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私と初体験してくださいっ! ~世間知らずのクール姫と秘密の関係が始まった~  作者: uruu


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40 終業式

 今日は終業式の日。

 川口さんが教室の前に立ち、みんなに声をかけていた。


「じゃあ、ボウリング行く人!」


 その声に、椎子が川口さんのそばへ歩み寄る。

 その瞬間、教室がざわめいた。


「え、櫻川さんも行くの?」

「マジか!俺も行く!」

「私も!」


 あの椎子がついにクラスのイベントに参加するということで、クラスの空気が一気ににぎやかになった。


 部活組の大塚や倉原は今日は不参加だが、後でファミレスには合流するとのこと。

 結局、参加者は男女合わせて15人ほどになった。

 その中にはギャルの岡崎彩花の姿もある。

 もちろん、俺も一緒に行く。男女は半々程度か。


 まずは昼食ということで、みんなでバスセンターのフードコートへ向かった。


 本当なら椎子の横に並びたいが、そんな露骨なことはできない。

 椎子は川口さんと岡崎さんに挟まれて、楽しげに何か話している。

 俺は少し後ろからその様子を見守るだけだ。


 それにしても、いよいよ椎子のクラスイベントデビューか。うまくいけばいいが……。


 フードコートに着くと、それぞれ好きな店へ並び始めた。

 椎子は川口さんたちとマックの列へ。俺も男子数人と同じ列に並んだ。


「櫻川さんもマックとか行くんだ?」


 隣にいた女子が椎子に話しかける。


「はい、たまに」


「そうなんだ。彼氏と一緒にとか?」


「そうですね」


 その答えに女子たちが「へえー」と頷く。

 椎子は俺を見ないようにしているが、川口さんが意味ありげにこちらを一瞥した。

 俺は視線を逸らすしかなかった。


 昼食は女子と男子で自然に席が分かれた。

 俺は男子グループの席から、つい椎子の方を見てしまう。

 椎子は川口さんや岡崎さんと談笑していた。

 以前は壁を作っていたのに、ずいぶん変わったものだ。


 男子たちが盛り上がる声が耳に入る。


「櫻川さんが来るなんて今日はレアだぞ」

「だよなあ、仲良くするチャンスだな」

「でも、彼氏いるって話だぞ」


 どうやら噂は浸透しているようだ。


「どんな彼氏なんだろう」

「櫻川さんを落とすなんて相当だぞ」

「絶対ハイスペだな」


 ――実際は俺だけどな。



 食事を終え、ボウリング場へ。

 川口さんが「16人だから4人ずつに分かれて」と言う。


 椎子と同じグループに、と思ったが、椎子は川口さん、岡崎さんともう一人の女子と一緒に座っている。もう4人だから入れないか。

 仕方なく俺は男子4人グループに入った。


 ゲームが始まり、俺の順番が来るまでの間、視線はつい椎子の方へ向いてしまう。

 まずは川口さんが投げて6本ほど倒す。

 その後にいよいよ椎子の番だ。


 椎子がボウルを持ち、レーンに立つと俺たちのグループも注目している。


 椎子は綺麗なフォームでボールを投げる。

 ボールは緩やかにカーブし、ピンの中央に命中。


 ――ストライク!


「「おおおー!」」


 場内に歓声が響く。

 椎子は照れ笑いを浮かべながら、川口さんたちとハイタッチを交わした。


「さすが櫻川さん!」

「ボウリングも上手いんだねえ」

「ハイタッチもクールだねえ」


 みんなが感嘆の声を上げる。

 クールか。俺には椎子が恥ずかしそうにしているのが分かる。みんなから褒められているのがむずがゆいようだ。しかし練習しておいて良かった。


「おい、杉山。お前の番だ」


 そうだった。俺は慌ててレーンに立ち、ボールを投げた。だが、ボールは右にそれ2本しか倒れない。二投目は逆に左にそれ、これまた2本と微妙な結果だった。



 2ゲームを終え、結局、俺はグループ内で最下位。ストライクを決めた男子は隣の女子グループとハイタッチしていたりしていたが俺はそういうこともなくボウリングは終わった。


 一方、椎子は女子内トップのスコア。

 たくさんのクラスメイトに囲まれ、話しかけられている。



 ボウリングを終え俺たちは建物の外に出た。みんながその辺で何か話している中、俺に椎子が近づいてきた。


「周平君……」


 みんなに気取られないように俺に話しかける。


「椎子、1位おめでとう」


「ありがとう。周平君のおかげです」


「そんなことないよ。椎子はやっぱりすごいな」


 そう言うと椎子は首を振った。そこに男子たちがやってきた。


「櫻川さん! すごかったね!」

「さすがだよ!」

「かっこよかったなあ」


 椎子は困惑して何も話せない。そこに川口さんが来た。


「はいはい、椎子、行くよ」


「は、はい……」


 椎子は手を引かれてその場を離れていった。

 すると、俺に男子が詰め寄ってくる。


「櫻川さんと何話してたんだよ」


「何って……お前たちと同じだよ。ボウリング凄かったなって」


「なんか櫻川さんの態度がいつもと違ったぞ?」


「そうかな? 俺には分からないけど……」


 とぼけていると川口さんが大声で俺たちに呼びかけた。


「じゃあ、ファミレスに移動しまーす!」


 みんなはぞろぞろと歩き出し、俺の話はうやむやになった。


 ファミレスの前に着くとそこには部活を終えた何人かが来ていた。そこにはバスケ部の大塚と野球部の倉原もいた。


「それじゃ適当に6人ぐらいのグループになろうか」


 川口さんが呼びかける。椎子は川口さんと一緒にいたが、あっという間に人が集まった。大塚と蔵原も同じグループのようだ。


 一方の俺はやはり別のグループ。残り物という感じで陰キャ中心で集まった。男子ばかりだけど、これはこれで気楽か。


 俺たちはファミレスの中に入り、グループ毎に席に着いた。

 俺と同じグループのやつらはアニメやゲームの話題で盛り上がっている。それを話半分で聞きながら椎子のグループの方を眺めた。


 椎子は表情はまだ固いものの、川口さんや岡崎さんたちと話している。それに大塚や蔵原とも話せているようだ。よかった。ようやくクラスに馴染めた感じか。


「おい、杉山。女子の方ばっかり見てるんじゃねえぞ」


 同じテーブルの男子が俺に言う。


「あ、ごめん」


「お前、いつも櫻川さん見てるよな」


「え!? そんなわけ……」


「じゃあ、川口さんか?」


「いや、違うし……」


「ハハ、まあいいや。で、お前は最近ハマってるアニメとかあるの?」


「俺はライトノベルかな」


「ほうほう……」


 俺たちは俺たちでディープな話に花を咲かせていた。



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