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私と初体験してくださいっ!  作者: uruu


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11 ラーメン

「私ばかり行きたい場所に付き合ってもらうのも悪いです。周平君も、どこか行きたいところはありませんか?」


 雑貨店を出た後、椎子がこちらを見て聞いた。


「そうだな……俺はやっぱり本屋だな」


「本屋、いいですね。私もたまに行きますよ」


「そう? じゃあ行こうか」


 すぐ近くに本屋があったので、俺たちはそのまま入った。


◇◇◇


「周平君は何か見たい本はあるんですか?」


「うーん……いつも読んでるのはラノベだけど」


「ラノベ?」


「ライトノベルだよ。イラストが多い小説だ」


「そうなんですね。見てみたいです」


 俺たちはラノベのコーナーに移動した。だが、すぐに後悔した。


(しまった……表紙がきわどい本、多すぎだろ)


 椎子にはちょっと場違いだったかもしれない。


「なんか……可愛い女の子の絵が多いですね」


「そ、そうだね」


「えっと、こういうのが好きなんですか?」


 椎子が一冊を手に取った。『クラスの美少女がモブの俺を誘惑する』というタイトル。表紙のイラストは美少女が男子にキスを迫ろうとしている。


「ち、違う! そういうのは読まないから!」


「そうなんですか?」


 ほんとは読むけど。


「俺が読むのは異世界で戦ったりするやつかな」


 こっちも本当だ。


「戦う小説ですか。やっぱり男の子らしいですね」


「まあ、そうかも」


「ラノベは基本的に男性向けなんでしょうか?」


「いや、そんなことはないよ。女性向けもこの辺りに……」


 俺は椎子に女性向けラノベを案内する。だけど、この辺りも椎子が読みそうにはないかもしれない。


「悪役令嬢に転生? 婚約破棄? 悲劇系のものが多いのですね」


「悲劇っていうより、そこから逆転していく話だよ」


「なるほど。シンデレラ的なものでしょうか?」


「ま、まあそうかな……」


「わかりました。だったら、私もラノベを買ってみます」


「椎子が?」


「はい。シンデレラは私も好きですし。王子様と結ばれるのがいいですよね」


 そう言って、椎子は悪役令嬢ものと婚約破棄ものを手に取った。


「周平君は何か買うんですか?」


「そうだな……これかな」


 俺は異世界にクラスごと転生する小説を手に取った。


「なんだかそれも面白そうですね」


「椎子も読んでみたい?」


「はい」


「だったら、俺が読んだ後に貸すよ」


「ありがとうございます。楽しみにしてますね」


 いろいろ本を見ていたらお昼が近づいてきたので俺たちはフードコートに向かった。


◇◇◇


 フードコートに着くと、もうかなりの人で賑わっていた。


「ラーメンはどこですか?」


「あれだな」


 俺たちはラーメンの店に行く。その前には数人が並んでいた。


「メニューがいろいろありますね。何を頼むんですか?」


「俺はいつも普通のラーメンだよ」


「普通の……?」


「ほら、ここにある『ラーメン』ってやつ」


「なるほど。じゃあ、私もそれにします」


 俺はカウンターでラーメンを注文しお金を払って呼び出し機をもらった。

 後ろにいる椎子も同じように注文し、呼び出し機をもらう。



 少し離れた場所が空いていたので俺たちはそこに座った。


「これ、何ですか?」


 椎子は呼び出し機を手に取り不思議そうに見つめた。


「料理ができたらこれが鳴って教えてくれるんだ」


「へぇー……でも、料理ができたら持ってきてくれるんじゃないですか?」


「ここはフードコートだからね。呼び出し機が鳴ったら自分で取りに行くんだよ」


「自分で……」


「そう、セルフサービスだ。あ、水もセルフサービスだから持ってくるね」


 俺は席を立ち、コップに水を入れて戻ってきた。


「何もかも自分でするんですね」


「そうだよ。その分、安いんだ」


「なるほど。でも、面白いです。私も水をついできたいです」


「そうか。じゃあ、俺が飲んでしまうから」


 俺は一気に水を飲み干した。


「じゃあ、お願いできる?」


「はい!」


 椎子は嬉しそうに水を入れに行った。少し心配だったが問題なく水を入れて戻ってきた。


「はい、どうぞ」


「ありがとう」


「ふふ、なんか夫婦みたいですね」


「え?」


「旦那様のためにお水をついできたみたいです」


 よくわからないが、椎子は嬉しそうだからいいか。




 そんなことをしていると呼び出し機が音を立て始めた。


「あ、鳴ってます! 震えてますよ! どうやって止めるんですか?」


「お店に持って行かないと止まらないよ。行こう」


 俺と椎子はカウンターに急いだ。呼び出し機を差し出し、ラーメンがのったトレイを取る。椎子も同じように受け取った。


「こ、こぼさないように注意しないといけませんね」


「そうだよ。絶対、転ばないようにな」


「は、はい……」


「これ、フリじゃないからな!」


「フリ?」


「なんでもない。とにかく気を付けて」


「はい!」


 椎子は少し緊張しながらも、楽しそうにトレイを運んだ。



 テーブルに無事ラーメンを置くと、二人で手を合わせた。


「いただきます!」


 俺たちは食べ始めた。


「うん、おいしいです!」


「だろ? やっぱりラーメンは最高だよ」


 俺も久しぶりのラーメンに夢中になって食べる。あっという間に食べ終わった。


「ごちそうさま」


「え!? は、速いですね!」


 椎子が目を丸くして驚いている。そんな椎子の表情は見たことが無かったので思わず笑ってしまった。


「どうしました?」


「いや、椎子が驚いた顔が可愛くて」


「か、可愛い……ですか」


 そう言われて椎子は恥ずかしそうに視線を落とした。


「だって、周平君が食べるの速いので。私、まだこんなに残っています」


「そうか。だったら俺は替え玉しようかな」


「替え玉?」


「うん。麺のおかわりだ」


「そんなのがあるんですか!?」


「ここは博多ラーメンだからあるんだよ」


「初めて知りました」


 まあラーメン屋に来るのも初めてなら、そうだろうな。


 俺は替え玉を頼み、麺を自分のどんぶりに入れた。


「まだこんなに食べるんですか!」


「高校生男子なら普通だよ」


「すごいです」


 椎子は俺を見て、目を丸くしていた。

 その表情はやっぱり可愛かった。



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