表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と初体験してくださいっ! ~世間知らずのクール姫と秘密の関係が始まった~  作者: uruu


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/45

29 勉強会

 翌日の昼休み。

 中庭で弁当を広げていると、少し遅れて椎子と川口さんがやってきた。

 椎子は迷わず俺の右隣に座る。すると、川口さんは俺を挟むように左側に腰を下ろした。


「優実、どこに座ってるんですか?」


 椎子がすぐに口を開く。


「ダメだった?」


「ダメに決まってます。優実はここです」


 椎子さんは自分の右側を指した。


「でもさ、私が杉山君の隣にいた方が、誰が彼女かバレにくいかなって思ったんだけど」


「ダメです。ここに来てください」


「はいはい……」


 川口さんは小さく笑いながら椎子の右隣に移動した。


「川口さん、ごめんね」


「謝らなくていいって。でもさ、ほんと椎子は杉山君が好きだよね」


「当たり前です。彼女ですから」


「まあ、そうだけどさ」


「それに、優実は周平君と二人でカフェに行ってますからね。だから少し警戒してます」


「そ、そうなんだ」


「椎子、さすがに失礼だぞ。川口さんが俺を相手にするわけないと思わないか」


「だといいですけど。昨日も先輩にモテてたじゃないですか」


「モテてないから」


「とにかく食べましょう」


 俺たちは弁当を食べ始めた。やがて椎子が言う。


「周平君、今日は唐揚げ多めに作ってきました」


「おお、美味そうだな」


「はい、どうぞ」


 椎子は箸で唐揚げをつまみ、俺の口元に差し出してくる。

 俺はそれをパクッと食べた。


「ちょっと椎子!」


 慌てて川口さんが言う。


「なんですか?」


「そういうことしてたら、付き合ってるってバレるよ」


 しまった。ここは中庭だ。いつもの部室のつもりで食べてしまった。


「すみません、つい……いつもの調子で」


「いつもこんな感じなの?」


「はい。周平君が私が作った料理を食べたいというので多めに作ってきてます。困りましたね……」


「別に困らないでしょ。周平君に直接取ってもらえばいいんだよ」


「そうですね……って、なんで優実が『周平君』って呼んでるんですか!」


「あ、ごめん。椎子が呼んでたのがうつっちゃって」


「ほんとでしょうね? 二人で居るときに名前で呼び合ったりしてません?」


「なんで私と杉山君が秘密の関係みたいになってるのよ、まったく……」


「そうだぞ、椎子。俺と川口さんはただのクラスメイトだ」


「むぅ」


 椎子は納得がいかないように口を尖らせた。




 弁当を食べ終わると「このあとどうする?」と川口さんが聞いた。


「私はここにいますけど」


「じゃあ、私は教室に戻ろうかな」


「はい、わかりました」


「いやいや、俺と椎子が二人でいたらバレるだろ!」


 俺は慌てて言う。


「そうだね。じゃあ、杉山君も私と一緒に教室に帰る?」


「は?」


 椎子が低い声で言った。


「冗談よ。椎子、帰ろうか」


「わかりました。仕方ないですね」


 川口さんと椎子は教室に戻っていった。




 しばらくして教室に戻った椎子からメッセージが来る。


椎子『今日の放課後、優実たちと残って勉強会をすることになりました』


 勉強会か。今は期末テスト前だし当然だけど……今日は、椎子と一緒に帰れないな。


 だが、次のメッセージが来た。


椎子『周平君も参加しませんか?』


周平『俺が参加したら交際がバレるだろ』


椎子『大丈夫です。他の男子も参加しますので』


 は? 男子も参加する勉強会に椎子が残るのかよ。

 それはさすがに放っておけない。俺も参加することにした。


◇◇◇


 放課後。教室に残っていると、川口さんが俺を手招きした。

 見れば、集まったのは女子3人、男子3人の計6人だ。


 女子は川口さん、椎子、そして岡﨑彩花おかざき あやかという少しギャルっぽい子だ。

 男子は俺以外はみんな体育会系。バスケ部の大塚と野球部の倉原だ。


「お、杉山。お前も来たのか」


 大塚がニヤニヤしながら言う。


「川口さんと付き合ってるって噂、マジだったのか?」


 またその話か。以前、川口さんとスタバに行ったときに噂になったんだった。


「違うよ」


「だったらなんでこの勉強会に?」


「えーと……」


 しまった。普段、絡みがない俺がいるのは不自然か。何も言い訳を考えていなかった。


「杉山君は優秀だから私が誘ったのよ」


 川口さんがフォローしてくれた。


「ふーん、優秀なんだ」


 そうでもないけどな。



「じゃあ、席はどうする?」


「杉山は川口しか友達いないんだからその前でいいんじゃない?」


 大塚の言葉に、俺は反論できず川口さんの前に座った。


「椎子は私の隣ね」


 椎子は川口さんの隣に座る。俺からは斜め前だ。


「よろしく、杉山君」


 椎子が言った。


「よろしく、し……櫻川さん」


 思わず椎子といいそうになってしまって、椎子が一瞬笑みを見せたがすぐに元の平静な顔に戻った。川口さんは笑いをこらえてるみたいで、椎子に背中を叩かれていた。


 それに気がついてない大塚と倉原は席の奪い合いを始めていた。


「俺は川口さんと同じバスケ部なんだから川口さんに近い方がいいな」


 大塚が言う。


「俺は櫻川さんの前がいい」


 倉原ははっきり言ってすぐに座った。大塚は苦笑しながらその隣に座った。



 しかし、倉原のやつ、椎子に興味を持っているのか。野球部で1年生ながらエース級だという噂を聞いたことがある。いつも寡黙で男から見てもちょっとかっこいいやつだ。


「櫻川さん、よろしくな」


 倉原がそう挨拶するが、椎子は少しおじぎをしたぐらいだった。


「じゃあ、始めましょうか」


 勉強会が始まると、倉原は「櫻川さん、これわかる?」と積極的に質問してくる。それに対し、椎子は何も答えない。ほんとに人見知りだな。仕方なく、俺が「どれ?」と聞いて倉原に教えている。


 一方、川口さんが椎子に「この問題教えて」と聞くと椎子は小さい声ながらも教えていた。


 椎子の隣の岡﨑さんは勉強が苦手なようだ。


「これ、わかんなーい!」


「どれだよ」


 大塚が言う。


「これ」


「こんなの基本だろ。あのなあ……」


 大塚が岡﨑さんに説明していた。


 だが大塚にも分からない問題を岡﨑さんが聞いてきた。


「これは俺も分からん」


「じゃあ……櫻川さん教えて」


 椎子はぎこちないながらも、岡﨑さんに説明している。


「おー! 櫻川さん、わかりやすい!」


「……ありがとうございます」


「ね、私も椎子って呼んでいい?」


 岡﨑さんにそう聞かれた椎子はうなづいた。


「やった! 椎子と友達になった!」


「友達では無いです」


 椎子が冷たく言う。

 

「えー!」


 そういう岡﨑さんを見て椎子は笑みを浮かべていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ