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#09 謀略の交差

帝都の待ち合わせ場所に着くと、父が立っていた。

護衛らしき人物も一緒だ。


父と再会するや否や、ヴィオレは立ち上がって言った。


「父上、俺は腕を上げました! マジアなんかには負けません!」


「そうか。じゃあ、着いてきてくれ。社交界の会場へ案内する」


ヴィオレの言葉を流して、家族で会場へ向かう。

そこは、多くの貴族で賑わっていた。


聖心(スフィア)教が主催する『永遠祭』の社交界。

国境や辺境の貴族を除く、多くの貴族たちがそこに集っている。


そして、皇帝も参加していた。


俺は用意された自分の席に座り、その時を待つ。


「皆様、一度静粛にお願いします」


司教姿の男がそう言うと、会場は静まり返った。


「本日は、お越しくださりありがとうございます。では、教王様のご挨拶に参りましょう」


その司教がそう言い、教王が出て来た。

思ったよりも、若々しい。


黒い髪に、少し髭を生やしている。

ちょうど、父と同じぐらいの年齢に見えた。


「ようこそ、皆様。歓迎いたします。・・・そして、皇帝陛下も、来てくださり感謝いたします。」


その一言で、皇帝が注目の的になる。

しかし、すぐその視線は教王に戻った。


「では、皆様。この帝都の永遠を祈りましょう」


そう言うと、全員が祈りを捧げる。

俺も、無言で祈りを捧げた。


こういうのは黙って従っているに限る。


「では、これにて終わりといたします。」


そう言って教王が舞台から出た。

俺はその教王について考える。


戦闘に関しては分からないが、少なくとも謀略家として脅威だということは分かった。

立ち振る舞い、笑顔、その全てが人を欺く巧妙な演技だ。


そう考えていると、一人の者が俺の元へ訪れた。


「・・・あなたは?」


「バスト公爵家の執事でございます。どうか、こちらへ」


来たか、と思い、席を立とうとすると、母が呼び止めた。


「ヴォル、どこに行くの?」


「いえ、少し用事がありまして。」


バスト公爵家。

武闘派の筆頭にして、【大将軍】エストリアを輩出した名門だ。


その執事が来たということは、誰かが俺を試そうとしているということだ。


移動するのかと思って立ったその時。

不意に気配を感じ取って、俺は大きく跳躍した。


一瞬遅れて、俺の下を斬撃が襲う。

危なかった。


「ヴォル!?」


「ほう、これを避けるか」


そこに立っていたのは。

【大将軍】エストリア、その人だった。


「お会いできて嬉しく思います。【大将軍】エストリア殿」


「ふん、礼儀など嫌いだ。それより、お前の剣士としての力が見てみたい」


「待ってください!」


母が、そう叫んで止めようとする。

だが、俺はそれを手で制した。


「母上、大丈夫です」


「良いぞ、その意気だ。さあ、始めようか」


白髪は、無邪気な子どものように靡く。

そして。


戦いは、始まった。


それを面白そうに見る、二つの眼。

渦巻く謀略の中で、刃は交差する。

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