表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/15

#12 第二皇子スフィーダ

「こちらこそ、いいものを見せてもらったよ。・・・それよりも、本題を話したい」


そう言って、スフィーダは声を潜めて言った。


「僕の、駒にならないかい?」


「・・・なるほど」


誰かの駒になるのは悪くない。

駒となることで警戒を逸らし、協力も得ることができる。


「一つ、条件を聞いてもらえるならば」


「・・・聞いてあげるよ」


「私は、あの大将軍と戦った。今後、困難に見舞われることがあるでしょう・・・一度だけ、何であっても手を貸すと約束してくだされば」


「・・・それならいいよ。僕も、大将軍と戦った少年を駒にできて、本当に嬉しいよ」


スフィーダはそう言って笑みを零す。


「さて、契約魔法を結ぶよ」


スフィーダが詠唱を唱える。

人の目はあるが、恐らく無詠唱で防音魔法や幻影魔法をかけているのだろう。


「〝我らが血が(イディーヴァイド)混ざりても(アン クムスギ)その契り(ダウンス)を果たさん(イリオ ドゥー)〟」


強力な契約魔法。

恐らく、破った時点で死に至るほどのものだ。


だが、もちろんただの駒になってやるつもりはない。


契約魔法は解除が難しい。

耐性や解除の魔法、魔道具が存在しないのだ。


しかし、契約魔法には欠点が存在する。

それは、術者による魔力供給がない限り、機能しないという点だ。


つまり、スフィーダの魔力が尽きている間は、この契約を無視できる。


なら方法は簡単。

契約を無視したい時にだけ、遠隔の儀式魔法でスフィーダの魔力を消滅させればいい。

スフィーダは多くの魔法が使えるようだが、魔力量はそこまで多くない。


もちろん儀式魔法など今は無理だが、俺の切れるカードが増えればできるようになる。

魔法使いの一団を支配下に置いたりな。


今後の見通しを立てつつ、俺は帝都の社交界を終えた。


◆◆◆


「ふむ・・・大将軍相手に戦えた、か」


「はい。恐らくあれは、身体強化魔法などではありません」


報告をした聖騎士の言葉に、教王は舌打ちをした。


「だが、あれほどの剣士と繋がりを持っておくのは良いだろう。聖騎士団に勧誘するのもいい」


「あの魔法の一族の者と、ですか?」


「そんなものは昔の話だ。」


そう言って、教王は通信魔法を使う。


『父上、何か御用でしょうか?』


ストゥルがそう話しかけ、教王が答えた。


「大将軍との戦いを見ただろう・・・あれは本物だ。これからは、ただの友人として接してくれ」


『そうですか』


何の感情もない声で、ストゥルがそう言った。

通信魔法を切り、教王が言う。


「不気味な奴だ・・・まるで感情がないようだ」


その言葉は、不思議と教会中に反響した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ