ウォールシールド】【サンダーボール】

[称号]

なし









「へぇ、ミレイって雷属性が使えるのね」

感心したように言うアリスにミレイは嬉しそうに笑う

するとそれに続いてソラも感心したように頷く

「土属性もつかえるんだね、すごいよミレイ、僕とアリスはどっちもつかえないし」

「そ、そうなんですか?なんだか嬉しいです!」

ソラとアリスの使えない魔法が使えることが嬉しいのかミレイは興奮したようにはしゃぐ

「ま、いまのとこは、ってことだけど」

と、アリスがソラの言葉に付け加える

すると自分だけが見せるのもずるいとミレイがいい、アリスとソラは自分たちのステータスをミレイに見せる。

二人のステータスを見るまでは笑顔だったミレイだがアリスのステータスを見て驚く、だが相手は貴族の娘、想定内だといわんばかりに表情を戻し、続いてソラのステータスを見る。

するとミレイは見た瞬間に

「……」

無言になった、ただただ無言でソラのステータスを見ている。

アリスはやっぱりというような顔で苦笑いをしている、ソラに関してはなるようになれ、と半分やけくそになっている。

そしてミレイは無言のまま、無表情でソラの顔を見る、そしてまたステータスを見る、そしてまたソラの顔を見る。

「…明日、覚悟していてくださいね」

「なにを!?」

ミレイのよくわからない脅しにソラは明日が不安になりついつっこんでしまった。

だがそんなソラの言葉を無視してミレイは魔法の教科書をめくる

(…明日、僕大丈夫かな?)

心の中で不安に思いつつ、勉強を再開するソラ

するとミレイがソラの袖をつかむ、急につかまれたソラはこんどはなんだろうと思いながら振り返る。

「その、私、ウォールシールドは使えるんですけど、サンダーボールがまだ使えなくて」

先ほどとは打って変わって縮こまりながらソラに助けを求めるミレイ

だがこうなってもしょうがないのだ、ミレイは使える魔法が二つ、そして学校の試験合格ラインが使える魔法が二つ以上、もし本番で失敗したらそこでおしまいなのだ。

「えっとね、原理はファイアーボールと同じだから手をこうしてそこに魔力をためるんだよ」

ソラが自分の右手を上げ、丁寧に教えていく、だがよくわからないのかミレイは手の位置も魔力の溜め方も少しずれている、それが失敗する原因なんだろうとソラは思う。

「んー…ちょっといい?…こうしてこう」

「ひゃっ…」

ソラは口で言うよりも実際にやらせてみたほうが早いと思ったのか、ミレイの後ろに回り、後ろからミレイの手を自分の手でつかみ、魔力が溜めやすく失敗しにくい位置に移動させる。

状態としてはソラがミレイに後ろから抱きつくような格好になってしまっている。

魔法が上手な人は手の位置などはあまり意識しなくても魔法を使えるのだが、感覚がつかめるまでは基礎に従うのが近道であるとソラは考える。

だがミレイは突然のソラの行動にびっくりして頬を赤くし、頭から湯気が出そうになっている、ソラはミレイに指導することに集中していてミレイの様子に気づいていない。

「それで、ここを…こう」

「ひゃ、ひゃい」

(わ、私ソラ君にっう、後ろから!?…お、落ち着きなさい私、これは特訓なのです!…あ、ソラ君いいにおい)

ミレイの様子に気がついたのかソラは一旦手を止める

「えっと、ミレイ?」

「ひゃ、ひゃいっ聞いてます!」

混乱してしっかりと返事が返せないのか「はい」が「ひゃい」になってしまっている。

「っ!?!?!?」

その隣ではアリスが顔を真赤にさせ両手で顔を覆っている

7歳のアリスには少し刺激的過ぎる映像なのかもしれない

だが手の隙間を少し開け、目に焼き付けているというのはお約束だろう。


「…いまだっ撃って!」

「ひゃ、ひゃい!え、えっと…サンダーボール!!」


―――ヒュウゥウ…バチィイイイイン!!

雷の玉が飛んでいき、壁に当たると同時に激しい音がなる

ミレイはここまでしっかりとサンダーボールが使えたことがなかったのか、目を見開き自分の手のひらを見ている。

そしてやっと自分がやったと確認し終わると両手をあげて喜ぶ

「やったあぁあ!やりました!やりましたよ私!ついにサンダーボールを自分のものにしました!」

だがソラは苦笑いをしてミレイに言う。

「じゃあ次は僕の補助なしでやってみて」

「はい!…サンダーボール!!」


―――ヒュウゥウ…プシュウゥウ

だがサンダーボールは飛んでいくが途中で小さくなり、消えてなくなってしまった、ミレイは驚き、もう一度手をかざし魔法を使う。

「なっ!?…サンダーボール!」


―――ヒュウゥウ…プシュウゥ

だが再び撃った魔法も途中で消えて無くなってしまう

「なんでですかっ!?」

ミレイはなんで先ほどのように魔法が使えないのかとソラに聞く

「さっきは僕がミレイの魔力の集中の仕方や手の位置とか補助してたでしょ?」

「そ、そんな、じゃあ私は一人では使えないんですか?」

するとソラは首を横に振り、そうじゃないという

「逆だよ、ミレイは一回ちゃんと撃てたんだから練習すれば一人で撃てるようになるよ、僕たちだって使えたんだからミレイにもできるよ」

「…私、がんばりますっ」

自分にもできるといってくれたのが嬉しかったのかミレイの顔に笑顔が戻る

ミレイの様子を見てソラは微笑む

「うん、応援するよ」

そして横から正気に戻ったアリスが入ってくる

「ちょっと、私をわすれてもらっちゃこまるわよっ」

「ふふっわかってるよ、僕たち3人とも合格できるようにがんばろうね?」

するとアリスとミレイは互いを見合い

「「うん!!」」

元気よくうなずいた。





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