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3

体育館の外に出ると、暖かい陽光と甘い香りを孕んだ桜吹雪が僕を包んだ。



「クラス発表って、どこで張り出されるんだ?」晃は頭を掻きながら、僕に訊ねてきた。


「職員室前だろ」


僕は肩に背負っているカバンの中に、紙飛行機をしまいながら言った。

僕らより先に体育館からでた生徒達はまばらに職員室に向け歩いている。

まるで、アリの行列のようだ。

そして、そんなアリの行列について行くと、職員室前についた。

其処には大きな掲示板がありクラス発表の大きな用紙が掲載されていた。

掲示板の前には生徒達が肩をぶつけ合うように群雄割拠している。



「どうする?」


僕は晃に訊ねる。

とは言っても彼がなんと応えるかは容易に想像がつく。



「無論、強行突破だ!」


恐ろしいまでに予想通り。

晃はズカズカと威勢良く戦場に突っ込んでいった。

何とも、勇ましいものだ。

虚弱体質である僕には到底マネできない。

ここは大人しく、遠くから彼の勇姿を眺めておくことにしておこう。

それから五分ほど経過し、晃は戦場から無事に帰還してきた。

その表情はやたらとニヤついている。



「どうだった?」



「俺たち共に三組みだぜ」



晃は頭を掻きながらそう言って笑う。

これで一体、何回ほど同じクラスになっただろうか。

僕の記憶が正しければ小学校六年間は常に同じクラスだった気がする。

彼曰わく「俺達は運命の赤い糸で結ばれている」だそうだ。

何とも気色悪い。

もし、そんな糸が本当にあると言うのなら僕はとうの昔にその糸を切り刻んでいるだろう。



「また、一緒か……」僕はため息まじり言葉を吐き出した。



「ほら、早く教室に行こうぜ!」



晃は上機嫌で僕に背を向け、校舎の中に入っていく。

僕は「まったく」と独り言を呟きながら晃が入っていった校舎を見つめた。

シンプルな構造で、お世辞にも綺麗とは言えない。

だか、どこか懐かしさを感じる。

僕はこれから、三年間を此処で過ごすんだ。

そう思うと、なんだか少しだけ心臓がドキドキした。

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