ルシファー=ヘレルの交友関係
「ここは……?」
目を開くと暗い路地だった。人の声が聞こえるからさっきの場所からはそこまで離れていないだろう。
俺の他には1人だけ人が居る。後ろを向いていてよく分からないが、多分さっき俺をさらっていった奴だろう。
「起きたか! サタナエル!」
「お前だな! 俺をさらったのは」
奴はこちらを向くとニコリと笑って見せた。
俺の発言疑問を持ったらしく笑顔が崩れた。
「はぁ? お前久しぶりで俺様の事忘れたか。いや、忘れたなんて言わせねーぞ」
こいつは魔王の知り合いなのか。
「サーセン。全く見覚えないっす。ていうか俺、魔王だけど本物じゃねーぞ」
「どういう事だ?」
これまでの経緯を話すと奴は馬鹿なのかあっさりと信用した。
「道理でなんか奇妙なしゃべり方だと思った」
「奇妙って何だよ!」
ていうかこんな話信じる人いるんだ。まぁ真実だけどな。
「じゃあ自己紹介しなきゃだな。俺様の名前はルシファー=ヘレル! 17歳だ。悪魔離れした美しさを持つ悪魔様だぜ」
中二病っぽい変なポーズで決める。
奴は確かにかっこいい。
短い金髪はまるで女の子のように綺麗に手入れされているし。顔もいいし、服のセンスも良い。モテる要素が山ほどある。
ただ一つ。
「お前、段ボール箱の上に乗ってちゃ何の説得力もねーぞ」
身長が低かった。
俺の身長が170くらいなのに対し奴の身長は160いってるかどうか。
みかん箱に乗れなきゃ同じ目線で話せない。
「ハッ! 馬鹿にするんじゃねーし」
「うん。馬鹿にしてるのはお前の身長と頭脳だから」
「馬鹿にされてるのは身長だけじゃなかったのか?!」
意外と面白いな。
「ていうかお前と魔王ってどんな関係?」
さっき魔王と知り合いみたいな言い方してたし。
「ああ、My friendだ」
「お前魔王と友達なの!?」
魔王の人物像がだんだん見えてきた。
やんちゃでめっちゃ子供っぽい人のはずだ。
それに三年前と言えば魔王は14歳。それでも遊園地に行きたいと言うほどだ。
「俺様は毎回魔王と遊ぶためにこうやってさらっていたんだ」
何て無理やりな会い方なんだ。
「久しぶりに見かけたと思ったらそういうことなんだな」
「ていうかどうやってカカベルの目を背いてたんだ?」
「ああ、カカベルか。ちぃっちゃいガキな」
凄い言われようだカカベルが聞いていたら大変なことになっ――
「誰がガキじゃぁぁぁあああああ!」
――てしまった。