表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と初体験してくださいっ! ~世間知らずのクール姫と秘密の関係が始まった~  作者: uruu


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/45

30 勉強会2

 勉強会も終わりが近づく。これまで俺は一切椎子と会話していない。ほぼ倉原と川口さんだけだ。


 倉原は椎子に話しかけても、いつも通りそっけなくされている。

 だが、そのフラストレーションが溜まったのか、俺に挑戦状を叩きつけるように問題を出してきた。


「杉山、分かるか? この問題」


「いや……」


 俺にも答えはわからない難しめの問題だ。


「じゃあ、櫻川さん。教えてくれないか。櫻川さんぐらいしか解けないと思う」


 倉原が真っ直ぐに椎子を見つめる。

 椎子は一瞬戸惑ったが――


「……わかりました」


「!! そ、そうか」


 椎子が身を乗り出し、倉原に解き方を教え始めた。

 俺はその様子を複雑な気持ちで見ていた。


「倉原、ついに櫻川さんの氷の壁を崩したなぁ」


 横の大塚が茶化すように言った。


 すると、椎子がすぐに反論した。


「そういうのではありません。杉山君でも分からないと言うから、私が教えたまでです」


「そうよね、椎子は杉山君を助けたんだよね」


 隣から川口さんが口を挟む。


「はい、その通りです」


 椎子もそれを認めた。


「櫻川さん、ありがとう」


 俺は椎子に言った。


「ど、どうも……す、杉山君」


 突然、椎子があたふたし始め、顔を真っ赤にした。

 その様子に、場の空気が一瞬止まる。


「椎子、どうしたの?」


 川口さんが言う。


「な、なんでもないです……」


 それでも椎子の顔は赤くなったままだ。


「帰ります!」


 突然立ち上がると、そのまま椎子は教室を出て行ってしまった。


「ちょ、ちょっと! もう……」


 川口さんがため息をつきながら言う。


「じゃあ今日はここまで。解散ね」


 みんな荷物を片付け始めた。



「櫻川さん、どうしたんだ?」


 倉原が俺に尋ねる。


「さあ……」


「なんかお前と話すとき、なんか恥ずかしがってたよな。まさか櫻川さん、お前のことを意識して――」


「そんなわけあるか。櫻川さん、彼氏がいるんだぞ」


「それもそうか」


「単に俺と話すのが嫌だったんだろう」


「そうとは見えなかったけどなあ」


 倉原は不思議そうに首を傾げる。まあ、正直、俺も椎子が何であんな態度になったか不思議だけど。




 帰り道、椎子からメッセージが届いた。


椎子『いつものテラスにいます』


 バスセンターの二階か。俺がそこに向かうと椎子が座っていた。


「周平君……」


「椎子、今日はどうしたんだ?」


「みんなの前で周平君と話してたら、急に周平君といろいろしてるところが頭に浮かんできて……恥ずかしくなってしまいました」


「そうだったんだ……」


「はい。最悪です……バレたかもしれません」


「いや、大丈夫だよ。疑ってるやつはいるかもしれないけど、あいつらは言いふらすようなやつじゃない」


「そうでしょうか」


「大丈夫だって。だから心配しないで」


「はい……でも……」


「?」


「慰めてください」


「えっと……どうやって?」


「頭なでてください」


「!!」


 椎子の髪に触ることになるのか。美しく長いその黒髪に、俺は触れたことがなかった。


「いいのか?」


「お願いします」


 俺は手を伸ばし、椎子の頭を優しくなでた。

 さらさらとした髪の手触りが心地いい。


「大丈夫か?」


「はい……でも、もっとなでてください」


「わかった」


 俺は椎子が満足するまで、ゆっくりとなで続けた。


「もう大丈夫?」


「はい、落ち着きました」


「じゃあ、行こうか」


「はい、もうあまり時間も遅いですし」



◇◇◇



 翌日の昼休み。

 中庭にいると、昨日と同じように椎子と川口さんがやってきた。

 椎子は当然のように俺の隣に座り、その奥に川口さんが座る。



「杉山君、聞いたよ」


「何を?」


「頭なでたんだって」


「う……椎子、言ったのか?」


「すみません……少し優実に自慢したくなってしまいました」


「自慢って……」


「昨日、電話で椎子が『頭なでられました~』って、めちゃくちゃ嬉しそうだったよ」


「ゆ、優実!」


「アハハ、ごめんごめん。でも本当でしょ?」


「そうですけど……そんなこと言ったら周平君が二度となでてくれなくなるかも知れません」


「そっか。杉山君、気にしないであげて」


「う、うん。でも、椎子。そんなに嬉しかったんだ」


「はい。夢が叶った感じです」


「そんな大げさな」


「いえ、大げさではないですよ。夢の中で私は周平君に抱きしめられて、頭をずっとなでられるんです」


「へー、そんな夢見てるんだ」


 川口さんが感心したように言う。


「はい……」


「で、その続きは?」


「つ、続き!?」


「うん、夢の続きあるんじゃないの?」


「そ、その先は……言えません!」


 椎子は顔を真っ赤にして、川口さんの背中を叩いた。


「イッター!」


「あ、ごめんなさい……」


「もう……椎子、興奮しすぎ」


「興奮……してたのでしょうか」


「そうだよ。まったく……椎子、そんな夢見るって欲求不満じゃないの?」


「欲求不満?」


「そう。杉山君が椎子の望みを叶えてあげないから」


「俺のせい!?」


「当然でしょ。彼氏なら彼女の望むものを提供しないと」


「そ、そうだな」


「優実、煽らないでください。たしかに私もそういうことをしたい気持ちはありますが……」


「でも、学校じゃ無理でしょ? お互いの家とか?」


「家……私の家は無理です」


「だったら杉山君の家だね。あ、家に行って勉強会したら?」


「なるほど。それに料理も作りたいですし。どうでしょうか? 周平君」


「……日曜なら大丈夫かな」


「わかりました。では、行きますね」


「いいなあ、おうちデート」


 うらやましそうに川口さんが言った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ